折り紙の力でとびだす絵本の世界を浄化しよう! 3Dアクションゲーム『Hirogami』ブースレポート【TGS2024】

ばんじーよこすか

2024/10/23

2024年9月26日~29日(一般公開日は28~29日)にかけて、千葉・幕張メッセにて開催された「TOKYO GAME SHOW 2024 - 東京ゲームショウ2024(以下、TGS2024)」の出展作品より、魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。

TOKYO GAME SHOW 2024 - 東京ゲームショウ2024
ゲームで世界に先駆けろ。――世界最大級のゲーム展示会、9月26日~29日の4日間、幕張メッセにて開催

折り紙の力を駆使して、デジタル世界の浸食を浄化せよ

『Hirogami』は、折り紙で作られたとびだす絵本の世界を舞台に、紙を使ったさまざまなアクションで敵を倒していく3Dアクションゲームだ。開発は、"Bandai Namco Studios Singapore Pte. Ltd.""Bandai Namco Studios Malaysia Sdn. Bhd."が手掛ける。

弊誌ではこちらのページにあるとおり、世界中の人々にインディーゲームの可能性を伝えるというビジョンのもと、インディーゲームに特化したコンテンツをお届けしている。なので、「Bandai Namco Studios」という名前を見て違和感を抱く読者もいることだろう。

しかし、本作の開発プロデューサーである加藤正規氏にお話をうかがった際、本作は元々バンダイナムコスタジオのインディーゲームレーベル「GYAAR Studio」の作品として開発が始まったこと、チームメンバーが少数であること、開発期間が約1年であること、そして、「おもしろそう! と自分たちで思うものを大切にする」という開発方針などからインディーという要素を持つ作品と考え、今回取り上げることとした。

Steam:Hirogami
ここは、繊細で美しい折り紙の世界。ある日、この調和のとれた世界にデジタルの侵略者たちが現れました。扇子をたずさえた「尋(ひろ)」は折り紙の達人。自分の姿を色々な折り紙の形に変えながら、美しい景色を駆け抜け、謎を解き、敵を倒す、神秘的な冒険へと旅立ちましょう。

侵食が進む絵本の世界を浄化しよう

物語の舞台は、とびだす絵本の世界。岩や花、キャラクターなどはすべて折り紙でできている。ある日、そんな美しくも繊細な世界が、デジタル世界のグリッチたちに侵食されてしまう。住民たちは理性を失い、周囲はたくさんの危険な罠であふれかえってしまった。折り紙の達人である(ひろ)は、この汚染された世界を浄化するべく、折り紙の力を駆使して敵を倒し、美しい世界を取り戻していく。

プレイヤーは、物語の主人公尋となって、折り紙の能力でデジタル世界に浸食された村を前に進む。彼のメイン武器は、紙でできた扇子。扇子を大きく振って起こす力で、デジタル世界から浸食してきた敵を祓うことができる。村のあちこちに存在する浸食(紫色の無機質な箱型で表現されている)を祓うことも可能だ。

また、尋は自身の姿を自由に変形させることができる。筆者が本イベントでプレイした第1章では、一枚紙に変形できた。一枚紙になると、上昇気流に乗って上へ進んだり、隙間を通り抜けたりできる。

▲画面左側に絵本の外の世界が、右側に​絵本のゲーム内の世界が表現されている
▲紫色の箱型の浸食を扇子でなぎ倒す
▲一枚紙に変形して滑空できる

尋はデジタル世界による浸食が進んでから、さまざまな折り紙の形が作れなくなっていた。しかし、目の前に現れる浸食された折り紙の敵を祓うと、その敵の姿の「折り」を取り戻し、その姿になる「折り技」を使えるようになる。たとえば、アルマジロを倒すと「アルマジロ折り」を取り出し、身体を丸くして勢いよくぶつかる「回転体当たり」技ができるようになる。これにより、集団で固まった敵を一蹴したり、道を塞ぐ木箱を破壊したりすることが可能になるのだ。

その他に、道ばたには紙材が落ちている。この紙材を集めると、HPを回復したり、壊れた橋を修復したりすることも。折り紙の美しい世界を堪能しながら、探索を楽しめる設計となっている。

このように、扇子をメイン武器として村を探索しながら、ときには自身の姿を自由に操り、一見通れないような場所も道を切り開いて冒険を進めていこう。

▲手前にいるのがアルマジロ
▲紙材を集めて橋を修復!

「折り紙の美しさと攻略の楽しさを」

今回、本作の開発プロデューサーであり、日本語ローカライズも手掛ける加藤正規氏に本作についてお話をうかがった。本作の開発チームは7名ほどの少人数で、メンバーは海外スタジオの方が中心とのこと。

筆者がデモ版を試遊して印象的だったのは、折り紙と他の要素の表現の違いだ。本作は、立体絵本の中の物語であり、キャラクターはもちろん、花や木々、岩などすべてが折り紙で表現されている。一方で、流れる河川の水や罠の炎の表現は折り紙とは異なり、リアルに描かれていた。この違いについてうかがったところ、主人公が紙でできているため、紙としては「嫌なもの」である水や火はリアルに表現し、デジタル世界の侵食は無機質に描くことで、3つの違いを際立たせているとのことだ。

▲画面右端には美しい滝が流れている

また、第1章で体験できた「一枚紙」に変形してアクションが楽しめるアイデアは、なんと偶然生まれたものなのだそう。姿を変える「折り」や「ほどき」の変形アニメーションを作る際に、「一枚紙」の状態になるアニメーションを途中に挿入すると、非常に印象的に「折り」を表現できるという気づきがきっかけ。それなら「いっそ一枚紙のときにも何か遊びを入れられないか?」というスタッフの発想から、上昇気流で滑空したり、隙間を通り抜けたりできるアクションに結びついたとのことだ。

面白いインスピレーションが生まれたときは、それをゲームに反映できないかを考えながら大切に開発を進めていらっしゃるそうだ。実際にこの開発時のお話をうかがっているときの加藤氏の楽しそうな笑顔から、チーム全体で「面白さ」を大切にしてプロジェクトに取り組まれていることが伝わってきた。

▲舞い散る白い紙と勇ましい主人公の背中

難易度については、プレイを進める中で習得したさまざまな能力を駆使しながら前進していくため、少しやり応えのある設定の方がプレイヤーの皆さんに楽しんでもらえるのではないかと思っているとのこと。子どもの頃に遊ぶことに熱中になっていたあの頃の楽しさや、一見してどうすれば前に進めるのかわからないシーンで、試行錯誤の末にこれだ! とひらめいたときのいわゆるアハ体験も感じてほしいとのこと。

『Hirogami』は、2025年内の発売を目指して鋭意開発中だ。3Dアクションゲームが好きな方はもちろん、和風の世界観が好きな方は、ウィッシュリストに登録しておこう。

Steam:Hirogami
ここは、繊細で美しい折り紙の世界。ある日、この調和のとれた世界にデジタルの侵略者たちが現れました。扇子をたずさえた「尋(ひろ)」は折り紙の達人。自分の姿を色々な折り紙の形に変えながら、美しい景色を駆け抜け、謎を解き、敵を倒す、神秘的な冒険へと旅立ちましょう。
基本情報 Hirogami
開発 Bandai Namco Studios Singapore Pte. Ltd.,
Bandai Namco Studios Malaysia Sdn. Bhd.
販売 Kakehashi Games
配信日 2025年内 / 日本語あり
定価 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

Hirogami

アドベンチャー

アクション

日本語対応