2024年10月27日に東京都立産業貿易センター 浜松町館で「東京ゲームダンジョン6」が開催された。本稿では、筆者が本イベントで試遊して気になったタイトルをご紹介しよう。


カオスなビジュアルも印象的な積み上げパズルゲーム
『子どもたちの庭』は、賽の河原で遊ぶ子どもたちのために、「おんぶつ」という石を積み上げるパズルゲームだ。開発は、"健康機構"が手掛ける。
仏教の世界において、死者は冥途に行く前に三途の川を渡るとされる。その河原が賽の河原だ。そこでは、子どもたちが川の石を積み上げて塔を作るが、鬼がやってきてその石の塔を壊してしまうと言われている。
本作の舞台である賽の河原には、生前に父親や母親への愛をうまく表せなかった子どもたちが集まっている。プレイヤーは、そんな子どもたちのためにおんぶつを積み上げ、ミッションをクリアする。そうして、子どもたちの転生先を変えることが本作の目的である。


ミッションでは、丸や三角、四角、細長い棒などの多様なおんぶつが登場。ミッションごとにその積み方が指定される。たとえば、積み上げるおんぶつの種類、数、高さなどだ。制限時間内に指定どおりにおんぶつを積み上げられたら、ミッションクリアとなる。
また、おんぶつを積むステージ自体にもバリエーションがある。広くて平らなステージでは、比較的簡単に積み上げられるが、木のように枝分かれしたステージでは、おんぶつを高く積み上げるのはなかなか難しそうだ。
ミッションを進めていくと、鬼が邪魔をしてくるステージも登場。鬼の見た目はかなりエキセントリックだが、そんな鬼には負けられない! ミッションを4つ終えると、子どもの転生先が決まる。成績に応じてストーリーが変化するマルチエンディング仕様だ。


当日のブースではモニター全体が黒いオブジェで囲われており、会場でもひときわ異彩を放っていた。ゲーム画面の作りも非常に個性的だ。2つの目がついたカラフルでいびつな形をしたおんぶつ、ミッション中のメカニカルなUI、そして、多くの人がイメージするであろう赤くて角が生えた人型の「鬼」の姿とはかけ離れた鬼のビジュアルに目を奪われた。
操作やルールも非常にシンプルなので、年齢やゲームプレイ経験に関係なく、多くの人が遊びやすいゲームだと感じた。子どもから大人まで、みんなでわいわい言いながらプレイしても盛り上がりそうだ。
一方で、題材自体はシリアスなもの。親に上手く感謝を伝えられないまま別れることになった子どもたちの人生を思いながらプレイをしていると、普段はあまり意識しない自分の生き方や感情に向き合う良いきっかけにもなりそうだ。


東京芸術大学で教育用ゲームを研究中
本作を手掛けるのは、日本の開発チーム健康機構。ディレクションを手掛ける宍倉志信氏を筆頭に、グラフィックや音楽などを5名で分担して開発している。チームとしては、本作が一作目のゲーム開発だ。
宍倉氏は、東京芸術大学大学院の後期博士課程に在籍する現代美術作家。大学の修士課程を主席で修了した後、一度は大学を離れたものの、ゲームの研究を続けたいと考えて大学に戻ったのだそう。大学では教育用ゲームについて研究中。そこで、レトリックを使ったゲームを作りたくなり、本作の開発に至ったそうだ。教育用ゲームであってもゲーム性にはこだわりたいとのことだった。
本作は、2025年の発売を目指して鋭意開発中で、クリアまで数時間のボリュームを想定しているとのこと。アーティスティックな雰囲気のゲームが好きな方や、子どもたちの転生後の人生が気になる方はウィッシュリストに登録しておこう。

基本情報 | 子どもたちの庭 |
---|---|
開発 | 健康機構 |
販売 | 健康機構 |
配信日 | 2025年 / 日本語あり |
定価 | 未定(Steam) |