期間内に有志がビデオゲームを翻訳する国際的なイベントLocJAMの10周年を祝うタイミングで「LocJAM 6」が開催され、日本時間2024年4月11日から15日にかけて、英語のポイント&クリックアドベンチャー『Not Enough Time』がさまざまな言語に翻訳された。参加作品の総数は240以上。itch.ioにて公開された作品をブラウザ上で無料でプレイすることができる。
日本語翻訳されたバージョンをプレイするには「参加作品」のページを開き、左にあるフィルターで「Japanese」を選んで絞り込もう。9つのチームから翻訳作品が提出されており、訳者がそれぞれ異なるバージョンの『Not Enough Time』を遊ぶことができる。

ドライブ旅行がタイムトラベルに!?
『Not Enough Time』は、コメディタッチのポイント&クリックアドベンチャーゲーム。リーおじさんの発明品のせいでタイムトンネルに迷い込んだ少女イネスは、ワンボックスカーの車内で4つの時代を行き来して解決方法を探すことになる。
想定プレイ時間は40分。ぶっとんだ展開のタイムトラベルもので、変人ぞろいの登場人物たちとイネスのかけ合いが続き、笑いどころ満載。もちろん、時間移動を利用した謎解きもある。笑える短編アドベンチャーゲームに興味のある方々にぜひおすすめしたい。

参加作品のページにはコメントを残すことができるので、遊んでみたら気軽に書いてみよう。短いコメントでも、参加者たちにとって嬉しいはずだ。
中には、攻略情報のページを用意したチームもある。行き詰ったときもこの攻略情報があれば安心だ。

訳者によってこんなに変わる!
参加作品をいくつかプレイして翻訳を比較してみるとまた面白い発見があるだろう。訳者による違いや個性が見えてきて、ゲーム翻訳の重要性がこれほどよくわかるイベントもない、と思うほどだ。言ってみれば、落語や漫才で同じネタをやっても、演者によってテンポが違ったり、表現の方法に工夫があったりするのと似ている。
訳文の長さについて少し補足すると、長めの訳文は、いわゆる「訳抜け」にならないように原文の情報をできるだけ入れようとしている場合が多い。『Not Enough Time』は自動で会話が進行して次の字幕に切り替わっていくゲームなので、思い切って短めの訳文にしているチームもあるようだ。原文に忠実にしようとすれば長くなり、パッと読めるように短くするならどこかを削らなくてはならないジレンマがある。
ビデオゲーム翻訳の楽しさを共有できる場
ゲーム翻訳を学びたいと考えている志望者向けにお知らせしておくと、LocJAMはプロ・アマチュア問わず誰にでも参加資格があり、参加費用などもかからない。イベントのページに、チームメンバーの募集や質問ができる掲示板があるが、必ずしも誰かとチームになる必要はなく1人で翻訳してもよい。
さらに、主催者とは別に日本の有志が集まった「LocJAM日本語有志チーム」があり、メンバーの募集や質問ができるようにと、Discordサーバーも用意されている。今回のLocJAM 6では6つのチームがこのDiscordサーバーに集まっていた。ご興味のある方はサーバーに参加して次回のLocJAMに備えておくとよいだろう。
なお、日本語有志チームはLocJAMの主催者ではなくあくまで参加者側であり、日本語有志チームを通さなくてもイベントに参加は可能だ。LocJAM自体も現在は非営利のイベントとしてボランティアで活動しているので、参加希望者は公式ページを見て、イベントの主旨を知っておいていただければと思う。
基本情報 | Not Enough Time |
---|---|
開発 | apicici, shamisenorchestra, cerbo |
配信日 | 2023年6月9日 / 日本語有り |
定価 | 無料(itch.io) |