『Ratopia』はネズミの女王を操作して、市民たちが幸福に暮らせる経済社会を目指して都市を建設するシミュレーションゲーム。サンドボックスゲームの要素もあり、あらゆるものを素材として採取・採掘し、自由に地形や建物を作っていくことができる。
カードデッキ構築型のタワーディフェンス『Ratropolis』をヒットさせた、韓国のインディーゲーム開発スタジオCassel Gamesの新作。2023年11月6日に早期アクセス版が配信開始される。
約1年かけてさらにコンテンツを追加して完成度を高めていくとのことだが、現段階でも十分に楽しめる出来になっているようだ。9月の公開プレイテストでは平均22時間のプレイタイムを記録したというから、かなりの時間遊べるコンテンツがあるということだろう。
筆者が早期アクセス開始のプレスリリース配信に関わっているタイトルだが、韓国のインディーゲーム屈指の注目作品としてぜひこの本誌でもご紹介させていただきたい。
横から見た視点のサンドボックス+コロニーシム
あえて有名タイトルを挙げて説明するとしたら、本作は『Terraria』のような、横から見た視点のサンドボックスゲームで、プレイヤーキャラクターを直接操作して動き回れる。
住民たちに指示して拠点を建設し、外敵や災害などに対処するという点は、『RimWorld』や『Oxygen Not Included』などのジャンル「コロニーシム」だと言える。
「都市の入口」には移住民のグループが定期的に集まり、その中から選んで市民を増やすことができる。能力値や特性を見て、誰を迎え入れるか判断しよう。
そして、市民の仕事場やベッドのスペースを確保するために、都市の周辺や地下を整地し、素材を集めて施設を建てていこう。ただし、都市が大きくなるにつれて外敵と接することも多くなる。
市民に仕事と賃金を与えて経済を回そう
本作には「経済戦略」の要素があり、お金の流れを考えるゲームになっている。作業を指示された市民は報酬を受け取り、施設ではそのお金を使って食料、生活用品、娯楽などを手に入れ、より「幸福度」の高い暮らしをする。
プレイヤーはお金をうまく循環させることを意識しながら、施設を稼働させて十分な商品やサービスを提供し、ときには税金を課して、市民の手元にお金が滞留してしまうことがないように気を配る。
見た目は、かわいいネズミたちがわちゃわちゃ集まるゲームだが、実は知的な経済シミュレーションでもあるのだ。
都市の防衛と地下世界の探検!
本作には戦闘と探索の要素もあり、RPGのような冒険が楽しめる。野蛮なイタチ族の侵入に備えて、兵舎で市民を訓練しておこう。
地下世界を探検してダンジョンの奥でボスの部屋を見つけ、兵士を引き連れて攻め込むこともできる。鍛冶屋で装備品を作って、プレイヤーキャラを強化してから挑もう。
現在の日本語翻訳でもほぼ支障はないが……
少し気になるのは、日本語翻訳のことだ。早期アクセス開始時点では、後から追加されたテキストなどが一部、機械翻訳で出力されるものと一致する。直訳になっているところが多いと感じた。
全てが機械翻訳というわけではなく、「ゾンビラット」や「ヤリイタチ」といった敵キャラのネーミングや、女王の一人称が「余」になっているところを見ると、随所に人の手が加わっている。だが、イベントが発生したときの市民のリクエストと女王の返答(会話選択肢)に関しては自然な口調とは思えなかった。
購入前に翻訳品質を確認したい方は、公開されているデモ版をプレイしてみるとよいだろう。また、公式Discordサーバーに翻訳にフィードバックするためのチャンネルが設けられている。もし翻訳のせいでゲームプレイに支障が生じることがあれば、フィードバックを送ってみるのがいいだろう。
先述のように、コロニーシムで地下世界の探検と戦闘もできるというだけでも期待でき、「経済戦略」という深い要素も取り入れている本作。今後もユーザーからフィードバックを得つつ改善とコンテンツ追加が進められ、製品版リリース予定の1年後に理想の形へと仕上がるのを楽しみにしたい。
基本情報 | Ratopia |
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開発 | Cassel Games |
販売 | Cassel Games |
配信日 | 2023年11月6日 早期アクセス開始 |
定価 | 2,300円(Steam) |