80年代の山村を舞台に怪異の真相に迫る和風ホラー『ウツロマユ - Hollow Cocoon -』プレイレポート


朝比奈 / Asahina

ウツロマユ - Hollow Cocoon -』は、1980年代の日本の山深い村を舞台とした、一人称視点の和風ホラーアドベンチャーゲームだ。日本のインディーゲーム開発スタジオ"NAYUTA STUDIO"が手掛ける。

長らく疎遠だった祖母の深山 絹(みやま きぬ)が危篤との知らせを受け、今は亡き母の故郷を訪れた大学生の主人公。病院での手続きを父に任せて1人で祖母宅を訪れたが、夜も更ける頃に恐ろしい化物に襲われてしまう。逃げ惑い、旧家へと入り込んだ彼は、やがて怪異の裏に隠された真相を目にすることとなるのだ。

筆者はすでにその結末を目撃しているが、本記事では、シナリオの核心部分に触れる内容など、ネタバレには配慮した形でのプレイレポートをお届けしよう。

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"Trapped in a cocoon, the silkworm weaves her final dream." Hollow Cocoon is a first-person horror adventure game set in 1980s Japan. Immerse yourself in meticulously recreated environments as you venture into the depths of unspeakable horrors that await you.

80年代の古い家屋の暗闇に潜む怪異

本作のゲームシステムは、主人公の陣場 湊(じんば みなと)となって、広大な家屋の内部を探索していくというもの。

基本的には、閉ざされた場所やモノを開くために必要な「」となるアイテムを探すわけだが、そのためには別のアイテムが必要となったり、パズル要素を解かなければならなかったりするので、それを繰り返すように屋敷内を巡りながら探していくのだ。

祖母の家系である深山家はかつて養蚕業を営んでいたこともあって、メインの舞台となる旧家の屋敷は相当の広さ。いつかどこかで目にしたような古い日本家屋や、かつての人の営みの名残りがある場所というものは郷愁を感じられることもあるが、この状況にあっては恐怖が勝る。

なにしろ、屋敷内を常に化物が彷徨っていて、探索中にいつ出くわすとも限らないのだ。

▲障子の向こう側や、暗がりの先に化物の気配がする。

化物は主人公の足音や懐中電灯の光に敏感なので、その気配(息遣いや足音)を感じたらすぐに息を潜めてやり過ごさなければならない。対抗手段はなく、見つかれば逃げるしかない。幸いにも押入れなどに身を隠したり、セーブポイントを兼ねた「お札」のある部屋に逃げ込んだりすれば、何とか難を逃れることができるだろう。

リアリティのあるグラフィックもあいまって、この"息を潜める"という行為の空気感や圧迫感は相当なものだ。筆者としては、ぜひ部屋の明かりを落としてヘッドホンでプレイをしてほしい。

怪異の裏側に隠された真相

探索の舞台となるマップ内には、本作の事態が引き起こされるに至った事の真相に迫る書物がいくつも残されている。化物から逃げることが目的だった主人公が、だんだんと真相に触れ、それを知りたいと思うプレイヤー自身と重なっていく感覚を覚えるはずだ。

詳細は伏せるので、必ずしも本作にそのまま当てはまるものではないが、日本の田舎にある因習や民俗学的なものが感じられる物語を好む方には、特に興味を惹かれる内容ではないだろうか。

なお、本作には難易度が「Easy・Normal・Hard」と3段階ある。例えばここで「Easy」を選択すれば、かなり大胆な行動を取ることも可能となる。「長い緊張感を強いられるのは苦手だが雰囲気は味わいたい!」という方も楽しめる設計になっているのは嬉しいところだ。

本作は周回要素もあり、順調ならば1周3~4時間ほどのボリュームで、さらに4つのマルチエンディングが用意されている。恐怖感と物語のバランスが高い水準でまとまっている本作は、良質な和風ホラーを求めている方にはぜひともオススメの作品だ。


基本情報 ウツロマユ - Hollow Cocoon -
開発 NAYUTA STUDIOO
販売 NAYUTA STUDIOO
配信日 2023年12月7日 / 日本語有り
定価 1,480円(Steam
Indie Freaks

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