"圧倒的好評"の中華ビジュアルノベル『飢えた子羊』1周年を記念し、世界観を伝えるアートブックを配信開始。さらなるコンテンツや続編も進行中

朝比奈 / Asahina

2025/04/25

2025年4月23日、インディーゲームパブリッシャー"2P Games"は、同社がサポートする中国の明朝末期を舞台としたビジュアルノベル『飢えた子羊』の1周年を記念し、記念イラストを公開すると共に、PC(Steam)にて公式設定資料集となるデジタルアートブックを配信開始したことをアナウンスした。

飢えた子羊-『飢えた子羊』発売1周年記念!-Steamニュース
皆様、こんにちは! 本当にあっという間でした。『飢えた子羊』の発売から、早くも1周年を迎えました。 1年後の今、本作は全世界・全プラットフォームでの累計販売本数が120万本を突破しました。「満穂」のフィギュアも6万体以上を販売し、ゲームの設定資料集(書籍)は2万冊以上、デジタルコンテンツは61万点を売り上げるなど、その他の関連グッズも多くのご支持をいただいています。 現在、本作は小説化、映画・ドラマ化、アニメ化など様々なメディア展開が進行中です。最終的にどのような形でリリースされるか、そして予定通り公開できるかはまだ分かりませんが、知的財産�

『飢えた子羊』とは?

飢えた子羊』は、中国史における明朝時代の末期(1632年)を舞台に、1人の男が4人の少女を華州城から洛陽城まで送り届ける旅路を描いたビジュアルノベルだ。中国のゲーム開発スタジオ"Zerocreation Games"が手掛ける。

プレイヤーは、かつては世界を旅する侠客となることを夢見ながらも、今や盗賊の身分にまで身をやつした""という名の男を操作する。相棒と共に人買いに売られた4人の少女を、華州城からはるか遠く洛陽城まで送り届けることとなる。

その時代にあってはよくある人身売買の話。しかし、もう1人の主人公であり、少女たちの1人である"満穗"はあなたに告げる。自分たちを買った男の正体は人を食う妖魔で、姉のかたきなのだと。それが嘘か真実かを判断しきれぬまま旅を進める中で、やがてさまざまな真実が明らかになっていくという物語が描かれる。

Steam:飢えた子羊
プレイヤーは盗賊となり、四人の少女を華州城から洛陽城まで運び、その旅路で真相を解き明かし、選択を行います。このゲームには「復讐、暗殺、飢饉、人身売買、人食い」などのダークな要素が含まれていますが、最終的にはプレイヤーに前向きな感情と力を与えることを目指しています。

その舞台設定からも想像できるように、本作には「復讐・暗殺・飢饉・人身売買・人食い」といったダークな要素とセンシティブな表現が登場する。では、それになぞらえたような陰鬱な物語がひたすらに追求されているのかと言えば、そういうわけではない。

ストーリーの中で表れるいくつもの選択肢やその積み重ねによって展開が変化し、異なる結末へとたどり着くというマルチエンディング方式が採用されており、そこにはある種の救いの光が差し込むようなこともある。あるいは、闇にまみれたままの救いかもしれないが…。

本稿の執筆時点で、Steamのユーザーレビューは「圧倒的に好評(43,153件中96%が好評)」となっており、2025年1月23日には100万本のセールスを達成したことも報告されている。それを支持するのは緻密な描写によって構成された秀逸なストーリーテリングで、テキストの日本語翻訳も十分に満足できるクオリティとなっている。活字で物語を読むことを好むプレイヤーであれば、事前に情報を得ることなく一度プレイしてみてほしい作品だ。

なお、本作はもともと各キャラクターに中国語音声のみが収録されていたが、ローンチから半年後の2024年10月23日には、"満穗"役に声優の釘宮理恵氏をはじめとする日本語吹き替えが実装。これにより、作品への没入感がさらに高まっている。

世界観を伝える公式設定資料集

冒頭でもお伝えしたとおり、2024年4月23日のローンチから1周年を記念して、本作の世界観などを収録した123ページに及ぶデジタルアートブックが有料(600円)で配信開始となった。

収録されている内容は以下のとおり。海外のタイトルではアートブックまでは翻訳されていないというケースも多いのだが、こちらは本編同様のクオリティで日本語翻訳されている点も嬉しいところだ(中国語・英語・フランス語・ロシア語版も同梱されている)。

