荒廃した世界で真実に迫るタクティカルアドベンチャー『Miasma Chronicles』


朝比奈 / Asahina

Miasma Chronicles』は、「ミアズマ」と呼ばれる謎の現象によって荒廃した未来の地球を舞台に繰り広げられる、見下ろし型視点のタクティカルアドベンチャーゲームだ。

主人公の青年エルヴィスは、”兄”であるロボットのディグスと共に、10年前に消えた母親が残した「ミアズマの力を操れる謎のグローブ」を扱うために苦心する日々を送っていた。彼女は、そのグローブを操れるようになり、再会を果たしたときにエルヴィスが何者なのかを教えると言い残していたのだ。

これは、さまざまな人々や勢力と交流しながら、ミアズマの謎と、自身の正体が何者なのかを追い求める探求の物語だ。

▲信頼し合う2人は兄弟であり、良きパートナーだ

探索要素とタクティカルバトル

本作では、ストーリー上の目的に沿って、マップ上に存在するステージへと移動して攻略を進めていくのだが、ここで特徴となるのが「リアルタイムでの探索要素」と「ターン制のタクティカルバトル」だ。

各ステージのロケーションは、荒廃して無人となった都市や、沼に沈んだテーマパーク、工場地帯、森に沈んだ町の跡などさまざまだが、そこには武器や物資、通貨代わりのプラスチックなど冒険に役立つものが残されている。ときには、かつていた人々の記録や思い出の品も見つかることだろう。

そうしたものを求めて、ステージ内を自由に探索して回ることができるのだ。

▲ポストアポカリプスの世界がたまらないという方にもおすすめ

しかし、荒廃したこの世界では敵対勢力やモンスターなど、危険な敵に遭遇することもある。

戦うことを選択した場合、シームレスに戦闘状態へと移行するが、戦闘はターン制となっていて、主人公たちと敵集団とが交互に攻撃を繰り返していく。

戦闘では、銃器やグレネードといった近代兵器から、主人公によるミアズマの力を利用した特殊な攻撃や、キャラクター毎に性能の異なるさまざまなスキルを駆使して戦う。高低差、距離、遮蔽物によって攻撃の結果に影響が出るなど、戦術性の高いバトルが楽しめるだろう。

▲攻撃を仕掛ける位置、順番、対象。すべてが重要だ

だが、正面から直接対決しては分が悪いこともある。そこで、有効に働くのがステルス要素だ。

武器の中にはサイレンサー付きのものがあり、ステルス状態で近づき、孤立している敵を静かに倒すことで、本格的な戦闘状態に入ることなく敵集団の数を減らすことが可能だ。倒し損ねれば他の敵に気づかれてしまうので注意は必要だが、うまく扱えば、レベルや数に差のある相手とも渡り合える。

もちろん、こうした手段を取るかはプレイヤー次第だが、探索と戦闘が分かれた状態からシームレスに繋がるからこそ使える、面白いゲームシステムではないだろうか。

▲ステルスを駆使すれば、敵の大半を排除できるシーンも

引き継がれ、磨かれたもの

ここまでに紹介した基本的なゲームシステムは、The Bearded Ladiesが制作した前作『Mutant Year Zero: Road to Eden』から引き継がれたもので、大きく変化はしていないが、痒いところに手が届く調整が加えられているという印象だ。

例えば、前作では武器MODを変更するには逐一拠点の街まで戻る必要があったが、ステータス画面から戦闘中以外ならばいつでもできるようになった。また、スキルもノーコストで振り直し可能になったことで、戦術的に組み換えが気軽にできるなど、遊びやすさが向上している。

より磨きをかけたゲームシステムで、新たな物語を楽しめることは前作のファンにとっても嬉しいものだ。細かな難易度設定があり、カジュアルにもハードにもプレイできるので、今作からのプレイヤーも含めて多くの方が楽しめる作品だろう。

ローンチ時点において、一部のテキストが欠けていたり、やや不自然に感じる文章や、翻訳前のオリジナルの英文テキストが表示されてしまったりと、日本語翻訳に関していくつかの問題を確認している。
 
全体のごく一部であり、前後関係から何が書かれているかを把握することは容易なため、ゲームを楽しむ上ではそれほど支障はない。すでにフィードバックも行われているので修正に期待しておこう。


基本情報 Miasma Chronicles
開発 The Bearded Ladies
販売 505 Games
配信日 2023年5月23日 / 日本語有り
定価 6,780円(Steam
Indie Freaks

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