細やかな描写で世界を鮮やかに作り出す。懐かしき80年代アニメ風SFビジュアルノベル『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』体験版レポート

朝比奈 / Asahina

2024/10/17

Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!


機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』は、80年代の日本のアニメーション作品やPC-9800作品にインスパイアされたSFビジュアルノベルゲームだ。南ウェールズを中心に、国際的なスタッフで構成されるゲーム開発スタジオ"Space Colony Studios"が手掛ける。

先月、パブリッシャーの"Astrolabe Games"より、本作のリリースが2025年2月21日に決定したことがアナウンスされると共に、以前から配信されていた体験版に新たに「ビビッドモード(16bitフルカラー仕様)」が追加された。本稿ではその内容についてご紹介しよう。

機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語-フルカラー体験版配信開始 、 2025年2月20日発売!-Steamニュース
Experience the Epic Story in Full Colour
Steam:機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語
星暦214年、環太陽系大戦が終わってから4年余りになる。 前大戦で全ての仲間を失った主人公は、木星軌道パトロール艦「ガンドッグ」に派遣され、銀河の果てに向かうように命じられ、謎のビーコンに対する検出行動を展開した。 黒い星の海に潜む巨大な危機が、乗員たちに襲いかかってきた。

星の海に渦巻く謎へと迫ろう

本作の舞台となるのは、星暦214年の宇宙。

太陽系で勃発した4年前の大戦を軍属として生き残った主人公が、新たに配属された木星軌道パトロール艦「ガンドッグ」に乗り込み目的地へと向かっていた。その最中、謎のビーコンを検知したことをきっかけに黒い星の海に潜む巨大な危機に巻き込まれていくというストーリーが描かれる。

▲UIを含め、アナログで無骨なメカデザインがとにかくシビれる

本作のゲームシステムは、グラフィックスとしての動きや表現は控えめに、主にテキストによって描かれた物語を読み進めるノベルゲーム、または、ビジュアルノベルと呼ばれるもの。

作品によってその進め方は異なるが、基本的に本作では、ストーリー上の目標に沿ってイベントを達成していくことでストーリーが展開していくものとなっている。

▲主人公は名前・性別を選択可能。口調は軍人らしくニュートラルだがビジュアルには反映される

今回の体験版では、物語のオープニングから、本作のメインストーリーが本格的に展開していくきっかけとなる重要なシーンまでをプレイすることができた。

艦内では各種コマンド(移動・調べる・使う・話す・アイテム)で主人公の行動を実行することができ、それによって登場人物たちと会話をして交流を重ねたり、さまざまなものを調べたりとインタラクティブに進めていくものとなっている。

▲登場人物たちはいずれもアクが強いが、それがまたいい

ビジュアルノベルなのでテキストを「読む」ことが主軸となるのだが、筆者がすばらしいと感じたのはその描写の細かさ。直接見えないものはあえて書かないという手法を取ることで、情景描写が簡略化されている作品もあるのだが、本作ではその点に妥協が見られない。

今そこで起きている状況にはどういう背景があるのか。目にしているシーンの画面外にはどういう風景が広がっているのか。手にしたモノの仕組みはどうなっているのか。そして、キャラクターの動作や感情、場の空気感といったものが細やかに描写されている。突然脇道に逸れたかのように科学的・軍事的な説明が差し込まれる脱線も絶妙で、読めば読むほど世界の解像度が深まっていく。

これには開発チームのシナリオ担当の力量を感じさせるが、それをうまく表現した日本語翻訳のクオリティも上々で、一編の小説を読んでいる感覚に近い。まだ開発中ということもあり調整が必要と思われる箇所もあるが、読み応えのあるゲームだ。

専門的なSF要素も登場するスペースオペラ(宇宙を舞台にした冒険活劇)なのでターゲットは狭いかもしれないが、この世界観を好きな方は意外と大勢いらっしゃるのではないだろうか。

▲作中で見聞きしたキーワードの用語集も完備

鮮やかなフルカラー対応でより懐かしく

先述のとおり、今回体験版に新たに「ビビッドモード」が追加された。

体験版自体は2022年から配信されていて、グリーンを基調としたモノクロ画面の「スタジオ オリジナル」と「ショウワ オマージュ」という絵柄の異なる2つのモードが実装されていた。この内、後者の80年代の日本のアニメを意識した絵柄に16bitフルカラー彩色を施したのが、今回の「ビビッドモード」だ。

これによって、セルアニメーションを彷彿とさせる色の塗り分け方や、特徴的なハイライトが引き立てられ、馴染みのある世代の人間にとっては何とも懐かしい雰囲気が醸し出されている。

なお、これらの各種モードはゲーム中いつでもオプションから切り替え可能なので、気になるシーンでその違いを確認してみるのも良いだろう。

▲同じシーンでもだいぶ印象が異なって見える。ちなみにこのセリフは『超時空要塞マクロス』のリン・ミンメイへのオマージュ

機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』は、2025年2月20日(Steamは2月21日)のローンチに向けて鋭意開発中。現在、各プラットフォームから体験版が配信されているので、気になる方は手にとってみてはいかがだろうか。

なお、本作は「太陽系物語」のシリーズ第1作とされており、本作が好調であれば今後さらなる展開にも期待できそうだ。


0:00
/1:00
基本情報 機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語
開発 Space Colony Studios
販売 Astrolabe Games
配信日 2025年2月20日 / 日本語有り
2025年2月21日 ※Steam
定価 未定(Steam
未定(PlayStation 4
1,999円(Nintendo Switch

この記事で紹介されているゲーム

機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語

インディー

アドベンチャー

RPG

日本語対応
¥1,999