  • 第1章:世界観の紹介と物語の背景
  • 第2章:主要キャラクターの立ち絵、デザインの構想、顔文字、三面図、デザイン時の参考資料など。
  • 第3章:主要なシナリオ、セリフ、設定の詳細な説明、メイン章とサイド章、ゲームの各章から抜粋したシーンを含む。
Steamで10% OFF:『飢えた子羊』美術設定集
本書は、ゲーム「飢えた子羊」のアートブックで、Steamの基本ゲーム「飢えた子羊」を持っていないと楽しめません。

更なる展開と続編の開発も進行中

現在、『飢えた子羊』はゲームの枠を超え、ノベライズ・映画・ドラマ・アニメなどのメディアミックス展開が進行中とのこと。それを、日本のユーザーが楽しめるようになるかは未定だが今後の続報を待ちたい。

また、今作の続編となる『泣き叫ぶ雁』の開発が2026年のリリースを目標に進行中。『飢えた子羊』から3年後を舞台とした新たな主人公と登場人物たちを据えての物語となるが、ゲストキャラクターとして良と穗も登場するとされている。

今回の1周年を記念したアナウンスの中では「『泣き叫ぶ雁』の日本語ボイスキャストの推薦を募集!」との呼びかけも記載されているため、続編では最初から日本語吹き替えが収録されることにも期待できそうだ。こちらも今後の展開に大いに注目していきたい。

Steam:泣き叫ぶ雁
本作は明末期のサバイバルをテーマとしたテキストアドベンチャーゲームです――プレイヤーは「獅駝国」に迷い込んだとある書生となり、妖怪たちが虐殺の限りを尽くす十日間を生き延びなければなりません。またその間に記憶を取り戻し、とある揚州の妓女の死の謎を解き明かす必要があります。 本ゲームは半分の章で「残酷」な虐殺の歴史を描いていますが、もう半分では「優美」な明時代末期における書生と名妓の恋の追憶を描き、最終的に前向きになれるような感情や力を与えることを目指しています。

基本情報 飢えた子羊
開発 Zerocreation Games
販売 Zerocreation Games, 2P Games
言語 日本語有り
配信日 2024年4月23日 / Steam
2025年3月13日 / Nintendo Switch
定価 1,200円(Steam
1,870円(Nintendo Switch)※一時販売停止中

※2025年3月13日にNintendo Switch版がリリースされたが、その直後の3月17日に2P Gamesよりアナウンスがあり、レーティング変更に伴い一時販売停止となり、マイニンテンドーストアのストアページは非公開状態となっている。販売再開時期は未定。

この記事で紹介されているゲーム

泣き叫ぶ雁

アドベンチャー

インディー

RPG

日本語対応

『飢えた子羊』美術設定集

RPG

インディー

アドベンチャー

日本語対応
10%¥540

飢えた子羊

アドベンチャー

RPG

インディー

日本語対応
¥1,200
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発売日Q4 2025
ジャンル
アドベンチャー
RPG
インディー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
Steamクラウド
ファミリーシェアリング
ストアページリンク

泣き叫ぶ雁

本作は明末期のサバイバルをテーマとしたテキストアドベンチャーゲームです――プレイヤーは「獅駝国」に迷い込んだとある書生となり、妖怪たちが虐殺の限りを尽くす十日間を生き延びなければなりません。またその間に記憶を取り戻し、とある揚州の妓女の死の謎を解き明かす必要があります。 本ゲームは半分の章で「残酷」な虐殺の歴史を描いていますが、もう半分では「優美」な明時代末期における書生と名妓の恋の追憶を描き、最終的に前向きになれるような感情や力を与えることを目指しています。

ゲーム紹介

明末期、弘光元年(1645年)。書生の方 知宥(ほう ちゆう)は愛する者を亡くして心を病み、目にする人が獣に見えるようになってしまい、酒に溺れる日々を過ごしていた。

乙酉の年の四月二十四日の夜のことである。友人の家で遅くまで飲んだ彼は道端で泥酔したまま寝てしまい、目を覚ますと『獅駝国』に迷い込んでしまったことに気が付いた。

『獅駝国』とは五百年前、三蔵の一行がまだ来ていない頃に、金翼鵬王(きんよくほうおう)が十万の妖怪を率いて一国の民を皆殺しにした時の物語である。

自分の書いた本の中に入り込んでしまった知宥は、妖怪が町に押し入り、略奪や殺人、姦淫に放火などの悪行三昧を働くのを見て、「死を望む心」があったものの、ふとしたことから生への渇望が芽生え始める――

