死の輪廻を断ち切る旅路。クラシックとモダンが同居するターン制RPG『Clair Obscur: Expedition 33』先行プレイレポ

朝比奈 / Asahina

2025/04/23

Indie FreaksはパブリッシャーKepler Interactiveと協働し、本作の日本向けマーケティングの一部をサポートしています。

Clair Obscur: Expedition 33』は、フランスのベル・エポックにインスパイアされたファンタジー世界を舞台に、死の輪廻を断ち切るための決死行に挑む第33遠征隊の旅路を描いたRPGだ。フランスを拠点とするゲーム開発スタジオ"Sandfall Interactive"が手掛ける。

元Ubisoftでブランド・マネージャーやナラティブリードを務めた、現CEO兼クリエイティブディレクターのGuillaume Broche氏をはじめとするベテラン開発陣によって、2020年に設立されたSandfall Interactive。設立前から「Project W」として構想が重ねられていた本作が、スタジオデビュー作としてついにリリースを迎える。

本稿では、その内容と世界観、魅力についてご紹介しよう。

Steamで10% OFF:Clair Obscur: Expedition 33
第33遠征隊のメンバーを率い、死を描き続けるペイントレスを打倒せよ。ベル・エポックのフランスをモチーフにした驚異の世界を冒険し、リアルタイムで進行するターン制RPGでユニークな敵と戦おう。…

死の輪廻を断ち切るために遠征隊は旅立つ

この世界では、年に一度"ペイントレス"と呼ばれる存在が目覚め、彼女の手によって巨大なモノリス(黒色の一枚岩)の表面に描き出された「数字」と等しい年齢の人間が、煙となって抹消されてしまう事態に陥っていた。

これを打開するには彼女を倒すしかない。だが、幾度も行われた遠征はすべて失敗。年を追うごとに減っていく数字は、今や「33」にまで到達していた。迫り来る破滅を前に、主人公ギュスターヴは"第33遠征隊(Expedition 33)"の仲間たちと共に、死の輪廻を断ち切るために旅立つこととなる。

本作のゲームシステムは、ストーリー上の目的に沿って広大なフィールドを進みながら、ルート上に存在するさまざまなエリアに踏み入って攻略していくオーソドックスな形が取られていて、進行状況に応じてACTと呼ばれる章立てと、大小のイベントで物語が描かれていく。

冒険の舞台となるのは、ギュスターヴたちが住むルミエールの街の外の世界。街は67年前に起こった世界崩壊の折に大陸から切り離されており、海を隔てた目的地モノリスまでの道のりは、崩壊後の険しい地形だけでなく、ネヴロンと呼ばれる異形の敵もはびこる危険に満ちたものだ。

フィールド移動では立体的に視点を動かせるタイプの見下ろし型となっており、背景のピントをぼかし、デフォルメされた縮尺のジオラマ模型的なビジュアルが特徴的。フィールド上でいつでも設けられる「キャンプ」が拠点替わりで、仲間たちとの会話イベントや休息、パーティメンバーの変更、武器のアップグレードなどが可能。

一方で、攻略エリア内はリアルな縮尺での三人称視点のアクションスタイル。内部はリニア寄りの構造だが、横道にそれることで武器やアイテムを発見できることもあるので、程良く探索できるといった印象だ。

もちろん、フィールドや攻略エリア内において敵との戦闘は避けては通れないが、これについては後述しよう。

一般的にファンタジー作品は中世ヨーロッパ風の世界観がベースとなることが多いが、今作では19世紀末~20世紀初頭のフランスにおけるベル・エポック(美しき時代・古き良き時代)と呼ばれた時期をベースに形作られている。その頃の文化・芸術・思想といったものが絶妙な均衡で華やいだ雰囲気を生み、そこに剣・魔法・機械工学が発達したファンタジーらしい描写が練り込まれている。

そのためか、全体的に明るく幻想的な雰囲気のロケーションが多く、決死の旅とは言えど陰鬱さをさほど感じないのも本作の特徴の1つ。また、世界には意思疎通が取れる人外の存在や生き物も息づいており、文明は崩壊したにせよ死の世界というわけでもない。

