【TGS2023】目に見えるモノだけが真実となる『Out of the World』Selected Indie 80 ブースレポート

2023年9月21日～9月24日に千葉県の幕張メッセにて開催されている「東京ゲームショウ2023（以下、TGS2023）」の、インディーゲームエリア「Selected Indie 80」出展タイトル『Out of the World』のブースレポートをお届けしよう。

日本の個人ゲーム開発者"Toyota Ryuto"氏が手掛ける本作は、キャラクターの見た物体が実体化し、目を閉じ、再び開けると見ていた物体の存在が消えるというユニークなパズルアクションゲームだ。

2023年9月23日にリリースということや、最近では、2023年4月に株式会社マーベラスが主催する「2023 indie Game incubator 特別賞」を受賞されているなど、そのユニークなゲームシステムに注目されている方もいらっしゃることだろう。

さらに、TGS2023の恒例イベント「センス・オブ・ワンダーナイト 2023（SOWN2023）」のファイナリスト8組に選出されており、2023年9月22日16:00より同企画のプレゼンテーションがYouTubeにて配信されるので、併せてご覧いただければ幸いだ。

▲【TGS2023】センス・オブ・ワンダーナイト 2023（SOWN2023）

目に見えるモノだけが真実

本作のゲームシステムは、キャラクターを操作してステージ内の足場を移動しながら、ゴール地点を目指すというものだ。四角いフレームに収められたステージはそれほど広いわけではなく、黒地に白のフレームで表されたシンプルなスタイルとなっている。

この作品のユニークさは、赤い色で示されるキャラクターの「視線」で一度照らされたモノだけが「表示される」というシステムだ。それは足場だったり、壁だったり、トラップだったりする。例えば、先に進むには邪魔な壁もキャラクターが一度も見ていなければ存在しないことになる。

また、いったん目を閉じてから再び開けることで、表示させたものを消すこともできる。

ゴールにたどり着くためには、何を表示させて何を表示させないか。表示させたならば何を消せば良いかを考えなければいけないが、ステージが進むとその構造は複雑さを増していく。

壁を蹴った反動でより高い位置の足場へと跳んだり、ジャンプしながら足場を表示させたりと、アクションとしても意外なほどにアクロバティックで歯ごたえがある。

ただ、救済措置と言うべきか、任意ですべての動きをスローモーションにする機能が実装されていて、本来は素早く判断しなければいけないアクションの難易度を下げてくれている。難しいと感じたならば、本機能を活用してみるのもいいだろう。

今回、TGS2023で試遊可能な体験版では25ステージまでとなっていたが、製品版では全50ステージが用意されている。工夫しなければ取れない位置に置かれた「ハート」を回収してゴールするというやり込み要素もあるので、なかなかのボリュームで楽しめそうだ。

本作では、インターネット社会に騙され、気づけばこの不思議な世界に迷い込んでしまった主人公が、自問自答しながら"自分なりの答えを導きだす"という物語が描かれている。

ステージは「心層」と表されていることから、パズルゲームの裏側には、主人公の深層心理的なものがイメージされているようだ。全てのステージを攻略した先に見るモノは何なのか。ぜひ、本作を体験してみてほしい。

なお、TGS2023の会場には来られないという方も、現在Steamから体験版をプレイすることが可能だ。

ここからは、ブースにいらっしゃった開発者のToyota Ryuto氏より伺ったお話を併せてお伝えしたい。

目的もなく50ステージを攻略していくのでは、モチベーションが保てなくなる恐れがあるため、ストーリーの先を見たいというのを目的としてほしかったからです。

また、ストーリーが流れるだけのシーンもありますが、小休止としての意味合いもあります。

本作ではキャラクターの「視線」を赤い色で表現していますが、それを強調したかったため、それ以外をシンプルな白と黒のグラフィックで表現しています。

また、本作のステージは主人公の心の中を表しているためという理由もあります。開発段階ではさまざまな色の表現も試しましたが、最終的にこの形で完成しました。

現時点ではありません。製品版に実装されている50ステージで完成となります。

1年と少しです。現在は、ゲーム関連会社に務めていて兼業（副業に近い）という立場になりますが、制作期間には学生だった時間も含まれるので、比較的短いスパンで完成させることができました。

現時点では、独立は考えていません。インディーゲームという作品を作って自分の思うもの、楽しくプレイできるものを表現したいという思いの方が強く、もちろんある程度しっかりと売れることも大事ですが、現在の環境が適していると思っています。