「東京ゲームショウ2024(TGS2024)」が9月26日から29日まで幕張メッセで開催された。本記事では、韓国コンテンツ振興院のKOREA PAVILIONのほか、釜山、京畿道、ソウル市、それぞれの地域のブースにどのようなタイトルが出展されていたかをご紹介したい。すでに発売されているゲームや、Steamで体験版が配信中のゲームを遊んでみてはいかがだろうか?
韓国産の推理ADVゲームが揃い踏み!
個人的に注目のポイントは、9月19日にNintendo Switch版が発売されたばかりの『未解決事件は終わらせないといけないから』に続いて、すでにSteamで日本語版がリリースされて好評の『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』や、これから発売される推理ADVゲームが出展されていたことだ。
サイバーパンク世界の探偵ものADVゲーム『There is NO PLAN B』は日本語対応の体験版を初公開。同じ内容の体験版が後日Steamでも配信される予定だ。孤島で復讐の相手を探す推理ADVゲーム『KILLA』は「Selected Indie 80」に選出されて出展していた。Steamで体験版が配信中。
25社が出展する大規模ブース「KOREA PAVILION」
「KOREA PAVILION」は、「韓国コンテンツ振興院(KOCCA)」の支援により25社のゲーム会社が共同出展するブースだ。ブース位置はホール3(N05)
25の出展社のうち、まずは日本の展示会での試遊が初めてだったタイトルを挙げよう。ネコが地下世界を探検するメトロイドヴァニア『Fatal Claw』(NDEV GAMES)と、賞金のかかったモンスターを森で追いかけるハンティング要素があるボスラッシュ2Dアクションゲーム『Katubaの密猟者』(Joe Yu)だ。なお、『Katubaの密猟者』はTGS2024に合わせてSteamにて体験版が公開されており、自宅でもプレイできる。


7月に京都みやこめっせで開催された「BitSummit Drift」に続いて出展していたのは、血と肉とおぞましい怪物にまみれたダークファンタジー世界の横スクロールアクションゲーム『VELASTER』(ODYSSEYER)と、小さな炎の精霊となって滅びた美しい世界を探索するメトロイドヴァニア『Solateria』(Studio Doodal)だ。なお、Studio Doodalは、ウサギのジャンプアクションゲーム『LAPIN』の開発元であり、『Solateria』が2作目となる。


GRAVITYがパブリッシングする『Shambles』(EXLIX)も注目のタイトルだ。文明崩壊から500年経った新しい世界を探検するテキストRPGにデッキ構築型ローグライトの要素を加えたゲーム。

KOREA PAVILIONの出展タイトルの中で、Steamストアページが見つかったものは上述のタイトル以外にも十数個あるが、そのうちおすすめの2タイトルをご紹介しよう。
古き良きアーケードゲームを思わせるミニゲームが多数収録された、最大4人協力プレイのパーティーゲーム『Arcade Party』(OddOneGames)と、悪鬼の力を手に入れた武士が多彩な剣術を駆使して戦う横スクロールアクションゲーム『The Devil Within: Satgat』(Newcore Games)だ。どちらも早期アクセス中で、Steamで購入してすぐに遊べる。


KOREA PAVILIONの向かいが釜山共同館!
ホール3のKOREA PAVILIONの向かいに位置していたのが、釜山情報産業振興院(Busan IT Industry Promotion Agency)のブースだ。ブース位置はホール3(N04)
魔法の衣装を販売して素敵なお店作りを楽しめるADVゲーム『ロイヤルブルーの魔法ブティック』も出展された。本作は女性の個人開発者が制作する、女性主人公のゲームだ。男性プレイヤーも楽しめるが、女性向けゲームをお探しの方に特におすすめしたい。本作は早期アクセスで発売中。

かわいいドット絵キャラクターのゲームをもうひとつご紹介しよう。色のないスライムの「リム」が体の色を変えながら難所を突破していく、パズル的なジャンプアクションゲーム『Color Lim』だ。筆者が過去の展示会で試遊したのは序盤だけだが、もっと先に進むとポストアポカリプスの世界観やほのぼのした動物キャラクターを見て楽しめそうだ。

京畿道地域からビジネスソリューションコーナーに出展!
韓国では各自治体の傘下機関が地元企業への支援を行っており、今年の東京ゲームショウでは京畿コンテンツ振興院(Gyeonggi Content Agency)が京畿道地域で厳選したインディーゲームを10タイトルほど出展した。ちなみに、京畿道という行政区は、首都ソウルと港町の仁川を取り囲む地域で、首都圏なのでゲーム開発会社が多い。ブース位置はホール4(C57)
上述の推理ADVゲームのうち2タイトルがこのブースで出展された。 『Staffer Case:超能力推理アドベンチャー』 は、メインストーリー序盤の15~20分ほどの分量を試遊できた。開発元Team Tetrapodが日本の展示会に来るのは初めて。すでに『Staffer』シリーズをプレイ済みのファンの方々がブースを訪れる姿も見られた。

もうひとつの推理ADVゲーム『There is NO PLAN B』は、日本語に対応した体験版が初公開された。この体験版は20~30分ほどの分量で、「社会的殺人事件」という名の事件に挑む「プロローグエピソード」をプレイすることができる。上述のように、後日Steamで体験版が配信される予定なので、Steamストアページでフォローして最新のニュースが届くのを待とう。

推理ゲーム以外では、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)スタイルの操作やゲームシステムとローグライクアクションを融合させたという『Shape of Dreams』と、キャラクターの色をペンキで変化させながら、同じ色のブロックを通過していくパズルアクションゲーム『Pa!nt』などが出展された。どちらもSteamで体験版をダウンロードできるので、自宅で遊んでみてほしい。


