2023年11月12日、秋葉原UDXにて同人・インディーゲームの頒布/販売イベント「デジゲー博2023(以下、デジゲー博)」が開催された。今年はイベント当日に突然の冷え込みに見舞われ、生憎の雨模様ともなってしまったが、来場者が途切れることもなく会場内はなかなかの盛況ぶりだった。
今回の参加サークル数は約200。本記事では、そんな数ある出展タイトルの中から筆者が注目する魅力的な作品をピックアップしてご紹介しよう。
当記事内の掲載写真は、許可を得て撮影を行っています。
TITANCLIMB
『TITANCLIMB』は、雄大な景色の中を彷徨う巨人の身体に登り、その世界を見通そうという三人称視点のアドベンチャーゲームだ。
デモ版をスタートすると、そこは焚き火の前。針葉樹がまばらに生えた高原のようなところで、視線を上に向ければ巨大な岩の塊のような巨人がゆっくりと歩いている。大きなザックを背負った登山姿の主人公は、これからその巨人を登っていこうというわけだ。
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ゲームとしては、巨人の足元から取り付いてその身体を登っていき、ゴール地点に到達することが目的だ。
今回の試遊では、本作を手掛ける"Sand Vehicle(サンドヴィークル)"の開発者の方にプレイをサポートしていただけたので、目的地までどういうルートで登っていけば良いかをあらかじめ把握することができた。
その際は「ここを進めばいいんだな」とわかる道のような指標が見て取れたが、製品版ではよりフリースタイルにどこからでも登れるような形を想定されているそうで、プレイヤー自身でルートを考えながら挑むことができそうだ。
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主人公には空腹とスタミナの要素があり、どちらも時間経過で徐々に減っていく。一定値を下回ると動けなくなってしまうが、空腹は食料を摂ることで、スタミナは休憩することで回復させることが可能だ。
ここで「座って食事/休憩する」というインターバルが発生するのだが、ユニークなのが「休憩中は三人称視点からフリーカメラに遷移する」システム。雄大な自然をゆったりと見渡すことができ、ともすれば退屈な待ち時間になってしまう「休憩」をインタラクティブなものに昇華させている。
『Sable』からインスパイアされたというパステルカラーのアートワークは、遠くの風景までも淡く鮮やかに表現されていて、一服して周囲を眺めるという実際の登山にも通ずるような体験も楽しみの1つとなりそうだ。
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また、道が途切れれば巨人の身体によじ登ることができるが、クライミング中は腕力ゲージが減ってしまう。一気に登りきれそうか、一旦休んで回復できる岩棚のようなところがあるか。そうしたルート取りも必要になってくるのは面白い。
そうして、目的地となる巨人の肘あたりにある「ヒジツノ岩」にたどり着き、岩に腰掛けて食事を摂ったところで終了となった。
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今回のデモ版の内容で仕様が固まっているわけではなく、体験したプレイヤーの反応も見てみるためのコンセプト段階に近いものとのこと。
地上に住まう者と、巨人に住まう者とで違う文化を持っているといった設定もあるそうで、巨人を登ることの意味にもつながっていくストーリー要素の追加。登山道具の追加や、登る巨人によって違った風景を見せたいといった、今後の構想も伺うことができた。
理想ではあと2年ほどでリリースできればとのことだったが、その完成が楽しみなタイトルだ。
明日、11/12(日)に開催される #デジゲー博 にTITANCLIMBを出展(E-20b)いたします。
— Sand Vehicle (@SandVehicle) November 11, 2023
巨人に登り、疲れたら座って休めるようになりました。ご来場の方はぜひご体験ください。 #screenshotsaturday #gamedev #indiedev pic.twitter.com/ZJimQGHH7D
Shadow Love
『Shadow Love』は、手影絵で作られた世界を冒険する2Dアクションゲームだ。
基本的なゲームシステムとしては、横スクロールのステージを左右移動とジャンプ操作で障害物を乗り越えたり、敵を倒したりしながら進んでいくというもの。敵を踏んで倒して得られるポイントを使うことで先に進めたり、羽を生やしたりといったギミックもあるという。
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それだけならばオーソドックスなアクションスタイルと言えるが、本作をユニークなものとしているのが、ゲーム内のさまざまなものが現実の人間の手(ときにはそれ以外のパーツも)を使った「影絵」で表現されているということだ。
プレイヤーが操作するキャラクター、敵、背景、地面、アイテムといった作中に登場するもの全てが影絵。それらさまざまな要素に手の動きが取り入れられているため、奇妙な躍動感のようなものがあり、なんとも不思議な印象を受けるところは面白い。
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今作が「影絵」となったきっかけについて、開発を手掛ける"ストロベリーごはん"の時村倖人氏にお話を伺ったところ、正直に言えばあまり絵が得意ではないということで、ならば手の動きをゲームに取り入れたら面白いのではないかという発想から来ているのだという。
また、本作はAndroid/iOS端末向けにタッチ操作やジェスチャーを利用したものとなっているが、その部分もコントローラによるボタン操作で対応できているため、Steamなど他のプラットフォームでもリリースしたい考えがあるとのこと。
製品版は全35ステージ。謎解き要素も豊富にあり、なかなかのボリュームで楽しむことができそうだ。
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