美しくも恐ろしい森の中へ『Bramble: The Mountain King』プレイレポート


朝比奈 / Asahina

Bramble: The Mountain King(ブランブル:ザ・マウンテン・キング)』は、北欧の寓話や伝承にインスパイアされた世界観の3Dアドベンチャーゲームだ。

プレイヤーは少年オーリとして、姉弟で森を探検中に邪悪なトロールにさらわれてしまった姉リリモールを助けるために、恐ろしい存在の潜む森の奥へと踏み込んでいくことになる。

▲姉の姿を求めて、森の奥へと踏み入る。

(補足)Nintendo SwitchやSteamなどのストアテキストでは、さらわれたのは「妹」とされているが「」が正しい。ゲーム内は正しく翻訳されていて、物語の整合性が取れなくなってしまうようなことはないので、その点は心配ない。

次々と降りかかる困難に挑む

本作のゲームシステムは、ナレーションによって語られるストーリーを追いながら、一方通行のステージを攻略していくものだ。

道を阻む障害物を乗り越えたり、足場から足場へと跳び移ったり、閉ざされた扉を開くためにパズルを解いてたりしていく。ときには、危険な存在に見つからないように身を潜めることもあれば、やむを得ず戦わなければならないこともある。

▲光と影のコントラストも美しい。

アクションはシンプルで極端に難しいものではないが、初見では見破りにくいギミックやトラップもあり、トライアル・アンド・エラーを重ねて進んでいくシーンも多かった。

こうしたシンプルでありながら一癖あるようなゲームシステムは、『LIMBO』や『LITTLE NIGHTMARES(リトルナイトメア)』に代表される作品に近い印象だ。

人形劇のようなグラフィック

本作は、まるで人形のようなキャラクターと、リアルな風景を写したようなグラフィックが特徴だ。

森に住む無邪気なノームや、心優しい巨人のレムスなどの主人公を手助けしてくれる存在。さらに、凶悪なトロールや、闇の魔術を操る魔女などのキャラクターたちに、かつて教育番組で見た人形劇のような昔懐かしさを感じる。

しかし、主人公が危機に陥るシーンでは、言いようのない不安な気持ちが持ち上がる。これは人形劇特有の恐ろしさや不気味さのようなものが影響しているのだろう。

これが全体にうまく作用していて、他の作品にはない雰囲気を出せているのがユニークなところだ。

▲シンプルに造形が恐ろしいキャラクターも登場する。

Steamで公開されているデモ版では、序盤の山場を体験することができるので、購入を迷っている方も一度プレイしてみることをオススメしたい。きっと、同じ印象を覚える方もいるはずだ。

想像以上に残酷な世界

この美しくも恐ろしい物語をぜひ体験してほしいが、1つ伝えておきたいのは、トレーラーやスクリーンショットからは想像できないような刺激の強いシーンもあるということだ。

▲美しい光景と、恐ろしい光景が同居する。

この作品は、言わば「本当は怖い童話」だ。童話や寓話には隠された側面があるものだが、本作はそういった部分もオブラートに包むことなく、美しいものも醜いものも平等に描いている。残酷なものは正しく残酷なのだ。詳しくは伏せるが、多くの作品でタブーとされているシーンも登場する。

注意しつつも、覚悟を持って挑んでもらいたい。


基本情報 Bramble: The Mountain King
開発 Dimfrost Studio
販売 Merge Games
配信日 2023年4月27日 / 日本語有り
定価 3,999円(Steam)
3,999円(Nintendo Switch
Indie Freaks

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