2023年11月12日、秋葉原UDXにて同人・インディーゲームの頒布/販売イベント「デジゲー博2023(以下、デジゲー博)」が開催された。今年はイベント当日に突然の冷え込みに見舞われ、生憎の雨模様ともなってしまったが、来場者が途切れることもなく会場内はなかなかの盛況ぶりだった。
今回の参加サークル数は約200。本記事では、そんな数ある出展タイトルの中から筆者が注目する魅力的な作品をピックアップしてご紹介しよう。
当記事内の掲載写真は、許可を得て撮影を行っています。
アニマロイドガール
『アニマロイドガール』は、ヒトからケモノへと変わりゆく少女の青春を見守る育成アドベンチャーだ。
舞台は近未来の香港。血の繋がりのない少女を引き取ることになったが、彼女は徐々に獣の姿へと近づいていく「アニマ化」が進行している。プレイヤーは、保護者として、そして、研究者として少女の成長を見守ることになるが……。
少女を理想の姿に育てるか、彼女自身のなりたい姿を叶えるか。本作は、その葛藤と選択の先を見つめる物語だ。

今回会場では、開発を手掛ける"パンドリ丼"の國永昌也氏にお話を伺うことができた。
本作の見どころとしては、アニマ化によって突然マイノリティとなってしまった少女に関わるというシチュエーションだ。そこに、家族ではないプレイヤーが向き合うことになるわけだが、保護者となるか研究者となるかはプレイヤー次第。そのロールプレイング感を楽しんでほしいとのこと。
また、ビジュアルノベルとはまた違ったLive2Dによる動きのある演出も、本作をユニークなものとしており、それも大きな魅力のひとつとなっている。
『アニマロイドガール』は、2024第4四半期のリリース予定で鋭意開発中だ。

1f y0u're a gh0st ca11 me here!
『1f y0u're a gh0st ca11 me here!』は、冥界に存在する幽霊相手のコールセンターを舞台としたビジュアルノベルゲームだ。
プレイヤーは主人公ヴァニタスとなり、現世に彷徨う幽霊からの電話を受け取って、適切な担当部署へと繋ぐ電話交換手としてコールセンターに務めることとなる。だが、ヴァニタス1人に対して、同時に何件もの電話が鳴り響く。
限られた時間だけ表示される電話の内容を次々と読み取り、判断して、振り分ける。チャプターが進めば鳴り響く電話のラッシュはどんどん数を増していくので、まさに聖徳太子でもなったかのような気分で挑める作品だ。

2021年11月2日にSteamにてリリース済となっている本作だが、2024年初旬にはNintendo Switchでリリースされることが告知されている。
Switch版には新規イベントイラストを含む「アルス・メメント編」が追加収録されることとなり、ボリュームが約2倍に。併せて、Steam版もアップデートにて同じ内容が実装されるとのことだ。

今回会場では、開発を手掛ける"Furoshiki Lab.(フロシキラボ)"の田平孝太郎氏と、ハロウィンのイラストを手掛けたイラストレーターのじん吉氏がいらっしゃった。
海外では、2022年末に実装された本編とは別モードとなる「コールセンター100本連続ノック」のスピードランを競っているプレイヤーもいるそうで、本作を長く愛してくれていることに感謝の言葉も伺うことができた。
筆者も当時は相当苦労してクリアしたものだが、来年のアップデートが今から楽しみだ。

Anything Falls
『Anything Falls』は、あらゆるものが上空から降ってくる世界を舞台に、主人公の少女ルナが空を目指して登っていく落ち物パズルアクションとでも言うべきゲームだ。
ゲームシステムとしては、ステージ上空から降ってくる「地形ブロック・モンスター・武器・アイテム」など、さまざまなものを活用しながら生き延び、ブロックが落ちきった後に現れるゴールへと入ればステージクリアだ。

今回出展されていたデモ版では、ブロックが300個落ちてくるまで耐えきればクリアとなっていたが、これが意外と難しい。1つ1つのサイズはデフォルメされたキャラクターと同程度。ブロックの落ち方には規則性がなく、どんどん積み上がっていく。
その隙間を縫うように登っていけばいいのだが、爆弾やモンスターも一緒に降ってくるので、それらを避けつつも倒していかなければならない。武器は魔法の力で宙に浮いた大剣で、コントローラの右スティックをぐりぐりと回すようにして敵を斬っていくのだ。
だが、ブロック間を移動しつつなので、ついついダメージを受けてしまう。デモ版には回復アイテムが実装されていないことも、手強さを感じた要因だろう。

2人で開発を手掛ける"Northern Seeker"にお話を伺ったところ、回復アイテムはもちろん、ブロックやモンスターのバリエーション、キャラクター強化など多くの要素がまだ実装できていないとのこと。
ただ、今回の出展は基本となるシステムを触ってもらって、プレイヤーの反応を見たいという思いがあったそうだ。このままブラッシュアップを重ねて、来年を目処にリリースできればとのことなので、次回また開発が進んだバージョンをプレイできる日が楽しみだ。