『A Quest That Became Legend』は、ファンタジー世界を舞台とする主観視点のクラシックRPGだ。
4人の冒険者パーティを編成して広大な世界を旅し、危険と宝に満ちた地下迷宮や遺跡を探索。新米の寄せ集めから、偉大な英雄へと鍛え上げ、世界を覆いつつある闇の勢力に立ち向かうのだ。


真の仲間たちとなるパーティを編成
まずは、冒険者たちの作成から始めよう。4人の冒険者それぞれについて、名前や性別、クラス、ポートレート、初期能力値やスキルを決めていくことになる。ちなみに、パーティの人数は4人固定で、一人旅などはできない。縛りプレイ好きの方には残念な点ではある。
選べるクラスは、近接武器と重鎧の扱いに長けたWarrior(ウォリアー)、遠距離武器と一部の近接武器、魔法にも精通するRanger(レンジャー)、攻撃魔法のエキスパートSorcerer(ソーサラー)、治癒魔法に加えて、殴打武器や盾、中鎧の扱いも得意なShaman(シャーマン)の4つ。
クラスによる制限はかなりユルめで、ソーサラーでも重鎧を着こむことができるし、ウォリアーに魔法を習得させても良い。では、どのクラスを選んでも同じかというと、そういうわけでもない。
武具や魔法などのスキル上限が、クラスごとに異なるのである。
たとえば重鎧スキルがなくとも、装備が要求する能力値さえ満たしていれば身に着けることはできる。ただし、スキルが提供するボーナスは得られない。魔法に至っては、スキルレベルと同じランクまでの魔法しか習得できないという制限がある。
十分に吟味して、クラスの特徴を生かしたパーティを編成しよう。

死と隣り合わせの探索へ出よう
キャラメイクが終わったら、いよいよ旅立ちのときだ。駆け出しの冒険者たちが、霧に包まれた地「Micirida」の森のはずれへとたどり着いたところから物語は始まる。
近くの村では、ゴブリンの襲撃による被害が多発しているらしい。まずは、村に立ち寄って情報を集めることになるだろう。とはいえ、本作はオープンワールドなので、どこへ行くのも自由だ。好奇心の赴くままに旅をしても良い。
世界には洞窟や遺跡、迷宮など、勇敢な冒険者ならば興味をそそられるであろうロケーションが点在している。クエストとは無関係な場所も多いので、強力な武具などを求めて探索するのも一興だ。
ただし、うっかり現在のレベルでは歯が立たないモンスターの生息地に踏み込んでしまうこともある。モンスターの配置は固定で、倒してしまえば復活することもないが、いずれにせよこまめなセーブを心がけた方が良いだろう。

数の不利は戦略で覆せ!
旅の途中でモンスターの群れと遭遇したら、戦いの始まりだ。
戦闘はターン制で、主観視点のまま移動と攻撃を繰り返しながら敵の殲滅を目指すことになる。こう書くと、ピンとくる方もいるかもしれない。かの名作『Wizardry 8』と近い戦闘システムなのである。
ただし、敵の強さは自動スケーリング(※冒険者のレベルに応じて敵の強さが自動調整される仕組み)されないし、出現数もほどほどで長時間の戦闘を強いられることはない。そういう意味では本作の方が遊びやすくなっていると感じた。
ちなみに、戦いは敵と距離が離れた状態から始まるケースが多い。弓や魔法など、パーティ全員が何かしら遠距離攻撃手段を持っておくと、いくらか優位に立ち回れるだろう。この辺りも、先に挙げた『Wizardry 8』と同じシステムである。
戦闘が終わって敵の死体を漁ると、いくばくかの金貨に加えて、装備が手に入ることもある。同名の武具であっても微妙に性能が異なるし、まれに所有者の魔力を高めるなど追加効果が付与されている逸品も存在する。より強力な装備を求めるならば、積極的に戦いに挑もう。

スキルと魔法で差をつけろ
レベルアップすると能力値などは伸びるものの、スキルは成長しないし、新たな技や魔法を習得することもない。ではどうするのかというと、トレーナーの元でスキルを鍛えたり、魔法書を購入して習得したりするわけである。
スキルは武具や魔法などに関連した戦闘系のほかに、良質なアイテムのドロップ率を上昇させる「Treasure Seeker」や、敵のステータスを看破する「Hunter」など、間接的に冒険を楽にしてくれる補助系スキルも存在する。集落などでトレーナーをみかけたら、ぜひ習得しておきたいところだ。
ちなみに、トレーナーに師事してスキルを鍛える仕組みは『Might & Magic』でおなじみである。
魔法は地水火風の4元素と秘術(Arcane)、治癒(Healing)の計6系統に分かれており、魔法を習得するためには、それぞれに対応するスキルを上げておく必要がある。特に治癒系は状態異常やHPの回復といった役立つ魔法がそろっているため、パーティのピンチを救うカギとなるだろう。

ハードな冒険があなたを待つ
『Wizardry 8』や『Might & Magic』など、クラシックRPGの影響が随所にみられる本作。特筆するほど異色の要素はないが、逆に言えば極めて手堅くまとまった王道RPGともいえる。
ポートレートはゲーム側が用意したものしか使えなかったり、モンスターが有限なので戦利品の収集要素と相性が悪かったりと、不満がないわけではない。何度も全滅を繰り返す程度には、難易度も高めである。
しかし、親切すぎるRPGがあふれた現代だからこそ、クラシックRPGを源流とする、やや突き放した設計の本作だからこそ新鮮に感じられる体験もあるはずだ。挑戦を求める方には、ぜひともプレイしてみて欲しい一本である。
基本情報 | A Quest That Became Legend |
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開発 | Neon Light Studio |
販売 | Neon Light Studio |
配信日 | 2023年10月13日 / 日本語なし |
定価 | 3,400円(Steam) |