ゲームの息抜きにゲームをしよう『トゥクトゥクレース』プレイレポート


朝比奈 / Asahina

トゥクトゥクレース』は、その名のとおり、東南アジアで普及している三輪自動車「トゥクトゥク」によって繰り広げられるレースゲームだ。プレイヤーはトゥクトゥクのドライバーとなって、山間のコースで他のトゥクトゥクと競い合うことになる。

これまで、トゥクトゥクをメインに扱ったレースゲームなど聞いたことがなかったので、どんな内容が待ち受けているのかと期待したが……想像以上に平和なゲームだった。

▲トゥクトゥクは無人だが気にしてはいけない

トゥクトゥクで走る

本作では、山間にある5つのコースを、プレイヤーの操作する車体を含めて全部で5台のトゥクトゥクで競い合う。シングルプレイ専用となっているので、他の車体はすべてCPUだ。

筆者はトゥクトゥクに乗った経験がないので、どこまでリアリティがあるかはわからないが、最高時速は110km程度。操作性はとてもマイルドで、コーナーは曲がりやすく、ブレーキが利きにくいといったこともない。

▲ナンバープレートにこだわりがあるそうだ

この状態でレースをするわけだが、用意されているコースはそれぞれレイアウトは異なるものの奇抜さはなく、とても走りやすい。他のトゥクトゥクとの性能差がないこともあり、ひどいミスさえしなければ自然と1位を取れてしまう。

CPUの挙動もマイルドで、進路妨害をしてきたり、車体をぶつけてきたりするようなこともない。何とも平和な光景だ。

▲伝わらないかもしれないが、ちょっといい感じにドリフトをしている

ハンドブレーキはあるので、急カーブのコーナーにトップスピードで突っ込みながら引くことで、なんちゃってドリフトのようなドライビングテクニックを発揮することもできるが、それが必要になるシーンは……多分ないだろう。

トゥクトゥクを彩る

プレイヤーが最初に選択できる車体は、黄色ベースに青いラインが入ったものだけだ。しかし、レースを重ねることでポイントを獲得することができ、引き換えに新たなカラーリングの車体のアンロックが可能だ。

初期の車体カラーを除き、全部で20種類のカラーリングが用意されていて、必要なポイント数も違っているが、あくまで色の違いだけで性能差はないようだ。ピーキーな調整が施された車体が用意されているといったこともないので、面白みには欠けるものの、そもそもそうしたものを求めるゲームではないのだ。

なお、順位によって獲得できるポイントに差はあるが、1位を取ることは難しくはなく、また、最下位でも多少はもらえるので、プレイし続ければやがてはすべてアンロックできるだろう。

レースゲームに何を求めるのか

プレイヤーがレースゲームに求めるものは、一般的には競争性や爽快感といったものだろう。しかし、本作から受ける印象は、その対極にあるようなものだ。

観客もいないのどかな雰囲気の山間のコースを、レースゲームとしては非常にゆっくりとした速度で走り、おまけにBGMにはチャイコフスキー作の「くるみ割り人形 ~花のワルツ~」が流れる。

▲1位を取ることがすべてではない

我々ゲーマーというものは日々、世界の危機を救ったり、ポストアポカリプスの世界でサバイバルをしたり、モンスターに立ち向かったりしているわけだが、緊張感の連続に疲弊して、ときには息抜きをしたいこともある。

そういうときにおすすめの1本だ。ゲームの息抜きはゲームで。


基本情報 トゥクトゥクレース
開発 INORK Game
販売 INORK Game
配信日 2023年5月25日 / 日本語有り
定価 400円(Steam
Indie Freaks

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