2024年3月31日、『違う冬のぼくら』で知られるゲーム開発者のところにょり氏より、過去に手掛けたモバイル向けタイトル『ひとりぼっち惑星』と『あめのふるほし』内に実装されている「メッセージ送受信機能」が同日をもって停止され、無期限でサービス停止となることがXにてアナウンスされた。
なお、『ひとりぼっち惑星』のiOS版のみ、後日アップデートにて対応を行いサービスを継続する予定とのことだ。
NCMBのサービス終了に伴う機能停止
今回のメッセージ送受信機能の停止は、同機能を支えていた「NCMB(ニフクラ mobile backend)」のサービス終了に伴うものとのことだ。
NCMBは簡潔に言えば、自身で構築・運用等をせずともサーバー側の処理を利用できるクラウドサービス。富士通クラウドテクノロジーズが提供していたが、2024年3月31日をもってサービスが終了された。
ところにょり氏によれば、機能継続のための対応も検討されていたそうだが、特にAndroid版のプラットフォームGoogle Play側は一定期間内に要求を満たせなければストアからアプリが削除されてしまうため、新作の開発を行いながら高頻度で過去作の維持・管理を続けていくことが困難であると説明。
一方で、iOS版のプラットフォームApp Storeは充分な猶予が設けられているため、『ひとりぼっち惑星』のみとなるが後日アップデートでのサービス継続に繋がったようだ(『あめのふるほし』は技術的な問題もあり、対応は断念されている)。
エモーショナルな作風が光る両タイトル
2023年8月10日にリリースされ、高い評価を得た2人プレイ専用のパズルアドベンチャーゲーム『違う冬のぼくら』をご存知の方は大勢いらっしゃることと思うが、そのエモーショナルな作風は開発者のところにょり氏の得意とするところ。
今回アナウンスされた2つのタイトルもまた、それに通ずる雰囲気を持っている。
『ひとりぼっち惑星』は、人がもういない惑星上でひとりぼっちの生き物が、アンテナを使って宇宙からのメッセージを受け取ることで、この星に起きた出来事や、去った人々がどうなったかを知っていくというもの。
また、どこか別の星にいる誰か(プレイヤー)の声を受け取ることができるというゆるい交流が、切なくも、自分はひとりぼっちではないという感傷的な気分にさせてくれる。
『あめのふるほし』は、同じくもう人がいない星を舞台に、ゆっくりと時が進んでゆく機械の物語。道中にある壊れて停止した機械には、かつてこの星にいた人々の遺言が遺されていて、その思いに触れていくことが主軸となっている。やがて自身もまた停止してしまうが、そこで他の誰か(プレイヤー)に向けて遺言を残すことができるのだ。
こちらの作品は、位置情報をもとにした現実世界の天候と連動しており、現実世界で雨が降っているときのみ進行するというユニークなシステムを持っている。それだけに技術的な要求も高く、今作のみiOS/Androidが共に無期限でのサービス停止となったようだ。
外部のサービスに依存しているものであれば、本作に限らずいつかはこうした事態も起こり得る。また、新作の開発を行いながら、過去作品の維持・管理といったサポートをどれほど続けていくのかという問題は常に苦心するものであることを再認識できるニュースだ。
誰しも時間は有限なので難しいところはあるが、気になっている作品があれば、それがプレイできる環境があるうちに体験しておきたい。
2024.4.2 アップデート情報を追加
2024年4月2日、ところにょり氏より『ひとりぼっち惑星』iOS版の「メッセージ送受信機能」が、予告されていた通りにアップデートにて再開されたことがアナウンスされた。
基本情報 | ひとりぼっち惑星 |
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開発 | ところにょり |
販売 | ところにょり |
配信日 | 2016年6月20日 / 日本語有り |
定価 | 無料(iOS) |
無料(Android)※配信停止中 |
基本情報 | あめのふるほし |
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開発 | ところにょり |
販売 | ところにょり |
配信日 | 2017年6月18日 / 日本語有り |
定価 | 無料(iOS) |
無料(Android)※配信停止中 |