
皆さんは「Kickstarter」をご存知だろうか。
Kickstarterはアメリカの民間企業で、自社の運営するWebサイト(リンク)上で、クリエイターが「クラウドファンディング」による資金調達を行う手段を提供している。
クラウドファンディングと言ってもさまざまな形があるが、共通するのはクリエイターの思い描くアイデアを形にするために、多くの人々が資金を出し合って実現を目指すというものだ。
この記事では、50を超えるタイトルを実際に支援してきた筆者から、クラウドファンディングにおける「インディーゲーム」との出会いに焦点を当て、これまで多数のインディーゲームのプロジェクトの開催実績のあるKickstarterを取り上げて紹介したい。

成功を収めたプロジェクト
これまで、資金獲得に成功したインディーゲームのプロジェクトの中には、リリース後に高い評価を得たタイトルも含まれている。こちらから、過去のプロジェクト一覧を確認できるが、ご存知のタイトルも多いのではないだろうか。
参考までに、いくつか紹介しよう。
EVERSPACE 2

Bloodstained: Ritual of the Night

Kingdom Come: Deliverance

インディーゲームを探そう
すでに注目されているゲーム開発者やスタジオが、クラウドファンディングを開始したとなればゲームメディアでニュースになることもあるが、その機会はあまり多くはなく、情報をキャッチする手段は限られている。
なので、今回はプロジェクトを自分で探しにいくことをおすすめしたい。
Kickstarterの「ゲーム」カテゴリには、ボードゲームなども含まれているが、今回は主にSteamをプラットフォームとした「インディーゲーム」のプロジェクトが目的だ(大多数のプロジェクトがまずSteamでのリリースを目指している)。そこでは、まだ見たことのない新しいアイデアの作品との出会いがある。
ちなみに、KickstarterのWebサイト全体は日本語に対応しているが、個別のプロジェクトは原則英文で表記されている。Google Chromeなどのブラウザの翻訳機能を使うことで、どういったゲームを目指しているか把握することができるので活用するといいだろう。

現在進行中のプロジェクトからインディーゲームを見つけやすいように、あらかじめ検索フィルタをかけた状態のリンクを用意したので、よければこちらからアクセスしてみてほしい。
気になるプロジェクトをチェックする
開催中のプロジェクトから気になるタイトルを見つけたら、まずは覗いてみよう。そこにはプロジェクトを紹介する動画や、ストーリー、ゲームシステム、コンセプトなどを説明するテキストが書かれている。
それは閲覧者に支援をしてもらうための、言わば「プレゼン資料」なので、Nintendo SwitchやSteamなどの販売ページで普段目にする内容よりも深い部分に触れられていることも多い。その点でも興味深いのではないだろうか。
そして、応援したいと思えるプロジェクトに出会えたなら、開発資金を支援する「バッカー(支援者)」になることを検討してみよう。

プロジェクトを支援する
プロジェクトページには、「プレッジ(支援)する」という項目があり、そこには支援金額に応じた「リワード(報酬)」が書かれている。
リワードの内容はプロジェクトによってさまざまだが、多くは最低ラインに「ゲーム本体(Steamキーなど)」が含まれているので、金額的にも普段ゲームを購入するのと同じ感覚で支援が可能だ。
ページ内には目標額と締切日が表示されていて、締切日の時点で目標額の100%以上が達成されていればプロジェクト成功(ファンディングゴール)となり、そこではじめて選択した支援金額がバッカーに対して請求される。もちろん、100%に届かなければプロジェクトは失敗となり、支払いが発生することはない。
ただし、これから開発をスタート、またはその時点で鋭意開発中ということになるので、実際にゲームを入手できるのは数ヶ月から数年先となることは注意しておこう。

「リワード(報酬)」欄には「お届け予定」が記載されていて、これはバッカーがリワードを得られる時期で、そのタイトルがリリースされる時期にあたる。しかし、あくまで予定なので実際には延びることも多い。
支援するメリット
先にも触れたが、プロジェクトを「プレッジ(支援)」すると、その支援金額に応じた「リワード(報酬)」を得ることができる。これが、普段ゲームを購入するのと大きく異なるポイントだ。リワードにはゲーム本体(Steamキーなど)が含まれていることが基本だが、加えてバッカー限定の内容が用意されている。
例えば、「クレジットへの名前表記」や「限定のゲーム内アイテム」、「クローズドβテストへの参加」や「公式Discordの特別なロール」などだ。さらには、「ゲーム内アイテムをデザインする権利」や「開発スタジオに招待」といった特別なものまである。
また、バッカー向けに開発の進捗状況が、Kickstarterのプロジェクトページ上や、Discord、メールなどで定期的に報告されるので、より近い立ち位置で見守れることも魅力のひとつだ。
もちろん、もっと純粋な気持ちで支援したい方もいらっしゃるだろうが、一切の見返りを求めずに任意の金額をプレッジすることもできるので(事実上の寄付扱い)、思い思いの方法を選択すれば良いだろう。
2023年8月にリリースが予定されている、Sabotage Studioの『Sea of Stars』では、ゲーム内のある場所に設置された「記念碑」にバッカーの名前が刻まれるというユニークなリワードが用意されていた。なお、筆者の記念碑もあるので、見かけることもあるかもしれない。

応援の形はさまざま
ゲームを応援したいという気持ちを形にして行動しようとする際、取れる手段はさまざまだ。特にリリース直後の初動や、好意的なレビューの投稿は重要で、それを意識して積極的に行動されている方もいることだろう。Steamであれば、リリース前にウィッシュリストに登録しておくだけでも貢献できる。
そして、さらにもう一歩踏み込んだ関わり方となるのが、今回紹介したゲーム開発資金の調達を目的としたクラウドファンディングへの参加だ。まだパブリッシャーもついていない、新しいアイデアのインディーゲームに出会い、開発資金を支援し、制作を見守ることができるわけだ。
実際にプレイできるまでに長い時間がかかることも多く、確実に完成する保証もないというリスクも忘れてはいけないが、こうした魅力的な関わり方もあることがお伝えできていれば幸いだ。
支援したタイトルが高く評価され、クレジットに載った自分の名前を見つけたときには、ちょっと誇らしい気分にもなるだろう。それはきっと特別な瞬間なはずだ。
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