ソウルからもビジネスソリューションコーナーに出展!
ソウル経済振興院(Seoul Business Agency)によるSBAソウルパビリオンには、様々なジャンルのゲームの開発実績が豊富なIKINAGAMESなど、12社のゲーム開発会社が参加した。ブース位置はホール4(C51)
IKINAGAMESが出展したのは、ゾンビウイルスが蔓延した学校でのサバイバルを描いたノベルゲーム『今、私たちの学校は...』だ。同名のウェブ漫画が原作だが、ノベルゲーム版ではキャラクターデザインが現代的なアニメ風に一新されており、学校が血の海と化す凄惨な描写も含め、漫画やドラマ版とはまた違った魅力がある。

SBAのブースでもうひとつおすすめしたいタイトルは、悪夢の世界からの脱出を目指すローグライトアクションゲーム『Nightmare: The Lunatic』だ。3つの武器を使い分けながら戦い、敵の攻撃をタイミングよくパリィしよう。早期アクセスを卒業して正式リリースされているので、すぐに購入して遊ぶことができる。

「ハピネット」ブースで『クロノソード』などが試遊出展!
ホール6の「ハピネット」のメインブースでは、パブリッシャーCFKが家庭用ゲーム機向けの移植と販売を担当する韓国発のインディーゲームをいくつか試遊することができた。ブース位置はホール6(N03)
- 『LAPIN』 開発元Studio Doodal
- 『Ninja Issen (忍者一閃)』 開発元ASTEROID-J
- 『食魂徒 ~百花妖乱~』 開発元DeerFarm
『クロノソード (Chrono Sword)』は、タイムトラベルの要素を持つ重厚なソウルライクアクションRPG。TGS2024では、2023年の「BitSummit Let’s Go!!」に出展された体験版より先のシーンを試遊できた。タイプの異なる武器を選ぶことができて、探索や戦闘を楽しめるようになっている。

インディーゲームコーナーと「Selected Indie 80」もチェック!
1-8ホールとは別の建物になっている9-11ホールには「インディーゲームコーナー」があり、韓国発のインディーゲームも多数出展されていた。
- 『Moonbase Lambda』(09-W04)開発元・販売元Thunderfox Studio
- 『Telebbit』(09-W36)開発元IKINAGAMES、販売元HYPER REAL
- 『ダンジョン・イン』(09-W43)開発元Cat Society、販売元Spiral Up
- 『MONOWAVE』(10-W3)開発元・販売元BBB(10-W08)
- 『Light Odyssey』(10-W16, 17)開発元SSUN GAMES、販売元GRAVITY
- 『FINAL KNIGHT』(10-W16, 17)開発元2oclocksoft、販売元GRAVITY
- 『Shambles』(10-W16, 17)開発元EXLIX、販売元GRAVITY
ホール10の「Selected Indie 80」に選定されたタイトルの中に韓国発のインディーゲームが6タイトルもある。各タイトルの紹介はTGS2024公式サイトの「Selected Indie 80」のページもご覧いただきたい。

- 『FINAL KNIGHT』(A01)開発元2oclocksoft、販売元GRAVITY
- 『被亜』(A08)開発元・販売元 爆発物処理班
- 『Light Odyssey』(A27)開発元SSUN GAMES、販売元GRAVITY
- 『Nqc : Non Qualia Character』(A35)開発元・販売元 TARP Studio
- 『未解決事件は終わらせないといけないから』(A42)開発元・販売元 Somi
- 『KILLA』(A69)開発元・販売元 ケンキツ団
踏んだ地雷を解体するゲーム『被亜(Pia)』と、現実世界/ゲーム内ゲーム/ 記憶の三つの次元を行き来するアドベンチャーRPG『Nqc : Non Qualia Character』が試遊できるのは日本で初めてだった。『被亜』はKOCCA Game Institute(韓国コンテンツ振興院ゲーム人材院」のTGS特設サイトでインタビュー動画が公開されている。

なお、『未解決事件は終わらせないといけないから』は、センス・オブ・ワンダー ナイト 2024(SOWN2024)でプレゼンテーションをするファイナリスト8作品にも選ばれ、部門賞のひとつである「Best Game Design Award」を受賞した。SOWNの模様は9月28日(土)11:00に配信開始されたTGS公式番組で視聴できる。

まだまだある韓国発のインディーゲーム!
さて、これで韓国発のインディーゲームが出展されたブースを網羅できたかというと、そうではない。
ホール4のビジネスソリューションコーナーの「ポールトゥウィンホールディングス/ポールトゥイン」ブースでは、ラン&ガン・アクションシューティング『PROJECT TACHYON』が試遊出展された。開発元は「ARIA CHRONICLE」のSTUDIO N9。

さらに、ホール9の「Phoenixx / GYAAR Studio」ブースでは『KILLA』を含む「GYAAR Studio インディーゲームコンテスト」の受賞作品が試遊でき、ホール3の「架け橋ゲームズ」ブースには好評発売中の『サグレス(Sagres)』が試遊出展された。

9月27日23時から東京ゲームショウ2024の公式YouTubeチャンネルにて、PVEVPの3DダンジョンRPG『ダンジョンストーカーズ』のTGS2024公式特別番組も配信された。開発元は『メタリックチャイルド』のAction Square(STUDIO HG)。

本記事では「SteamにストアページがあるPCゲーム」に絞って紹介しており、しかもまだ情報が少ないタイトルはご紹介していないが、韓国発のインディーゲームが多数出展されていたことが少しでも伝われば幸いだ。引き続き、弊誌では韓国発のタイトルの情報もお伝えしていきたい。