レトロすぎる! 死にゲー悪魔祓いホラー『FAITH: The Unholy Trinity』


Masa Kei
Masa Kei

2023.05.08

ashi_yuri氏(Twitter)の翻訳による非公式日本語翻訳modでプレイ。開発者へのインタビューによると、無償なら有志翻訳は歓迎とのこと。

みなさん、ホラーゲームで文書を集めるのは好きですか?
"死にゲー"のボス戦で熱くなったことは?

どちらも好きなら、『FAITH: The Unholy Trinity』をぜひプレイしていただきたい。

▲中央にゲーム画面。両端に背景がつく

『FAITH』シリーズ3作を収録した決定版

本作は悪魔祓いを題材としたホラーゲームで、8bit風のレトロなピクセルアートが特徴的だ。

チャプター1はもともと無料配信されていた短編がベースとなっているが、チャプター2、3と段階的にスケールアップしていく。その3つのチャプターを収録した本作が2022年10月に発売され、このたび非公式日本語翻訳modが作成された。

チャプター1の舞台は1987年のアメリカ、コネチカット州にあるマーティン家。若い神父のジョンは、1年前に悪魔祓いに失敗したときの現場を再び訪れる。

▲マーティン家。過去は謎に包まれている

操作方法はシンプルで、キャラクターの移動のほかは十字架を掲げるアクションだけ覚えておけばよい。悪魔を祓うときや何かが憑りついた物を調べるときは、ボタンを押し続けて十字架を掲げよう。

▲チュートリアルに聖書の引用が!

ボス戦が熱い"死にゲー"

主人公はゆっくりとしか移動しないのに、ボスの動きは激しく、実はアクション要素の強いゲームだ。

最初に驚くのは、4体に分身した敵に取り囲まれたときだろう。そのうち、何度も死んでリトライする"死にゲー"だと痛感するはずだ。どのチャプターにも、条件を満たすと戦える隠しボスが存在し、バリエーション豊かな激戦が繰り広げられる。

▲分身した敵。十字架を向けて本物を探せ!

ストアページを見ただけではアクションの難易度はあまり伝わってこないので、その点は注意したほうがよさそうだ。

だが、手ごわいボスとの戦いに熱くなれるのが魅力でもあるので、アクションが苦手でなければぜひ挑戦してみてほしい。

文書から読み解く重厚なストーリー

ストーリーとテキストにも注目だ。
若い神父のジョンが悪魔やカルト教団と戦う物語だが、己自身の弱っていく信仰心との戦いでもある。

バチカンの承認を得ずに、ジョンが独断で行動した結果はどうなるのか。まず、チャプター1のマルチエンディングをいくつか見ておこう。そこで生まれた疑念がチャプター2以降で膨らんでいき、プレイヤーもどの情報を信じていいのか分からなくなる。

いったいジョンはどうなってしまうのか? 深淵に踏み込む怖さがある。

随所で手に入るメモは、ヒントとして役立つだけでなく、過去の出来事が断片的に語られる。日記のような文書を集めて読み解くのが好きな人にはたまらない、重厚なストーリーとなっている。

メモのコンプリートを目指しながら、隠し要素を見つけていこう。

▲ホラーゲームと言えば、怖い日記

不便な点も…

だが、困ったことにオートセーブしかなく、メモを取り逃したまま先に進んでセーブされてしまうことが多い。複数のセーブファイルを残しておけるようにしてほしいところだ。

攻略情報なしでは行き詰りそうな難所もあるが、英語の攻略記事を読むのは大変だろう。これから日本のプレイヤーたちから情報が集まって、調べやすくなるとありがたい。

レトロな表現とリアリティの融合

本作は、70年代後半から80年代にかけての欧米のゲーム機やPCを意識して作られているようだ。

解像度は192x160で、ゲームを起動すると当時のPCの起動画面のような演出がある。キャラは棒人間のような原始的な表現で描かれ、合成音声は音が割れたような不気味な声。

一方、カットシーンはロトスコープという手法を用いて、役者の動きを撮影してトレースしたアニメーションがぬるぬる動く。こうしたチグハグさが、かえって想像力を掻き立てるのではないか。

▲アニメーションもピクセルアートに

ゲーム内の出来事は主人公にとってはリアルそのものなのだが、プレイヤーは最初期のビデオゲームの表現でそれを見ている。時折挟まるカットシーンやメモに書かれた詳細からリアリティを感じ、ドット絵の世界への想像力がさらに働くのだ。

なんだか笑える奇妙さ

また、不気味なのにクスっと笑ってしまう描写も本作の魅力と言っていいだろう。
子どもの落書きみたいな怪物が高速でちょこまかと動くのは、狂気じみたおかしさがある。狙ってやっているのかどうかはよく分からないが。

▲四つん這いでちょこまか動く怪物

ゲームオーバー時に「YOU DIED」のように出てくるラテン語の「MORTIS」も、合成音声がついていてクセになる。

何度も死んでやり直しになるのがNG集のようで、なんだか笑えてくる。

▲クリアまでに100回は死ねる!

本作は小さくまとまらず、奇妙なことを思う存分にやっているのがいい。

長年かけた作り込みは圧倒的で、インディーゲームならではの傑作だと言える。日本語で遊べるようになったことに感謝したい。


基本情報
開発 Airdorf Games
販売 New Blood Interactive
配信日 2022年10月22日 / 日本語無し / 非公式日本語翻訳mod有り
定価 1,520円 (Steam)
Indie Freaks

Support us