【TGS2023】謎の生命体と迎える7日後の終末とは?『CultureHouse』Selected Indie 80 ブースレポート

2023年9月21日~9月24日まで4日間にわたり千葉県の幕張メッセで「東京ゲームショウ2023」(以下、TGS2023)が開催されている。
本記事では、 インディーゲームエリア「Selected Indie 80」のコーナーからゲーム『CultureHouse』の試遊レポートをお届けする。
失踪した生物学者が残した施設
本作は、個人開発者フツララの渡部氏がグラフィック、プログラム、シナリオをひとりで手がける育成アドベンチャーゲームである。
舞台は20世紀のモダニズム住宅に影響を受けた、山木に囲まれた研究施設カルチャーハウス。モダニズム住宅とは、シンプルな直線と平面で構成された建物のことだ。プレイヤーは、失踪した生物学者が生活していたこの場所で謎の生命体「ジェニオ」を培養する。
ゲームをプレイしていくうちに、カルチャーハウスでの静かでゆったりとした日々が少しずつ変化していく。何がどうなるのか予想のつかない展開と、その終末にあなたは何を目撃するのだろうか?

何気ない日常が少しずつ変容していく
TGS2023の出展ブースでは、冒頭の7分間を試遊することができた。
ゲームでは、生物体の元となる細胞をピペットで吸い、シャーレの培地に塗布するなど実験操作を行う。科学の知識の有無にかかわらず楽しめる仕様でありながら、生化学の勉強をしている方になら伝わる小ネタも仕込んであった。
実は、筆者は大学でこのような細胞培養の実験を行ったことがあるのだが、当時の実験を思い出しながら楽しめた。同じような経験のある方は、寒天培地の種類にも着目してぜひプレイしていただきたい。

『CultureHouse』でとりわけ印象深いのは、建物や風景のリアルさである。実世界では研究施設は、少し都会から離れた場所に建てられることが多い。そして、本作でも同様に、鳥のさえずりが聞こえてくる緑に囲まれた場所に邸宅兼研究施設が建てられている。失踪した生化学者はおそらく人里離れて自身の研究に没頭したかったのだろう。
TGSのブースには、この研究施設を紹介するパンフレットがあった。その名は、『施設ガイドvol.1 イプセ邸』。リアルな住宅のパンフレットをイメージして製作されたのだそう。こちらも要チェックだ。

ゲームで培養する謎の生命体「ジェニオ」のカードも展示してある。細胞を培養するときに使う丸いガラス器具シャーレに乗せられてあった。

開発者インタビュー
『CultureHouse』の開発者であるフツララの渡部氏に直接お話を伺った。
この『CultureHouse』は、90年代の建物や研究施設の実験用器具などが精巧に作られている。建物の周りの自然風景はとても美しい。その中で過ごす平凡な日常が、「なんか…おかしくない?」「これってどういう意味?」という違和感と恐怖に支配されていく。
この美しい風景で展開される恐怖は、美しいビジュアルの中に奇怪が混在する『シャイニング』や『ミッドサマー』のようなホラー映画のイメージで構想されたそうだ。
路地裏からゾンビが急に飛び出てきて「キャー!びっくりした!」と驚かせるような恐怖演出は確かに面白い。一方で、日常が少しずつ変容していき、さらに何が起こるのかもわからない。そんな恐怖演出はとても興味深く、奇妙な好奇心を刺激してくれる。この『CultureHouse』では、そのような何が起こるかわからない恐怖が追求されている。
『CultureHouse』を試遊したくなったら
筆者は2023年4月に別のイベントで『CultureHouse』を試遊したが、そのときにはなかった要素がいくつか追加されていた。
実は、このゲームのプレイアブル展示の内容にも渡部氏のこだわりがあるのだという。展示会の見せ方もゲームの展開になぞらえていて、ゲームの中で少しずつ日常がおかしくなっていくように、展示会でも少しずつゲームの不思議な展開が見えてくる作りにしているそうだ。
『CultureHouse』は、TGSのSelected Indie 80のコーナー(A80)と、講談社ゲームクリエイターズラボ(09-E40)で試遊できる。開発者の渡部氏は、A80にいらっしゃるそうなので直接話を聞きたい方はそちらに向かおう。
また、今後のプレイアブル展示は、2023年11月12日に開催されるデジゲー博で予定されている。今回はTGSで試遊できない方はこちらもおすすめだ。
『CultureHouse』の発売は、2025年を予定。発売が待ち遠しい。

基本情報 | CultureHouse |
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開発 | futurala |
販売 | Kodansha |
配信日 | 2025年予定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |