『レトロ アビス : ゲームの最後の願い』は、水中を泳ぎながら敵を狙い撃つ2Dアクションゲーム。主人公が10年前にクリアできなかったゲームに再び挑み、深海に潜む魔王ポセイドンと決着をつけるというメタフィクションなストーリーとなっている。
開発元は、韓国を拠点とする個人開発者Big Ben氏のBen Big Game Studio。本作は以前から早期アクセス版がAndroid/iOS, PC(Steam)向けに発売されており、2024年11月1日に最後のボス戦を含む正式版がリリースされた。
筆者は本作のカットシーンの台詞翻訳と、日本向けのプレスリリース配信を個人でサポートさせていただいた。
子供の頃、ゲームに熱くなった記憶が蘇る
本作はレトロなドット絵のゲームが好きな筆者のイチオシのタイトルだ。子供の頃に遊んだゲームを大人になってもう一度プレイするというノスタルジックな設定と、海の底に深く沈んでいくような雰囲気、中盤以降に続く熱いボスバトル、すべてが上手くかみ合って夢中になれた。
8月にプサンで開催された「BIC Festival」で本作の開発者にご挨拶しようと思い立ち、翻訳を志願したぐらい好きな作品である。

水中を泳ぐ新感覚のツインスティックシューター
本作のPC版はゲームパッドで遊ぶのがオススメ。左スティックで移動し、右スティックで射撃方向を決める、いわゆる「ツインスティックシューター」の操作方法でプレイできる。水中ではプレイヤーキャラがゆっくりと沈んでいくので、泳いで浮上しつつ戦うことになる。マウス+キーボードでの操作も可能だ。


スキルを自在に操り、無敵の戦士となれ!
キャラクター作成時に最初から選べる「クラス」は騎士、射手、マジシャンの3種類。ゲームを進めていくと、ヒーラーなどの他のクラスも選べるようになる。クラスごとに習得できるスキルが異なり、戦闘系のクラスと、回復や防御ができるサポート系のクラスに分かれている。
戦いの中で敵を倒してコインを集めておくと、ショップでスキルの購入と強化ができる。本作では通常攻撃もスキルとして扱われる。どの攻撃スキルにも、発射する直前に時が止まったかのようなスローモーションになる「バレットタイム」が発生。敵の弾が遅くなったところを回避しつつ、弾を消去できる攻撃スキルも有効に活用するのがポイントだ。スキルとバレットタイムを使いこなして、弾幕をかいくぐる快感を味わおう。


キャラを強化しながら周回プレイ!
作成したキャラクターを選んで、10種類の基本ステージをクリアすると、キャラクターのレベルがMaxに到達する。別のキャラクターを選んでステージ10のクリアを目指そう。
3つのクラスのキャラクターをレベルMaxにすると、次のエリアが解禁され、ボスと連戦に。ボスとの相性を考えてパーティに加える仲間を選び、戦いを有利に進めよう。ラストに近づくほど熱く激しい戦いが待っている。


今度こそゲームをクリアするために…
少し気になる点としては、キャラクターの強化のためにコインを稼ぐ作業が、やや同じことの繰り返しになってしまうと感じた。前のエリアに戻って、効率の良さそうなステージを何度もクリアして稼ぐことになるのだが、そこに何か変化が欲しかったところだ。
だが、さっそく本作の正式版を遊んでくださった動画配信者さんのプレイを見ると、3時間ほどのプレイで最終決戦の手前までたどり着いていて、途中のコイン稼ぎにそれほど時間がかかったわけでもなかった。もしボスの攻撃を完全に見切ることができれば、キャラクター強化を終えていなくてもクリアできるだろう。
ストーリー的にも、10年ぶりに戻って来た主人公が今度こそゲームを最後までクリアできるかという内容で、不屈の心を燃やしてエンディングまでたどり着くことで達成感を得られるゲームとなっている。『UNDERTALE』のようなレトロ風ゲームに見られる懐かしさやエモさ、ボスとの熱い弾幕バトル、メタフィクションの構造と饒舌な語りが、本作の魅力だと言えそうだ。
ゲーマー人生の中で、クリアできずに心残りになっていたレトロゲームの思い出が誰にでもあるはず。本作を最後までプレイしてその思いを昇華させてほしい。
基本情報 | レトロ アビス : ゲームの最後の願い |
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開発 | Ben Big Game Studio |
販売 | Ben Big Game Studio |
配信日 | 2024年11月1日正式版リリース / 日本語有り |
定価 | 350円(税込)(Steam) |
定価 | 本体価格無料+アプリ内課金(App Store)(Google Play) |