彼は偶然にも故人に似た容姿の少女と出会う。彼女の名は「小雁(シャオエン)」、奇遇にも故人の幼名と同じものであった。

「故人」とは揚州では名の知れた妓女「蘇 怜煙(そ れいえん)」。彼にとっては因縁浅からぬ相手であり、幼馴染であり、そして唯一の理解者であった。

三年前のことである。怜煙は別れも告げず二十四橋から川に身を投げた。知宥はそのことが心の傷となって記憶を失い、それからというもの心を病んで鈍色の日々を過ごすこととなった。

『獅駝国』へ来てからの知宥は小雁と出会ったことで彼女を守るために生きようと思い始める。そして彼女を連れて、妖魔による虐殺が終わる最後の日まで生き延びようと耐え忍ぶ。

その過程で彼は徐々に記憶を取り戻していく。正気を取り戻していくのか、それともさらなる狂気に蝕まれるのか。彼女に関する真相を解き明かした時、彼は自身の結末に向き合うことになる。

物語の背景

物語は明朝末期が背景であり、『記』の章と『憶』の章の二つの章に分かれています。

『記の章』では明末期から清初期にかけての乙酉の年の四月二十四日からその後十日間の出来事が綴られています。

明末期の弘光元年(1645年)、中原。崇禎帝が煤山にて首を括った後、辺境の関所を守っていた大将・呉三桂が門を開け、清の兵を関内へと引き入れた。そして明の皇族は南へ逃亡し、清を打倒して王朝を復活させるために「南明」を立てた。

清軍は兵力を二つに分けた。一方は李自成率いる大順農民軍の征伐に、もう一方は江南へと向かい、豫親王・多鐸(ドド)率いる十万の清兵で揚州城を取り囲んだ。史可法が軍民を率いて揚州を死守するも、最終的に城は攻め落とされ、多鐸は虐殺を命じるのであった。

城が陥落したその時が、本作の書生・方 知宥が酒に酔って「獅駝国」に迷い込んだ時でもあります。

『憶の章』では明末期の崇禎五年から崇禎十五年の十年を振り返ります。

当時、明末期の江南は西北中原の「歳は大飢饉、人が人を食らう」という状況とは異なり、資本主義の芽が出始め、これまでにないほど文化が発展し、様々な小説や演劇が市井に出回っていた。

人々の間でうっすらと暮らしに影が差す不安はあったかもしれない。しかし間もなく王朝が変わるであろうとは露知らずのままであった。

 

登場人物

方 知宥はプレイヤーが演じるキャラクターです。九歳の時に両親を事故で亡くし、揚州の塩商人である叔父に養子として引き取られた。

若くして科挙の秀才科に合格し、その後は家を出て単身で暮らしていたが、科挙を捨て、書で身を立てることを志す。

そして『水滸伝』を元に『金瓶梅』を書いた「蘭陵笑笑生」に倣い、『西遊記』を元に『獅駝国』を書こうとするのだった。

しかし後に愛する人の突然の死によって筆を折らざるを得なくなり、記憶喪失や獣視病を患ったことにより、三年に渡って心を病むこととなった。

そして乙酉の年の四月二十五日、彼は深酒によって、自分が書いた『獅駝国』の世界へと迷い込んでしまう。

 

広陵二十四橋は江南地方にある、秦淮河畔に匹敵する花街として知られている。

蘇 怜煙はこの地で最高の遊郭「凌煙閣」の顔ともいえる花魁である。詩や絵を描くことを好み、古琴や琵琶の芸に秀でた妓女だった。

「清倌(せいかん)」と呼ばれる立場である彼女は夜伽もせず身も売らず、ただ酒に付き合い華に芸を出すのみであるが、それでも世の賓客たちにとっては雲の上の存在で、客足が途絶えることはなかった。

崇禎十五年のとある晩、彼女は突如として二十四橋から川に身を投げ自尽した。そのことが知宥の心の傷となっている。

 

