ループする高校生活の中で謎を解け『春待ちトロイダル』プレイレポート


朝比奈 / Asahina

春待ちトロイダル』は、謎が潜む離島を舞台に10日間の高校生活をタイムループする、カードバトル要素のあるアドベンチャーゲームだ。

ふと目覚めると、不思議な空間に立っていることに気づいた主人公の前に、自らを「悪魔」と名乗る謎の少女が姿を表す。記憶は曖昧だが、28歳の会社員だったらしい主人公に対して、彼女はこう告げるのだった。

「あなたに頼みがあるの。これから、とある島で高校生活を送ってほしい。」
「卒業まであと10日の高校に転校して、無事卒業式を迎える。私がやってほしいのはそれだけよ。」

ループする時間の中で謎を解け

本作の舞台となるのは、古くからの風習や伝統、そして土地神信仰が根付く離島「隆ヶ島」だ。

悪魔によってその島へと飛ばされた主人公は、本来の自分とは別人の高校3年の転校生として、10日後の卒業式までの短い時間を過ごすこととなる。だが、卒業式当日に「ある出来事」が起きてしまったことで、悪魔が待つ空間へと引き戻されて再び転校初日から繰り返すことになってしまう。

10日間という限られた時間を繰り返しながら、謎を解き、その出来事を防いで無事に卒業式を迎えてループから抜け出すことが本作の目的となる。

▲マニュアルが充実しており、本作の仕組みや進め方がいつでもチェックできる。

主人公が取れる行動は1日に6回まで。対話する・寝る・勉強・遊ぶ・移動・帰宅という行動を選択することで、それに応じたイベントが発生する。

謎に迫るためにはストーリーを進める必要があるが、それにはクラスメイトと対話をして関係性を深めなければならない。それによって見えてくる真実があるからだ。離島の高校というシチュエーションのため人数は少ないが、クラスメイトは男子6名女子6名のいずれも個性的なメンバーだ。

▲主人公の名前は自由に名付けられる。筆者は自分の名前を入れるタイプ。

カードで話を盛り上げよう!

彼/彼女たちと対話をする上で必要となるのが、悪魔から与えられた力である、話題(トーク)が目に見える「カード」として表れたものだ。手持ちのカードから8枚選択してデッキを組んでおき、そこからランダムに選び出された4枚を手札として対話を進めていくわけだ。

相手も同様にカードで対話をしてくるが、手札からなにを出してくるかまではわからない。トークには数値で示された強弱があったり、共通するトークであればシナジーが発生して盛り上がったり、相手の表情をヒントに予測したりと、カードバトル要素のあるシステムとなっているのが面白い。

▲対話カードバトルは本作の主軸で、4手で終わる駆け引きがメインだ。

また、ループ中に取った行動によって、能力やパラメーターを獲得することができるが、そのままではリセットされ次のループには持ち越せない。それらは最終日を迎えた時点でポイントに変換されるので、悪魔と取引をすることでカードやパラメーターを強化したり、アビリティや対話スキルをアンロックしたりできる。

そうしたローグライト的な要素を持たせていることも、一味違った本作の魅力となるポイントだろう。

▲悪魔との取引で、より有利な条件で次のループに挑むことができる。

ループの先に待つものとは……

こうした時限要素のある作品は、1ヶ月や1年といったように長いスパンが設けられていて、プレイヤーにとっても長期に及ぶ計画的なプレイが要求されがちだ。

しかし、本作はわずか10日間という短いサイクルで物語がループしていき、主軸となる「対話カードバトル」も手札の4枚を出し尽くせば終了と潔い。短い時間の中で試行錯誤し、行動と結果を繰り返し試していくスピード感のあるプレイが楽しめることが本作の特徴だ。

問題の出来事を防ぐためにはどうすればいいのか。島に隠された秘密とはなんなのか。そして、なぜ主人公でなければならないのか。あなたもぜひ、その謎へと迫ってみてはいかがだろうか。


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基本情報 春待ちトロイダル
開発 さめさめサメーション
販売 さめさめサメーション
配信日 2023年8月3日 / 日本語有り
定価 800円(Steam
Indie Freaks

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