『Quasimorph』は、インディーゲーム開発スタジオ"Magnum Scriptum"が手掛ける、宇宙を舞台に危険なミッションへとクローンを送り込んで遺された技術や物資を回収する、ローグライク要素のあるターン制RPGだ。
本作は、2023年10月3日に早期アクセスにてリリースされたものだ。早期アクセスとは、まだ開発段階にあるゲームを完成前に販売すること。開発者にとっては資金とフィードバックを得ながら開発を継続でき、プレイヤーはその支援ができるという仕組みとなっている。
開発段階であるため、実装されているコンテンツが限られていたり、ゲームシステムに不足があったり、バグが残っていたりもするが、それらを踏まえた上でのご紹介であることをご理解いただきたい。
準備を取るか、リスクを負うか
本作の舞台となるのは未来の宇宙。国家よりも企業や団体が力を持ち、富と名声を狙っているという世界観だ。プレイヤーはPMC(民間軍事会社)のボスとなり、クローン兵を危険なミッションへと送り込んで技術や物資を手にし、PMCを成長させていくというストーリーとなっている。
PMCの宇宙船を拠点として、太陽系を中心とした星々に点在するミッションへ挑むことになるが、重要なのはそのための準備だ。
開始直後に選べるのは、個性的な4体のクローンと、攻略に有利なパークを備えた2クラス。そこに武装・弾薬・食料・回復アイテムを持ち込むわけだが、残ったインベントリの空きの分だけしか回収することができない。
本作の攻略難易度はシビアで、準備を怠れば割とあっさり死亡してしまう。そうなれば持ち込んだ装備も、入手したアイテムも全て失ってしまう。クローンなので、身体だけはいくらでも戻ってくるのだが……。
経験を重ねることで、これならば無事に帰還できるだろうという最低ラインを探って、ギリギリの荷物で挑む。もしくは運を天に任せてみるか。そういうシビアさを楽しむゲームと言えそうだ。
その不便さは狙いすましたものか
入念な準備をして挑むミッションの目的は、一定の広さを持ったマップを探索して、技術や物資を持ち帰ることだ。次回の探索を有利にするためにも、できるだけ多くアイテムを持ち帰りたい。
マップ探索は1マスずつ進む方式で、敵対勢力やクリーチャーとの戦闘も交互に行動するターン制となっている。馴染みのある方にとっては『不思議のダンジョン』をイメージしてもらうとわかりやすい。
ただし、本作の特徴として、ある種のリアリティさを表現した手間がある。
空腹を満たすために食料を必要としたり、身体の各部位毎に負ってしまう負傷や骨折だったり、それを治すために医療品が細かく分かれていたりする。武器は摩耗するし、弾薬も持ち運ばなければならない。リロードにも1ターンを要する。
こうした要素はライト(カジュアル)志向に寄るほど簡素化されていくものなので、特定のプレイヤー層に向けて狙ってこの不便さを演出しているのだろう。これらは万人受けはしないが、刺さる人には刺さるものだからだ。
実際、本編のデモ版にあたる『Quasimorph:End of Dream(現在は配信停止)』は盛況だった様子で、国内外でコミュニティも形成されていたようだ。
開発チームに声を届けよう
製品版の筆者の感触としては、デモ版であった『Quasimorph:End of Dream』よりもシビアさが強調されて歯ごたえが増した一方で、戦闘以外のシステム面の説明や導線が不足しているのでは?との印象を持った。
開発チームの意図としては、より手探り感を味わってほしいということなのかもしれないが、コミュニティの一部からは「デモ版からクオリティが下がってしまった」や「プレイフィールが落ちてしまった」と感じる声も散見されている。
だが、冒頭で触れたとおり、本作は「早期アクセス」でのリリースとなっている。開発の途上にあり、公開されているロードマップもその多くが実装されていない。バランス調整もこれからといったところだろう。
なので、プレイして気になったところはコミュニティからの意見として、公式DiscordサーバーやSteamフォーラムに届けてみよう。開発チームにフィードバックを送って、彼らとゲームを共に作り上げていけるのが早期アクセスの醍醐味でもある。
バグで荷物を失うリスクもある
最後に1つ付け加えておこう。
何らかのバグによってミッション中にゲームが停止してしまったり、強制終了したりした場合はどうやら「ミッション失敗」扱いになるようだ。そうなると、そのミッションに持ち込んだり、獲得した装備やアイテムを全てロストしてしまう。
筆者も、あるミッションに突入したところ画面が暗転したまま操作を受け付けなくなったため、やむなく強制終了したところ、なけなしの装備を全て失って呆然としてしまった。
プレイヤーに非がないだけにやり切れない気持ちにもなるが、これも早期アクセスに付きもののリスクと割り切って寛容な気持ちで挑みたい。もちろん、この件については開発チームへのバグレポートを送信済みだ。
基本情報 | Quasimorph |
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開発 | Magnum Scriptum |
販売 | HypeTrain Digital |
配信日 | 2023年10月3日 / 日本語有り |
定価 | 2,300円(Steam) |