小雁は方 知宥が『獅駝国』に迷い込んでから出会った少女である。

彼女は知宥の記憶の中の名妓・蘇 怜煙の子供時代とそっくりな見た目をしているが、その性格は怜煙とは正反対である。

記憶の中の幼き怜煙は毅然とした強い少女で、男である知宥よりも勇敢であった。

しかし出会った小雁は内気でおどおどしており、彼の保護を必要としているように見える。

林 翩翩(りん へんへん)は貧しい家庭に生まれた。彼女は崇禎十三年(1639年)時点では二十四橋の花街の流れの妓女だった。

運命の巡り合わせで知宥と出会うこととなったが、怜煙の死後は徐々に疎遠になっていった。その飛び抜けた美貌によって後の数年で人気を博し、乙酉の年(1645年)の妖魔の軍による城の陥落時には二十四橋で随一の「紅倌(こうかん)」にまで昇りつめた。

 

妖怪の群れが獅駝国で大虐殺を行っていた頃、瓊花の簪を差した将軍の夫人は二十四橋の一角にある避難所で、義父である「汪(王)将軍」の名において、虐殺の被害を受けないよう町中の難民たちを救って回った。

彼女に救われた者たちは皆、「王夫人」の名も忘れ、彼女の本当の名も知らぬ。しかし「瓊花夫人」という名だけは確かに知っている。

 

金翼鵬王

獅駝国の虐殺を命じた張本人であり、獅駝嶺三妖王の一人。読み難い性格に加えて予想のつかないその行動によって、優れた手柄を立てている。

一大王は暴虐で戦に長けた青獅子、二大王は狡猾で謀に長けた白象、仏道を修練している釈迦如来は三大王である彼の甥である。

(注:残りの4キャラクターについては立ち絵が完成していないため、現在は未公開です。一ヶ月以内の更新を予定しています)

(更新予定キャラクター:前作のキャラクターである良および穂、そして本作における重要なサブヒロインと、主人公の友人の王生)

 

ストーリー

零創遊戲(ZerocreationGame)の「好評を博した」『葬花』と『飢えた子羊』に続くテキストアドベンチャーゲーム第3作で、今回もプロデューサーの嵇零が全シナリオを手がけています。

本作は中国語原文32万文字にも及ぶ重複のないテキスト、複数のメインエンディングに加え、数十もの死亡エンドがあり、自由度が高いものとなっています。

プレイヤーは虐殺の中、必死に生き永らえようとする書生に扮し、逃げ隠れするための場所を決め、殺されないために路銀や財産を管理する必要があります――もちろん剣を手に取り妖魔の兵に一矢報いることも可能です。いずれの選択にせよ命に関わります、決める時は慎重に。

ゲーム後半では新たな選択を迫られることになります。後半の選択は生存だけでなくエンディングにも関わり、心を震わせるような複数のエンディングへと向かっていきます。

本作は『飢えた子羊』のダークな作風と緻密なストーリーを受け継ぐと同時に、ボリュームをさらにアップさせています。

特筆すべき点として、本作はメインストーリーから独立した「良穂」の章があり、飢えた子羊のエンディング後と、泣き叫ぶ雁のエンディング後の時間軸の物語が描かれています。

視覚デザイン

私たちは、視覚効果の面で国産コンソールゲームの最高水準を目指しています。

独自の明朝末期風の二次元スタイルのテーマを採用し、写実的な厚塗り風のスタイルにこだわっています。

中国明朝と清朝の衣装や建築、環境などの要素を徹底的に研究し、歴史的な雰囲気と美感の両立を図っています。

楽曲制作

音響効果の面でも国産二次元ゲームの最高水準を目指しています。

本作の音楽は作曲家林方舟が主に担当し、効果音も専用に設計・制作されます。制作人はすべてのディテールを管理します。

本作の音響チームやメンバーは現在選考中のため、近日改めて発表いたします。

 

スタッフ

制作チーム:零創遊戲(ZerocreationGame) 『飢えた子羊』制作チーム

プロデューサー/シナリオ:嵇零

キャラクター原画(主人公・サブキャラ):胡桃-o-夾子

背景原画:fronzenX

CG原画:帕兹定律、胡桃-o-夾子、火吉、九三、海神、亿条虫

キャラクター原画(NPC):梓茵茵

妖兵デザイン:亿条虫

ストーリーボード:叉子

プログラム:遥溯

演出:Kirmy

校正/配置/演出補助:九月、Kirmy

UI/ビジュアルデザイン:匣中猫

音楽:林方舟