会話が噛み合わない男子たちとの恋愛模様『狂気より愛をこめて』プレイレポート


朝比奈 / Asahina

狂気より愛をこめて』は、絶対に会話が噛み合わない4人の男性たちと1年間の学園生活を共にしながら、意中の相手の心を射止めようとする恋愛アドベンチャーゲームだ。

主人公は、もともと通っていた高校がテロリストによって爆破されてしまったことで、本作の舞台となる東京私立古詩庵歌羅芽琉院学園(とうきょうしりつこしあんからめるいんがくえん)に転校してきた2年生だ。そして、そこで出会った3人の生徒と1人の保険医との恋愛模様が描かれていくことになる。

学園での日常と恋愛模様

本作のゲームシステムは、イラスト上に表示されたテキストでストーリーが展開されるビジュアルノベル形式だ。途中の選択肢によって、攻略対象との関係性を深めていく。

プレイヤーの分身となる主人公は、自由に名付けられる名前以外のパーソナルな部分は性別を含めてゲーム内では明示されないが、一人称に「私・僕・某(それがし)」を選択できるので、それによって好みの設定を当てはめるといいだろう。なお、一人称はどれを選んでも口調に変化はなく柔らかい印象のものだった。

▲流れは途切れてしまうが、直前でセーブして選択肢をやり直すことも可能だ。周回プレイで活かすといいだろう。

攻略対象のキャラクターは4人だが、選択肢によってその内の誰かに決まってくる。特定の場所に移動することで誰かと遭遇して、会話の中での選択肢によって分岐するタイプだ。誰とどこで会えるかはパターン化されているので、あとは彼らに合わせた会話を進めていくだけだ。

徹底的に意中のキャラクターだけに絞って交流を重ねてもいいし、とにかく多くのキャラクターと出会えるように立ち回ることも可能だ。

会話は噛み合わないが……

本作のアピールポイントでもある「絶対に会話の噛み合わない」は伊達ではなく、意味不明な単語を並べたり、不思議ちゃんのようであったり、辛辣に毒を吐いたり、もはや人類には理解できない言葉であったりとさまざまだ。

▲すまないが何を言っているのかわからない。

だが、関係性を深めていくごとに、不思議なことに彼らの会話内容は変わらないのにその感情が理解できるようになってくる。これは、絶妙な言葉選びのセンスによるものなのか、時折りふと見せる素顔によるものなのかはわからないが、思わず入り込んでしまう巧みさだ。

そうして、授業や昼食の時間、部活動に体育祭、クリスマスやバレンタインデーといった盛り上がるイベントを経て、意中の相手と恋人として結ばれることが目的となる。

▲あれ……かわいく見えてきたぞ……?

今回、筆者は「主人公と同じクラスの明るくやんちゃなイケメンチャラチャラ金髪男(原文ママ)」の"佐伯祐介"くんをターゲットに攻略を進めたが、なにを言っているのかまるでわからないながらも、彼が時折り見せるふとした優しさや照れ顔に思わず乙女心がうずいてしまった。

夏休みに一緒に海水浴に出かけたり、ドキドキのふたりきりのクリスマスを過ごしたり、初詣に行った神社で偶然出会って餅つきを楽しんだりとさまざまなイベントを経て、そして、ついにバレンタインデーで高まった思いを告げることになるのだが――ここからはぜひ、皆さん自身の目で体験してほしい

もちろん、佐伯くん以外の好みの男性にロックオンするのも、周回を重ねて全員攻略するのも有りだ。ぜひ、噛み合わない彼らとの不可思議な学園生活を楽しんでほしい。

本作に望むもの

本作は、選択肢によってストーリー展開が分岐するマルチエンディングであり、すでに触れているとおり攻略対象も4人いる。

それらすべてを攻略したいと思うのはゲーマーのさがだが、テキストを早送りするスキップ機能はあるものの、ゲーム内に目に見える形で分岐がわかるような「フローチャート機能」にあたるものがないので、すべてを目にするには細かくセーブをして、メモを取りながら総当たりで選択肢を選んでいくしかない。

また、1度見たイベントイラストを見返すことができるギャラリー機能はあるが、イベントそのものは振り返ることができない。どのエンディングを見たのかも収集されるわけではないため、恋愛アドベンチャーとしての性質上、もう少しサポート機能が用意されていればより遊びやすいのではと感じた。

これは今後のアップデートで対応される可能性もあるので、今後に期待したいポイントだ。


基本情報 狂気より愛をこめて
開発 Jamsanpoid, VampireK.K.
販売 VampireK.K., PLAYISM
配信日 2023年7月18日 / 日本語有り
定価 1,680円(Steam
Indie Freaks

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