『Havendock』は、海の真ん中に都市を築いて生存を目指すコロニーシムだ。
木材や葉っぱといった漂流物を集めて、浅瀬にデッキを構築。さまざまな生産設備を建てて日々を生き延びながら、人でにぎわう快適な都市を築き上げよう。
とはいえ、物事の立ち上がりというのは苦労の連続だ。当面は魚を捕らえて調理し、海水を蒸留して飲み水を確保する原始的な生活を送ることになるだろう。しかし、技術研究を進めていけば、やがて電力を確保し、潜水艦で海底資源を手にするなど文明的な日常を送ることが可能となっていく。

海上都市の祖
まずは、プレイヤーの分身たるキャラクターを作成することになる。
性別や外見、肌の色など自由に決めることが可能だ。さらには「シルクハット」や「天使の輪っか」といったアクセサリー。「夜型人間」や「オタクの天才」といった性格(クセ)も選択できる。
これらの要素は(説明を読むと、いかにも特別な恩恵を受けられそうだが)何を選ぼうともゲームには一切影響を及ぼさない。言ってしまえば、ただのフレーバーなのである。こうした項目はどうしても有利・不利で選びがちな筆者としては面白い試みだと思った。

ひとつのデッキから広がる世界
主人公が海のど真ん中の砂山に漂着したところから物語は始まる。いずれ救助が現れることを信じて、それまで生き抜く覚悟を決める主人公。
とはいえ、現実はそこまで過酷でもない。建築資材となる木材や葉っぱなど大量の物資が波間を漂っているうえに、食料となる魚も簡単に捕獲できるからだ。
まずは、集めた木材でデッキを広げ、吸水ポンプや蒸留器といった生存のための設備を建設することになるだろう。工作台を建てれば、所定の物資を消費して技術研究を行うことも可能だ。研究を終えることで新たな設備がアンロックされていく。こうして文明をハイテク社会へと進歩させていくわけである。

そろそろ仲間が必要だ
吸水ポンプや調理台などの一部設備は、稼働させ続けるために労働者の割り当てが必要となる。もちろん主人公自身が働いてもいいのだが、都市発展のための作業は膨大で、あまりに効率が悪い。こんなときこそ、海を彷徨う漂流者を仲間に加えるべきだろう。
漂流者たちは桟橋を建てることで、イカダに乗って海上都市を訪ねてくるようになる。彼/彼女らは水と食料、食事を摂る場所、住居、レクリエーション施設、そして、休憩場所を用意してあげれば、喜んであなたのために働いてくれるだろう。要求が多いのは仕様だ。
仲間たちは存外優秀で、特に指示を与えなくとも必要と思う作業を行ってくれる。畑の作物が育ったら収穫して収納ボックスへと運び、蒸留器で作成した飲料水は給水タンクへと貯め込む。もちろん、先述の通り一部設備に割り当てて作業を行ってもらうことも可能だ。

海上スローライフを楽しもう
こうして仲間を集め、研究を進めて、海上都市を発展へと導くのがプレイヤーの使命となる。とはいえ、難易度は極めて易しい。敵対的な勢力はもちろん、足場を噛み砕くサメもいない。飢えや渇きが限界に達しても死ぬことはなく、移動速度が大幅に低下し、作業が中断される程度である。
しかし、良き指導者たらんとすれば、行うべき作業はいくらでもある。人々の飢えと渇きを満たし、幸福度を維持しながら、建設や研究を進めて都市を拡大する。そんな忙しくも楽しい日々を送れるのが本作なのだ。
なお、本作は早期アクセス中ということもあり、漂流者との会話など未訳の箇所も散見された。とはいえ、チュートリアルなどゲーム進行に関わる部分はきちんと翻訳されているため、あまり心配する必要はないだろう。
基本情報 | |
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開発 | YYZ |
販売 | Different Tales, IndieArk |
配信日 | 2023年4月20日 / 日本語あり |
定価 | 1,900円 (Steam) |