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『Momodora: 月影のエンドロール』は、シリーズ最新作にして集大成となる2D探索型アクション・アドベンチャーゲームだ。クリエイターのrdein氏を中心とする、ブラジルのインディーゲーム開発スタジオ"Bombservice"が手掛ける。
本作は、2014年7月2日にリリースされた『Momodora III』から5年後の世界が舞台。悪魔を呼ぶ"黒き鐘"が何者かによって鳴らされたことで、この地に根付く神聖な"ルンの大樹"を守るコホ村の周辺に悪魔が集おうとしていた。
『Momodora III』でも主人公を務めた、村の司祭長モモは鐘を鳴らした者を突き止め、呼び出されてしまった悪魔を討伐するという使命を負って旅に出る――というのが本作のストーリーだ。


完成された2Dアクション
本作のゲームシステムは、広大なマップを舞台に特殊なアイテムや能力を入手しながら探索範囲を広げていく、いわゆるメトロイドヴァニア作品だ。要所々々でのNPCとの会話イベントや、ボス級の敵を倒すことでストーリーが進行するが、探索ルートはプレイヤーに任されている。
プレイヤーが操作するモモの基本アクションは、聖なるカエデの葉を武器とする近接攻撃と、弓矢を使った遠隔攻撃。それとジャンプとローリング(回避)、魔力を消費しての回復というオーソドックスでシンプルなものだ。


レベルの概念はなく、探索中に特殊な果実や花を入手することでステータスを永続的に強化したり、特定の性能を強化・付与する「紋章」を装備したり、使い魔を召喚することでさまざまなサポートを得られたりといったことが可能。
このジャンルを好むプレイヤーにとっては、馴染みのある手触りだろう。

失われた要素の良し悪し
他方、前作『月下のレクイエム』を体験したプレイヤーにとって、おそらくもっとも気になるのはそのシビアな難易度だ。これは単純なゲームとしての難しさ以上に特別な意味を持つ。
と言うのも前作では、今作の「紋章」に相当する一部の装備品の入手手段が「ダメージを一切受けずにボスに勝利する」こと。非常に強力な効果を持ったものが含まれていただけに、一部のやり込み派に限らず多くのプレイヤーがそれに挑んだのだ。

ハイリスク・ハイリターンを象徴するような要素であり、今作にも期待と恐れを持っていたのだが……どうやらその仕様はなくなってしまったようだ。(実際に筆者はボスを何体かノーダメージで倒してみたが、アイテムは得られなかった。)
もちろん、ボスの攻撃が苛烈であることに変わりはないのだが、これはノーダメージを目指す理由がなくなったことで相対的に難易度が下がったことになる。ある種の強迫観念がなくなり、難易度調整(ライト・ノーマル)も用意されているので、結果的に多くのプレイヤーに向けて間口が広げられた形だ。

その尖ったところもMomodoraの魅力と感じていただけに、少し残念な気持ちもあるが、プレイヤー数が増えることは開発元にとって歓迎すべきことであり、我々にとってもいつか1~3作目の日本語サポートへの道が開けるかもしれない。そう考えればこの変化も歓迎したいところだ。
Momodoraシリーズのすすめ
Momodoraシリーズは本作を含めて5作品がリリースされている。
このシリーズはモモとイサドラの2人を主要キャラクターとした、"ルンの大樹"を守る村とその周辺地域を中心に描かれた物語で、時系列としては1~2作目が本作の7年前、3作目が5年前。4作目は彼女たちの時代から500年前の出来事(モモの先祖カホが主人公)を描いている。
もともと、洞窟物語やロックマンの影響を受けて制作されたという1作目はその影響が強かったが、2作目以降は現行のメトロイドヴァニアのスタイルが確立され、シリーズを追うごとにアクション面も洗練されていった。
2016年3月4日にリリースされた4作目の『月下のレクイエム』から、PLAYISMのパブリッシングにより日本語がサポートされていて、そこで初めてMomodoraシリーズに触れたという方も大勢いらっしゃるのではないだろうか。
今作の作中冒頭で手に入るメモから「村に伝わる歴史の記録」という形で過去作のあらましを読むことができるので、今作からのプレイでも支障はないが、今回を機に過去作もぜひ触れてみてほしい。
2019年8月27日に『ミノリア』という作品がリリースされているが、これはMomodoraシリーズではなく同スタジオの新規IPで、Spiritual Successor(精神的続編/精神的後継作品)という位置付け。アートワークも趣きが異なる。
基本情報 | Momodora: 月影のエンドロール |
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開発 | Bombservice |
販売 | PLAYISM |
配信日 | 2024年1月11日 / 日本語有り |
定価 | 1,680円(Steam) |