2023年9月21日~9月24日に千葉県の幕張メッセにて開催されている「東京ゲームショウ 2023(以下、TGS2023)」の、インディーゲームエリア「Selected Indie 80」出展タイトル『Breachway』のブースレポートをお届けしよう。
インディーゲーム開発スタジオ"Edgeflow Studio"が手掛ける本作は、宇宙船を駆り、銀河系を舞台に繰り広げられる、デッキ構築型SFローグライク要素を持ったターンベースのタクティカルストラテジーゲームだ。

今回、TGS2023のブースに出展されている体験版では、体験版専用となる銀河の星系マップを進むことになり、ゲームシステムを解説した丁寧なチュートリアルを経て、そのマップのボス戦までを体験することができた。
体験版にはクオリティの高い日本語が収録されており、本作をパブリッシングする"Hooded Horse"の日本人スタッフもいらっしゃるので、試遊の際には十分に理解してのプレイが楽しめるはずだ。
なお、まだ開発中の内容であり、製品版ではゲームシステムなどに変更が加わる場合もあることはご理解いただきたい。
銀河を股にかける壮大な冒険
本作の舞台となるのは、宇宙に広がる銀河系。『Slay the Spire』や『FTL』にインスパイアされたという本作は、宇宙船を操りながら、デッキ構築型のカードバトルを行うというユニークなゲームシステムとなっている。
探索する星系マップは、ルートを選択しながら1マスずつ進んでいく方式。それぞれのマスではイベントが発生し、敵対勢力となる宇宙海賊との戦闘が発生したり、宇宙船のクルーとの出会いと別れを経験したり、宇宙ステーションに立ち寄って補給したりしながら、最終的に敵のボス艦との戦闘に挑むこととなる。
今回TGS2023の体験版では、ルールのわかりやすさを重視してリニアなルートとなっているが、製品版ではより多彩なルート分岐が選択できるようになるという。

歯ごたえのあるカードバトル
宇宙船同士の戦いとなる戦闘は、ターンベースのカードバトル方式で描かれる。
艦の各所(ハードポイント)には兵装が装備されていて、その持ち場としてクルーが配置されている。それらの武器やシールドジェネレーターがカードとなっていて、その組み合わせがデッキとなるわけだ。戦闘に突入すると、そこからランダムに選び出された手札を使って戦闘を行っていく。
ターンベースではあるが、自身のリソースとカードを扱うためのコストの範囲内であれば繰り返し行動することができ、リソースを使い切るか、任意でターンを終了することで敵のターンとなる。

面白いのは、カードの種類によって攻撃系や防御系など必要なコストが異なり、ターン毎に生成されたリソースを自身で調整して割り振ることができるシステムだ。敵の攻撃に備えて、一旦攻撃に回すリソースを減らして防御に回したり、このターンで敵艦を落とせそうであれば攻撃に全振りもできる。
また、行動を封じる「部位破壊」の概念があり、例えば敵艦本体ではなくシールドジェネレーターに攻撃を加えれば、一定ターンの間バリアを張れなくすることができる。それと同様に、数ターン後に飛来してくる強力なミサイルを迎撃することもできるので、なにを優先すべきかという緻密で奥深い戦略的思考が要求されるのだ。

戦闘に勝利すると報酬として、追加のカードと、一定額のクレジット(資金)を得ることができる。カードはそのまま艦の新たな兵装として装備してデッキに加えることができ、クレジットは「宇宙ステーション」のマスで、自艦の修理や、新たなカードを売り買いに使用することが可能だ。
宇宙ステーションはルート上に1~2つしかなく、必ず立ち寄れるとも限らない。確実に耐久値を回復できるので活用したいが、装備も整えたいというジレンマを覚える。
他にも別のマスでは、宇宙を漂う脱出ポッドを回収することでクルーに加わったキャラクターを、追跡してきた他の勢力に引き渡すか引き渡さないかという選択肢が示されるシーンがあり、自身のモラルに従ってもいいし、引き渡して消耗を抑えてもいい。
そうした、さまざまな選択と駆け引きを経て、最終マスのボス艦へと挑んでいくのだ。

