『There is no light ~終わりなき暗闇~』は、宗教と信仰によって支配された地下世界を舞台に、教団に連れ去られた妻とその身に宿る我が子を取り戻すべく戦う、見下ろし型の高難易度2Dアクション・アドベンチャーRPGだ。
本作は、インディーゲーム開発スタジオ"Zelart"が、2020年にクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて開発資金調達を目的とするプロジェクトを開始。多数の支持を集めてキャンペーンを成功させ、Steamにて2022年9月20日にリリースされたタイトルだ。
しかし、ローカライゼーションに関するトラブルにより、その直前に日本語サポートが一時保留されていた。その後の続報はしばらく途絶えていたが、この度2023年8月2日のアップデートにて、ついに日本語がサポートされた形だ。
過酷な地下世界を巡って戦え!
かつての大災害によって荒廃した地上を捨て、地下世界に暮らす人々は「偉大なる御手教会」によって支配され、年に1度、幼子を生贄とすることも当然のように受け入れていた。そんなある日、野営地を襲撃され、妊娠中の妻を連れさられた主人公は彼女を取り戻すべく戦うが、あえなく敗れ瀕死の重傷を負ってしまう。
だが、まるで悪魔のような謎の人物サムディによって死の淵から蘇った主人公は、彼の手によって鍛えられ、妻と我が子を取り戻すべく地下世界の探索に赴くのだった。
本作の目的は、地下世界を探索し、ある「門」を開くために必要な4つの鍵を集めることだ。その道は険しく、危険な敵や強力なボスが主人公を待ち受ける中、各地を巡ることとなる。
ゲームの主軸となるのは、スピード感のあるバトルアクションだ。それ自体は武器やスキルを用いた攻撃と回避を組み合わせたオーソドックスなものだが、ゲーム全体を通してスピード感があり、常に素早い反応や判断が求められる印象だ。
道中では多数の敵に囲まれ、最後に待ち受けるボスは比較にならないほどに強力。敵を倒したり拾ったりすることで貯めた「デスエッセンス」と引き換えにスキルを習得して、主人公を強化していくこともできるが、回復手段が限られていたりと難易度は高め。敵の数を減らすなど、いくらかの要素を緩和したモードに切り替えも可能だが、それでもなお厳しい戦いが待っている。
だが、操作性は良く、自分のスタイルにあったスキルを選択してその扱いに慣れることでスタイリッシュに立ち回ることも可能だ。プレイヤー自身の腕が試されるタイプのゲームと言っていいだろう。
約1年越しの日本語サポート
記事冒頭で触れたとおり、本作はリリース直前にローカライゼーションに関するトラブルにより、日本語サポートが一時的に保留されていた。
筆者は、本作の開発資金調達を目的としたKickstarter(クラウドファンディング)プロジェクトの支援者(バッカー)なのだが、その当時の背景について開発スタジオ"Zelart"のメンバーに伺ったところ、LQA(言語に関する品質保証)において翻訳のクォリティに問題が認められたために一旦差し戻しとなり、担当を変更して再翻訳を進めることになったとのこと。
それが今回、約1年越しの日本語サポート実現となった形だ。なお、新たな翻訳は『ワイルドフロスト(Wildfrost)』や『Moonglow Bay』で知られる、英日ゲーム翻訳者の山村眸(あなたま)氏が手掛けている。
本作は戦闘一辺倒なわけではなく、緩急を織り交ぜるかのように人々が暮らす居住地での会話イベントや、世界の背景に迫るテキストを読むことができる。宗教的なテーマを扱うことでオリジナルからしてシナリオがわかりにくく、難解な表現も登場する本作だが、数多くのタイトルを担当し、定評のある山村氏の手掛けた翻訳のおかげでより集中して楽しむことができた。
なお、今回日本語がサポートされたのはSteamとXboxとなり、Nintendo SwitchとPlayStationの移植/配信開始までにはもうしばらく時間がかかるそうだが、この機会にぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
基本情報 | There is no light ~終わりなき暗闇~ |
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開発 | Zelart |
販売 | HypeTrain Digital |
配信日 | 2022年9月20日 |
2023年8月2日 / 日本語サポート追加 | |
定価 | 2,800円(Steam) |
2,700円(Microsoft Store) |