旅を続ける中で世界の有り様を見て理解していくのも、いかにもRPGらしい楽しみ方ではないだろうか。

緊張感が漂うターン制コマンドバトル

昨今の3D RPGタイトルでは、バトルシステムにキャラクターを直接操作するフルアクションのスタイルを採用しているケースも多いが、今作はフィールド上の敵シンボルに接触することで戦闘画面へと突入するシンボルエンカウント方式と、オーソドックスなターン制コマンドバトルが採用されている。

戦闘中は、敵と味方の行動順が示されたタイムラインに沿って、自身のターンが回ってきたキャラクターは攻撃・エイム(射撃の照準)・スキル・アイテムから行動を選択して実行。最終的に敵の体力を削りきって全滅させれば勝利となり、経験値やドロップ品を獲得することができる。

戦闘パーティは遠征隊の仲間から最大3名で編成。各キャラクターはユニークな特性を持っていて、武器とピクトス(アクセサリ)装備による強化と、レベルアップ時のポイントを割り振ってのステータス上昇、スキルツリーから攻撃・回復・補助型の固有スキルを習得していく。

特に本作の戦闘は「AP」というポイントが重要で、スキル発動時に決まった数値を消費しなければならないが、各キャラクターの扱うスキルの効果や、バフ・デバフ(味方の強化・敵への状態異常)との組み合わせを意識することで、毎ターンAPを保って有利に戦いを進められるところに工夫のしがいがある。

また、今作ならでのインタラクティブな要素として、スキル使用時に表示されるボタン/キーをタイミング良く押すことでその効果を高めたり、敵の攻撃モーションを見極めて回避やパリィ、ジャンプをすることでダメージそのものを回避できたりする。

パリィのタイミングは回避よりもシビアだが、成功すればノーダメージに加えてAPを1回復でき、さらにそのターンでの敵からの攻撃をすべてパリィすればカウンター攻撃も繰り出せるため、リスクはあるが積極的に狙う価値が生まれている。

いずれも任意のアクションで、上手く扱えれば戦闘を有利に運ぶことができる要素となっているので、ともすれば単調になりかねないターン制コマンドバトルに刺激と緊張感を与えてくれている。

もちろん、こうしたリアルタイム性のある操作を苦手とするプレイヤーもいらっしゃると思う。スキル使用時のボタン押下については、アクセシビリティオプションで自動的に成功させることが可能。回避・パリィは難易度を下げることでタイミングの緩和が可能なので、幅広いプレイヤー層が楽しみやすい形になっている。

いろいろと緩和してもまるっきり歯ごたえが失われることもないので、自身のプレイスタイルにあった楽しみ方をしてみよう。

美しく丁寧に描かれる旅を楽しもう

既にお伝えしているとおり、本作はストーリーベースのRPGだ。RPGとはその性質上、比較的長い時間をかけて少しずつ冒険を進めていくというプロセスが一般的で、プレイヤーはそこで見聞きしたものから登場人物や世界のバックグラウンドを紐解いていくことで没入感が得られる。

作品によってはそれが薄まってしまっているものもあるが、その点において本作は、プレイヤーを置いてきぼりにすることなく自然と物語を理解できるようなバランスで成り立っている。

特に、主人公ギュスターヴと主要キャラクターのマエルを中心とした仲間たちの内面をも丁寧に描こうとする心理描写は、本来はJRPGが得意とするところ。それにインスパイアされた本作のストーリーテリングは秀逸で、日本人プレイヤーとしてはどこか親しみさえ感じるかのようだ。

Clair Obscur: Expedition 33』は、PC(Steam, Epic Games)・コンソール(PlayStation 5, Xbox Series X/S)にて2025年4月24日より配信予定だ。


基本情報 Clair Obscur: Expedition 33
開発 Sandfall Interactive
販売 Kepler Interactive
言語 日本語有り
配信日 2025年4月24日
定価 7,480円(Steam
7,480円(Epic Games Store
7,480円(PlayStation 5
7,480円(Xbox Series X/S)(XboxGame Passタイトル)

© Sandfall Interactive. All rights reserved.
© Kepler Interactive

この記事で紹介されているゲーム

Clair Obscur: Expedition 33

アクション

RPG

日本語対応
10%¥6,732