自分以外にモグラしか居ない地底世界で掘りまくれ『Mad Miner』


テヌキボーズ

Mad Miner』は、地底を舞台にした2Dサバイバル・サンドボックスだ。

突如として世界を巻き込んだ核戦争が始まり、主人公はあわててバンカーへと逃げ込む。酸素や食料を確保しながら、資源を集めて生活環境を整え、地底世界で新生活を始めよう

一見すると、2Dサンドボックスの名作『Terraria』のフォロワーといった風情だが、実際にはかなり個性的な一作に仕上がっている。

▲地底でも快適に暮らしたい!

地底には敵が居ない!?

まず、驚かされるのが本作には敵が存在しないことだ。勝手に土を掘って足場を崩すモグラのようなお邪魔キャラは居るものの、直接的にプレイヤーキャラの命を脅かす者は存在しない。

ならばヌルゲーかと言うと、そうでもない。

各種設備のクラフトに要求される素材は多く、酸素や食料が安定するまでに幾度も死を重ねることになるだろう。また、採掘した土や岩ブロックの再配置も行えないため、うっかり足場を崩したら経路を再構築する羽目に陥る。

常に作業の優先順位を考え、採掘経路を慎重に計画する。言うなれば、パズルのような立ち回りが要求されるのである。

▲足場を崩すだけのモグラが地味に厄介

缶詰以外は遠慮します

サバイバルゲームならば、序盤は衣食住の確保に奔走することが多いはずだ。確固たる生活基盤を構築したのちに、探索範囲を徐々に拡大していくわけである。

それはサバイバル要素を備えた本作でも同じ……と言いたいところだが、いささか趣が異なる。酸素については比較的容易に確保できるだろう。酸素を生成する設備をクラフトして燃料をくべれば、周囲に酸素を供給してくれる。

問題は食料の確保で、妙に敷居が高いのである。

モグラ以外の動物が居ない地底世界では、野菜を育てて食べる以外の選択肢はない。しかし、野菜の種は土を掘りまくらないと手に入らず、おまけに酸素がなければ作物は育たない

加えて、どういう理由なのか、収穫した野菜には「缶詰にする」という工程が要求される。缶詰にしないと食べられない野菜。地底世界のルールは謎が多い。

▲生野菜を食べるなんてとんでもない

お金の力が彼を強くする

先述のとおり、食料は安定した確保が困難で、このままでは長時間の探索さえも危ぶまれる。さらにはツルハシを振るう速度は遅く、ジャンプで飛び上がれるのはせいぜい1ブロック分の高さと、なかなかの貧弱っぷりである。

そこで重要となるのが、アビリティのアップグレードだ。地底に埋蔵された金塊を採掘してインゴットへと精錬し、これを消費することで能力を成長させることが可能となる。

アビリティは、満腹度や酸素の減少を大幅に抑えるものや、二段ジャンプ、ツルハシを振るう速度上昇など有用なものばかりだ。探索を有利に進めるためにも、金塊は積極的に採掘していこう。

▲光が差し込むような有用なアビリティたち

マイペースな冒険に出よう!

率直に言えば、筆者は敵が居ないサンドボックスなんて面白いのだろうかと不安に思っていた。しかし、これが意外にも「自分のやりたいこと」に没頭できて快適なのである。

無心で採掘しても良いし、拠点の改造計画を練るのも良い。ジェットコースターのごときトロッコ網の敷設や、希少資源を求めて別の鉱山を探索するのも自由だ。ここに目的を阻む者は存在しない。

一方で、不満点と言えば、食料周りはもう少しカジュアルに寄せても良いのではと感じだ。缶詰づくりに必要な資源が地味に多すぎるのだ。そしてやはり、缶詰にしなければ野菜を一切食べられない妥当な理由が思い浮かばない。

とはいえ、目立った不具合などもなく、ほどよいバランスでまとまった本作。少し変わったサンドボックス作品を求める方は、ぜひチェックしてみて欲しい。

基本情報
開発 Mercimek Games
販売 Mercimek Games
配信日 2023年6月24日 / 日本語なし
定価 1,200円(Steam
Indie Freaks

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