Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、デモ版を元に紹介していくコーナー!
『Flower in Us』は、記憶を失って地下室で目覚めた男性が、柱に縛り付けられた女性と対話しつつ手がかりを探して脱出を図る短編アドベンチャーゲームだ。
開発元はTeam Gypsophila。個人でもRPG Maker製ゲームの制作をしているChalkseagull氏(X/Twitter)がチームリーダーで、企画とプログラミングを担当。販売はPsychoFlux Entertainmentが手掛ける。本作は日本語対応のデモ版が配信中で、日本時間2月11日の午前2時ごろまで開催された「RPG Maker Festival 2025」に参加。
なお、本記事では、最初の会話で明かされる主人公の職業と女性の経歴に言及している。ネタバレを避けたい方は、デモ版をプレイしたあとで本記事を読んでいただければ幸いだ。


女性から情報を聞き出して地下室の謎を解け
主人公は地下室に転がり落ちた時に強く頭を打ち、記憶を失ったようだ。手や首を縛られた女性に「大丈夫ですか」と訊くと、何をふざけているのかと疑われ、「こうやって縛ったのはあんたでしょ。忘れたの?」と言われる。会話を続けるうちに、情報を提供して助ける代わりに拘束を解いてほしいと女性から取引を持ちかけられる。
敵か味方かわからない女性とのやりとりには常に緊張感が漂う。提案に乗っていいのかどうか。記憶を失っておろおろしている主人公が、口車に乗せられて、自分で縛った相手を解放してしまいそうになっているようにも見える。だが、地下室を出るための手がかりはこの女性から聞き出すしかない。

革命団の女性と協力し合えるか?
女性の話によると、主人公は警察官のようだ。女性は普通の大学生だが、独裁政権に抵抗する「学生革命団」に入ったばかりだという。終戦後すぐに、ある軍人がクーデターを起こして独裁政権を樹立したという背景が語られる。室内にある旧式のテレビやレコードプレーヤーを見ても、どうやらこの物語の時代設定は現代から何十年も昔だと推測できる。
民主化以前の韓国のような暗い時代背景が日本のユーザーの目に新鮮に映るかもしれないが、『Flower in Us』は史実をもとにしているわけではなく、架空のディストピア的な社会を描いているようだ。ホラーというよりは、密室での1対1の特殊な人間関係を中心としたサスペンスものであり、スリラーの要素も含んでいる。

暗証番号の手がかりを探せ
地下室の出入り口のドアは、暗証番号で開錠できるようになっている。ロッカーもダイヤル式のロックだ。女性と会話を続けて、暗証番号のヒントになりそうな話を聞き出そう。手に入れたアイテムを女性に見せて、さらに情報を引き出すこともできる。


不可思議な現象に襲われる急展開
デモ版の後半まで進めていくと、ふと非現実的なものが視界に入り、妖しい幻想が顔を出す。飾り気のなかった地下室にぞっとするような美しさが加わり、怪奇と幻想の世界となる。
少しネタバレを見ても構わないという方は、ストアページのトレーラーをじっくり見てみるとよいだろう。『Flower in Us』というゲームタイトルは、韓国語の原題では「人々の中に咲く花」という意味である。花というモチーフが大胆に使われ、先の展開が気になる内容となっている。

日本のユーザーにも届くように
デモ版のストアページを見ると、言語の欄にチェックが入って日本語対応となっているが、製品版のページにはチェックが入っていないため、発売の時点で日本語に対応するどうかはハッキリしない。ご興味のある方はどうかウィッシュリストに入れてお待ちいただければと思う。
なお、「RPG Maker Festival 2025」を機にウィッシュリスト登録数が順調に増えたことが公式SNS(X/Twitter)で報告されている。
Chalkseagull氏は韓国のRPG Makerゲーム制作者が集まるDiscordサーバーの創設メンバーであり、「1Chicken Game Jam」というRPG Maker作品のコンテストを何度も開催し、ここ数年はゲーム学科の学生としてもゲームを制作していた。パブリッシャーのPsychoFlux Entertainmentも、数多くのRPG Maker作品を手がけ、1Chicken Game Jamの運営に携わっている。『Flower in Us』をきっかけに韓国産のRPG Maker製ゲームがもっと広まって、韓国と日本双方でゲーム制作が盛り上がっていくようにと、筆者も願っている。


基本情報 | Flower in Us |
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開発 | Chalkseagull, Team Gypsophila |
販売 | PsychoFlux Entertainment |
配信日 | 2025年 / 日本語対応未定。デモ版は日本語あり |
定価 | 未定(Steam) |