実のところ、ここでは紹介しきれない、より細かな要素も存在するので一度の試遊ではすべてを理解することは難しいだろう。本来はじっくりと腰を据えて、繰り返し挑むことでシステムを理解し、最高のエンディングに向けて冒険をしていくこととなる。
本作が完成した暁には、このすばらしい宇宙へと今一度旅立ちたい。
Hooded Horseの躍進に注目
アメリカ合衆国を拠点に、2019年に立ち上げられた比較的新しいインディーゲームパブリッシャーである"Hooded Horse"は、好評を得ている『Against the Storm』や『Terra Invicta』といった、魅力的なストラテジーゲームを中心に取り扱っている。
特に、そのタイトルの多くが機械翻訳ではないクオリティの高い日本語がサポートされており、今後リリース予定のタイトルも含めて、熱い期待を持たれているストラテジーファンの方も多くいらっしゃるのではないだろうか。
今回TGS2023では、インディーゲームエリア「Selected Indies 80」において、本作『Breachway』と、42 Bits Entertainmentが手掛ける『Fata Deum』の2タイトルが個別出展されていた(他タイトルはオンライン出展となる)。
筆者がビジネスデイで立ち寄ったタイミングでは、機材トラブルにより『Fata Deum』はトレーラー出展のみとなっていた。
いつか、Hooded Horseの取り扱いタイトルが一堂に会する、パブリッシャー単独でのブース出展もあるかもしれない。2023年秋以降もリリース予定のタイトルが多数準備されているので、日本からも期待を込めて注目していきたい。
開発者インタビュー
ここからは、本作について開発チームより伺った内容を併せてお伝えしたい。今回TGS2023では、本作をパブリッシングするHooded Horseの日本人スタッフの方が常駐されているので、ブースに立ち寄られた方はお話も伺いやすいだろう。
【質問】開発を始めたきっかけを教えてください。
本作は『Slay the Spire』や『FTL』にインスパイアされていますが、実は最初からこの形と決めて制作をはじめたのではなく、もともとは単純な1対1のカードバトルでした。開発を重ねることで、洗練されてこの形となっています。
【質問】開発期間は?
開発は2019年にスタートしました。当初はパートタイムでの制作でしたが、現在はフルタイムで開発に取り組んでいます。開発の進捗状況を表すのは難しいのですが、現時点で7割といったところです。
【質問】ボリュームはどのぐらいになるでしょうか。
製品版では10のマップが用意されていて、そこから3つのマップがランダムに選び出されます。つまり、3マップで1つのストーリーとなる予定です。ルート分岐も体験版よりも豊富なので、よりボリュームが感じられるはずです。
【質問】しっかりとしたクオリティで日本語をサポートをしようと思った理由があれば教えてください。
実は、『Breachway』のSteamストアページを公開した直後からのウィッシュリスト登録数が"日本がトップ"だったからです。その後はアメリカに抜かされましたが、2週間ずっと日本が1位という位置にいたことは非常に大きな理由となっています。
筆者注:Steamにおける指標のひとつとして、リリース以前からの「ウィッシュリストへの登録」が大事であることは、予てからアピールされているが、こうして特定の言語のサポートに至る大きな理由にもなることがお分かりいただけるのではないだろうか。
【質問】今後日本語が実装されたデモを公開される予定は?
今後、日本語が実装された形での公開を検討しています。具体的な日程は現時点では出せませんが、可能であればSteam Nestフェスが目標です。

基本情報 | Breachway |
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開発 | Edgeflow Studio |
販売 | Hooded Horse |
配信日 | 2023年予定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |
基本情報 | Hooded Horse |
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Hooded Horse 公式サイト | hoodedhorse.com |
Hooded Horse 公式X(旧Twitter) | @HoodedHorseInc |