
『Planet of Lana』は、生命と自然があふれる星の上で繰り広げられる、未知との遭遇を描いたSFパズルアドベンチャーゲームだ。
自然と共に素朴で平和な生活を営んでいた人々の村に、ある日、空から未知の機械生命体が襲来し、村人たちを連れ去っていってしまう。1人逃げ延びた主人公の少女Lanaだったが、森の中でこの長い旅を共にすることになる小さな動物の友人と出会う。
人々と共に連れ去られた、たった1人の家族Eloの行方を求めて、少女と小さな友人は旅に出るのだった。

注意深い観察と試行錯誤
本作のゲームシステムは、横スクロールで進んでいくステージ上を、さまざまなパズルやギミックを解いたり、主人公にとって危険な機械や原生生物の目をくぐり抜けたりしながら進んでいくというものだ。
主人公は重い足場を動かすような力仕事を担当するが、小さく機敏な相棒は狭い場所や高い位置へと行くことができるので、行き先を指示して高い位置にあるロープをおろしてもらったりと、お互いを助け合いながら先へと進んでいく。

ただし、初見ではパズルやギミックの仕組みが分からず、機械や動物の動きも予測がつかないため試行錯誤が求められるだろう。また、文字や言葉は登場するものの、プレイヤーには理解できない本作独自のものなので、観察してヒントをヒントだと理解することも重要になってくる。
幸い、ミスをしてもペナルティがなく、直前からリトライすることができるので、繰り返し挑む上でのストレスは少ないはずだ。

自然と機械が織りなす未知の旅
旅が進むに連れて、自然あふれる風景から移り変わっていき、少女にとって未知の「遺跡」や、機械に侵食された土地を目にすることになる。それはやがて、機械生命体の目的や、この星に住む主人公たちのルーツ、そして真実にも触れていくことになるのだ。
まさに、「未知との遭遇」を表した物語だ。

本作のような、トライアル・アンド・エラーでステージ内のパズルやギミックを解きながら、先へ先へと進んでいく『LIMBO』や『INSIDE』などに代表される横スクロール型のゲームは、すでに確立されていて特別な目新しさはない。
そのため、あとはいかにプレイヤーを魅せられるビジュアルや世界観、ユニークなストーリーを用意できるかが重要な要素となってくる。
その点において本作は、琴線に触れるようなビジュアルや、未知への探究心を刺激されるストーリーを持ったSF作品に仕上がっていて、飽きることなくラストシーンを期待してプレイすることができた。

先に触れたとおり、プレイヤーには本作の文字や言葉が理解できないため、目撃したもの以上は想像することしかできないのだが、解釈に幅のある考察ができる楽しみこそSF作品の醍醐味だ。
ぜひ、小さな友人と共に旅に出て、ラストシーンの後には「こういう物語だったのではないか」という想像を巡らせてみてほしい。
基本情報 | Planet of Lana |
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開発 | Wishfully |
販売 | Thunderful Publishing |
配信日 | 2023年5月24日 / 日本語有り |
定価 | 2,300円(Steam) |