
『ワイルドフロスト(Wildfrost)』は、ローグライク要素のあるデッキ構築型戦略ゲームだ。仲間やアイテムのカードを集めてモンスターと戦いながら、雪原を踏破して「太陽の寺院」を目指そう。
かわいいキャラクターたちに惹かれて私も本作を遊んでみたが、手ごわい敵にぶつかって、そう易々とはクリアさせてもらえなかった。こういうとき、「攻略情報が欲しい! うまい人のプレイを見たら自分にもクリアできるかな?」という誘惑と、「自力で攻略方法を編み出すのが楽しいんじゃないか!」という気概が心の中でせめぎ合う。
私はかわいいゲームを楽しみたい一心でプレイ中だ。戦闘のBGMを聴くと熱くなる! ああ、うまくなりたい……。
仲間と共に戦おう!
ゲームシステムを説明しながら、本作の魅力について語っていきたい。
仲間は冒険の途中で氷に閉じ込められているキャラクターを救出してデッキに加えていく。バトルでは、リーダーと仲間を3マス×2列のフィールドに配置して戦う。
前にいる仲間が盾となり、後ろの仲間をかばうことができる。リーダー、仲間、アイテムの特性を活かし、シナジーのある組み合わせを作るのが腕の見せ所だ。

本作は仲間を強く意識するゲームシステムになっている。まず、拠点でペットを選んで仲間として連れていける。道中で出会うのは、出発するときに選んだリーダーと同じ「部族」の仲間たちだ。デッキ作りは、部族の仲間の誰を獲得できるかにかかっている。RPGのように、パーティを編成して強化していくという感覚だ。
カウントが戦略の柱となる!
本作のバトルの特徴は、ターンが経過するごとに各キャラクターの「カウンター」の数字が減っていき、ゼロになると行動するというカウンターシステムだ。
誰がどの順番で行動するのかをよく見て戦略を立てよう。敵が行動する前に倒せるか? どの敵を妨害する? 攻めるタイミングは?

プレイヤーが手札を使用すると即座に効果が発揮される。カウントがゼロになったときに味方が行動するのとは別に、手持ちのカードならすぐに攻撃や回復ができる。こうしたルールを整理して理解していく必要はあるが、慣れるのにそう時間はかからないだろう。

同じジャンルの代表的なゲーム『Slay the Spire』では、1ターンで複数のカードを使用できたし、使うべきカードがもう分かっている場合は反射的に手札を切っていけた。
一方、『ワイルドフロスト(Wildfrost)』は基本的にカードを1枚使うごとに1ターンが経過してカウントが進むので、慎重に考えてひとつずつ手を打っていくプレイ感覚になるだろう。並んだカードを見つめながら長考することもある。ときに一斉に複数のキャラクターのカウントがゼロになり、戦況がダイナミックに変わる。
過酷な試練に立ち向かえ!
難しさを感じたのは、中盤以降のボスは能力値が高いだけでなく、凶悪な特性を持っていることだ。初見だと、ボスの特性を理解するだけで精一杯になりがち。
攻略するには、さまざまなエフェクトについても理解しておく必要がある。本作のエフェクトとは、毒の胞子、混乱といった状態異常や、一時的な強化と弱体化のことだ。最初の部族「スノードウェラー」はエフェクトを利用した戦いを得意とするので、いろいろ試すといいだろう。
1周目の最後までたどり着けなくても、敵を倒し続ければ、2番目の部族がアンロックされる。新しい部族でプレイしてみると、その部族の仲間と特性を活かして突破口を見つけられるかもしれない。

私は本作の世界観が特に気に入っている。さまざまな部族の人間、獣、獣人たちが登場し、民族的な衣装や建築物のデザインに温かみがある。愛らしいキャラクターたちがにぎやかに集まり、自然と共に生きる暮らしを営んでいる様子が魅力的だ。
ストーリーにも少し触れておくと、この世界は雪と氷の嵐「ワイルドフロスト」に襲われて数百年が経っており、「スノードウェル」という拠点に集まっているのが最後の生存者だ。長きにわたり凍りついた世界を解放するために、冒険者たちは「太陽の寺院」を目指す。そんな過酷な自然に立ち向かうストーリーだ。
いったいどれだけの探検隊が挑戦し、帰らぬ人となったのか。そこに数えきれないドラマがある。ボスたちが並大抵の強さではないのも、厳しい自然環境を象徴しているかのようだ。『ワイルドフロスト(Wildfrost)』は、その世界観の通りに、不屈の精神で過酷な試練に挑むゲームではないだろうか。
基本情報 | |
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開発 | Deadpan Games, Gaziter |
販売 | Chucklefish |
配信日 | 2023年4月12日 / 日本語有り |
定価 | 2,300円 (Steam) |