『SUPER 56』は、文字通り「56種類のミニゲーム」をボタン1つで次々とクリアしていくという、既存のジャンルの枠には収まらないタイトルだ。イギリスを拠点とするインディーゲーム開発スタジオ"Onion Soup Interactive"が開発を手掛けている。
同スタジオは以前『Nippon Marathon』という、ユーモアあふれるパーティゲームをリリースしている。奇抜な格好をしたキャラクターたちが障害物競走を行うというもので、まさに「海外の人が勘違いした日本」を面白おかしく表現していたタイトルだ。
ユーモラスでジョークを交えた作風を得意としており、ストーリーで物語るものとはまた別のスタイルで、ゲームをプレイすることの楽しさを追求しているようだ。そんな彼らの新作をご紹介しよう。


ボタン1つでどんどんゲームをクリアしよう
地獄のヘルシティに文化交流プログラムの一環で訪れたニンゲンのアナタは、地獄の住人クロノスとブローンズに『SUPER 56』という幻のゲームをプレイするよう持ちかけられる。彼らに代わり、56種類のミニゲームが詰まったこのゲームをクリアするのだ!
――というのが本作のストーリーだ。ただ、このストーリーパートはおまけのようなものなので、本作の主軸となるのは豊富に用意されているミニゲームとなっている。

本作のゲームシステムは、あらかじめ決まった順番でミニゲームをプレイしていき、クリア条件を達成することでハイスコアを狙っていくというもの。達成できずとも次に進めるが、4つあるライフを1つ消耗してしまい、全て無くなるとゲームオーバーなので、いかにミスなくクリアし続けられるかがキモだ。
レース、ボクシング、ピンポン、テニス、ゴルフ、RPG、裁判……ミニゲームはいずれも違ったジャンルでとにかく幅広い。
そのどれもが既視感を覚えるが、それもそのはず。多くのミニゲームが昔懐かしいレトロゲームから比較的最近までのタイトルを元ネタとしており、そもそも『SUPER 56』自体がかのアタリ社の「Atari 2600」をオマージュしているなど、絶妙にB級感あふれるところも面白いポイントだ。

そして、何よりユニークなのは全てがワンボタン(XboxコントローラならばAボタン)のみでの操作となっていること。ミニゲームによって押した際の挙動は異なるが、レースでは曲がったり、ボクシングではパンチとガードをしたり、的当てでは矢を射ったりとさまざま。
簡単操作だからこそ、適確にボタンを押さなければハイスコアは出せない。しかも、56種類ともなると全てベストなタイミングを覚えるのは一筋縄ではいかないだろう。気がつけば思わずハマってプレイし続けてしまう、そんな魅力を感じられるゲームだ。

あくまでシングルプレイヤー向け
多種多様なミニゲームを楽しめることから、マルチプレイが可能なパーティゲームなのかと勘違いをしてしまいがちだが、本作はシングルプレイ専用となっている。
オンラインでのスコアランキングこそ用意されているが、あくまで自分との戦いというわけだ。マルチプレイ可能ならばより面白さも増しそうではあるが、フレンドとスコアを競うという遊び方も十分楽しめそうだ。
また、ミニゲームはトップメニューにある「キャリア」の項目から自由にプレイすることが可能だ。ただこのモードではスコアを獲得することはできないため、本番に向けて腕を磨くための練習と割り切っておこう。

ジョークでは済まないかもしれない表現の問題
Steamストアページに掲載されているトレイラーや、スクリーンショットでもご覧のとおりであるが、本作には日本の元内閣総理大臣"菅 義偉"氏の実写画像が用いられたミニゲームが登場する。
報道目的などの例外に限れば公人の画像を用いることは可能だが、本作の用途はさすがに当てはまらない。当然許諾を得る必要があると考えるが、日本の政府関係者(ましてや実在の元総理)の画像利用に許諾が出ているとは考え難い。

Onion Soup Interactiveは以前にも、ゲーム内において意図せず問題のある表現を登場させようとしてしまったケースがある。おそらくは、これも同様のケースと見てよさそうだ。
全てにおいて配慮すべきとは考えないが、この件については弊誌としてもパブリッシャーを通じて確認と指摘を行っているので、今後の動向に変化が見られればお知らせしよう。
基本情報 | SUPER 56 |
---|---|
開発 | Onion Soup Interactive |
販売 | WhisperGames |
配信日 | 2023年10月12日 |
定価 | 800円(Steam) |