宇宙人は本当にいる! SFテレビドラマ愛があふれ出る『Greyhill Incident』


朝比奈 / Asahina

Greyhill Incident』は、90年代のアメリカの田舎町「グレイヒル」を舞台とした一人称視点のSFサバイバルホラーゲームだ。

町は謎の光や気配に脅かされていて、住人たちは"宇宙人"の仕業だと考えているが、警察に相談しても信じてもらえないので、自分たちでなんとかするしかないと考えている。

プレイヤーは主人公ライアンとして隣人たちと協力しながら、宇宙からの脅威と戦うことになるのだ。

夜をかき分けて謎に立ち向かう

本作のゲームシステムは、マップ内を探索しながら、ストーリー上の目的を達成していくというものだ。ゲームを進めるためには、特定のポイントに移動してイベントを発生させたり、キャラクターと会話をしたり、キーアイテムを入手したりといった行動が必要になる。

ただし、細かくゲーム側で誘導してくれるわけではないので、プレイヤー自身で考えて行動しなければならない。手探りで探索しているシーンが多いものの、それも雰囲気重視といったところだろう。

なお、舞台となる時間帯が夜なので、プレイヤーはフラッシュライトを片手に探索を進めるのだが、クランク式で自家発電するためにコントローラのボタン(キーボードなら"F"キー)を連打しなければならず、その上あまり持続してくれないため扱いづらい。

リアリティさはあるが、ことあるごとに連打している印象が残ったので、ここはもう少し遊びやすくしても良かったかもしれない。

宇宙人にはリボルバー

物語が進むと、町の住人たちを拐おうとする宇宙人と対峙することになるが、隠れてやりすごすこともあれば、直接対決することもある。

だが、戦うとは言っても主人公はどこにでもいる普通の男なので、超人的な能力のような特別な手段を使うわけではない。リボルバーを手に戦うのだ。

彼らの動きは緩慢なので、狙って当てることはそう難しくはない。しかし、物語が進むことで、多数を相手に戦わなければならないシーンもあるようで、弾薬も豊富とは言えないため、どう対処していくのかも考える必要があるだろう。

果たして、彼らの目的や真実が判明することはあるのだろうか。

▲宇宙人の姿は典型的な"グレイタイプ"だ。往年のファンにはたまらない

SFテレビドラマへのリスペクト

本作の面白いところは、住人たちが本気で宇宙人の存在を信じているところだ。政府の陰謀論を唱え、彼らは彼らなりの根拠を持って宇宙人対策をしている。例えば電磁波を防ぐためにアルミ箔で覆ったキャップを頭にかぶるといったことをしていて、ともすれば、それは滑稽に映る。だが、彼らは真剣なのだ。

ゲーム開始時点ではプレイヤー自身も宇宙人を疑って見てしまうが、だんだんとそれが真実味を帯びてくるというストーリーの運び方はドラマ的で、制作にあたって『X-ファイル』などにインスパイアされたというのも理解できる演出だ。

ガタガタと鳴る窓の外から差し込む謎の光、見えない畑の向こう側へと吠える犬、そして、ついに姿を表す空飛ぶ円盤など胸が熱くなる。

それは、登場人物たちにとっては真に脅威なのだが、プレイヤーにしてみればどこかユーモアも感じてしまって、ホラー作品らしさは薄まるが、SFテレビドラマのファンにはたまらなく懐かしい気分にさせてくれるのではないだろうか。

そうした部分に特に魅力を感じる方におすすめしたい作品だ。

本作は日本語をサポートしているが、リリース前に事前プレイを行った時点では、日本語としては違和感のある翻訳となっていた。おそらく機械翻訳と見られ、今後改善されるかはわからないが、ある程度その意味を推し量りながらプレイすることはできるだろう。
 
ただ、意味の異なる文字があてられてしまっているものもあるので、必要に応じて一旦英語に切り替えて確認をするなどして進めてもらいたい。


基本情報 Greyhill Incident
開発 Refugium Games
販売 Refugium Games
配信日 2023年6月9日 / 日本語有り
定価 2,800円(Steam
Indie Freaks

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