いつか娘を勇者にするために。育成を繰り返す日々の幸せと矛盾『ララバイデイズ』


Masa Kei
Masa Kei

2023.12.28

ララバイデイズ』は、アヒルから人間になった少女を勇者に育てるメルヘンチックな育成シミュレーションゲーム。日々のスケジュールを決めて、習い事、アルバイト、探検などを通じて娘を成長させよう。

娘はアルバイト先や教室の友達と仲良くなって共通の夢を持ったり、恋人になったりすることもある。成人して迎えるエンディングは、騎士、魔法使い、プリンセスなど70種類。何度も人生をやり直し、いつか勇者になれる日が来るのだろうか?

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Marchen fantasy raising simulation 『Lullaby Days』 is a game where the goal is to grow a duckling girl into a hero. Your duckling girl will grow through education, part-time work, exploration, and more. Create 70 endings in the Kingdom of Oberebach with around 90 sub-characters.

海を渡った『プリンセスメーカー』の系譜

本作は、韓国で女性ユーザーからも人気を博した『プリンセスメーカー』シリーズに影響を受けて、1人の女性クリエイターSunflo氏が約3年半かけて作った娘育成シミュレーションゲームである。一部のアセットを除くアートの大半と、企画、シナリオ、プログラミング、作曲、主題歌のボーカルに至るまで、同氏が1人で手がけている。

日本語翻訳と日本向けプレスリリースを筆者が担当させていただいた。筆者は初代『プリンセスメーカー』が発売された当時に遊び尽くした経験があり、同シリーズの海外のファンが作ったインディーゲームがあると知って、どうしても日本語で遊べるようにして広めたい一心で、開発者に直接お願いしたという経緯だ。

▲武術、魔法、芸術分野の能力値などが並ぶ。魔法や技も習得させよう
▲「会話」をスケジュールに入れて娘と交流するのも大切

次の段階に成長させるタイミングがカギ

まず、ゲームの流れをご説明しよう。本作では、卵からアヒルのヒナが生まれ、人間の少女の姿となって、13歳、15歳、17歳の3段階を経てエンディングを迎える。

人間の姿になってからは「食事」をスケジュールに組み込んで、成長するためのエネルギー「マナ」を溜めることで、次の成長段階に進むタイミングを自由に決められる。育成期間は最大130日だが、最後まで消化する必要はなく、途中で成人させて結末を見ることもできる。それほど高い能力値が必要とされないエンディングを見るときに活用しよう。

年齢が上がると新しいアルバイトに行けるなど、できることがいくつか増える。130日のうち、どの時期にマナを溜めて年齢を上げるかが考えどころだ。

▲アヒルの頃に見たものに影響を受けて「素質」が決まる
▲17歳に成長し、さらにマナを最大まで溜めると成人してエンディング

習い事やアルバイトで能力値を上げて冒険に出よう

プレイヤーは、1日に4つの行動を選んで娘のスケジュールを作成する。「アルバイト」は資金を稼ぎながら能力値を上げることができる。授業料を払って「武術道場」や「魔法学校」に通うと、さらに効率よく能力を伸ばすことができて、やがては戦闘に役立つ魔法や技を習得可能だ。

湖の周りの森を「探検」するときは横スクロールのRPG形式でゲームが進行し、モンスターと戦って経験を積み、「名声」を高められる。通常の店には売っていない強力なアイテムも発見できるかもしれない。

▲「探検」では左右に移動して湖を一周。財宝を探してみよう
▲戦闘は1対1のターン制。配られたカードから行動を選ぶ

大会でライバルと対決! 賞金を勝ち取ろう

130日の育成期間には、武術道場と魔法学校の合同祭や、三女神の聖誕祭などの行事があり、ターン制の戦闘でトーナメント戦を勝ち抜く「武術大会」、方向キーで素早くコマンドを入力する「剣舞大会」、流れる音符を拾い集める「聖歌大会」などが開催される。

これらの大会の日程を中間目標にして、勝ち抜く実力をつけよう。それぞれの大会でどの能力値が必要とされるのかをチェックしておくことが大事だ。優勝の賞品と賞金を手にすれば、さらに勢いをつけて育成を進められるだろう。

▲武術大会で同級生やライバルたちと対決!
▲本番前に練習できる。剣舞大会は体力、教養、魅力が高いと有利
▲聖歌大会は感受性、魅力、神聖が高いと得点しやすい

まだ見ていない登場人物とイベントを探そう

習い事やアルバイトに関連するエンディングだけでもかなりの数があり、友達や恋人ができるのだが、本作にはさらにイベントが盛り込まれている。

湖の周りを探索していると「虫眼鏡のアイコン」が出て、調べられる場所がたくさんある。特にイベントが起きないように見えるが、関連する能力値を十分に上げた状態で調べると、何かに気づくことがある。あるいは、特定のアイテムを持っているとイベントが発生するかもしれないので、関係ありそうな物を手に入れたらもう一度来てみるとよい。

▲今はハチの巣に触れないが、何かアイテムがあれば……

戦闘は有効なカードを引くまで耐えることに……

少し気になる点も書いておこう。戦闘ではターンごとにカードがランダムに配られ、その中から物理攻撃、魔法攻撃、逃走、説得などの行動を選ぶのだが、有効なダメージを与えられるカードが配られるのを待つしかない状況がときどきある。

まだ魔力を上げていない段階で魔法攻撃のカードを引いても、ごくわずかなダメージしか与えられない。防御力の高い強敵との戦いでは、習得した強力な技のカードを引くのを待つことになるが、安定して勝つためには魔法系の能力も上げておく必要があるだろう。だが、慣れないうちから文武両道の娘を育てるのは難しい。

探索に赴く前に、武術道場などで十分に能力を鍛えておこう。「防御」や「魔防」はやや上げにくい能力値だが、トレーニングする方法も探せばある。敵の攻撃に耐える力をつけて、攻撃のチャンスを待とう。

※追記
アップデートにより、「シャッフル」ボタンが追加されることになった。行動力を1消費して、もう一度カードを引くことができる。

▲攻撃系のカードがないときもたまにある。そのつもりでもっと鍛えよう

ゲームの仕様を把握するまで少し苦労するかもしれないが、「ヘルプ」や娘との「会話」など、随所にヒントが散りばめられているのを見ると、育成や戦闘を有利に進めることができるようになる。

やり方がわかってくると、キャラクターとの交流やエンディング回収を楽しめるはずだ。

勇者エンディングに至る道のりは遠く険しいが、物語の最後を見届ければ、このゲームに熱烈なファンがいる理由をわかっていただけると思う。

幼い娘は、勇者になって魔王を倒すという漠然とした目標を与えられ、「周りに言われたから」という理由で無邪気に勇者を目指しているにすぎない。成長していくにつれ、自分で見つけた道を歩んでいく。娘にはさまざまな可能性があり、出会った人々と共に生きる未来は輝いている。

だが、魔王を倒す勇者が現れなければ、王国は救われない。再度育成をやり直すしかないのだ。この「矛盾」を抱えたまま勇者を目指した先にどんな結末が待っているのかは、あなたの目で確かめてほしい。


基本情報 ララバイデイズ
開発 Sunflo Labs
販売 Sunflo Labs
配信日 2022年1月28日 / 日本語有り
定価 2,050円(Steam
Indie Freaks

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