Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!
『PHASE ZERO』は、謎の奇病によって住民たちがクリーチャーと化した港町からの決死の脱出劇を描く、90年代の名作ホラー作品にインスパイアされた3Dサバイバルホラーゲームだ。『SUPERHOT』『Dying Light』『Cyberpunk 2077』の開発に携わったクリエイターが集う、ポーランドのゲーム開発スタジオ"SPINA Studio"が手掛ける。
1994年冬、雪が降りしきる港町「フリント・ピーク(Flint Peak)」は、謎の奇病のまん延によって住民がクリーチャーと化し、崩壊の一途をたどっていた。本作では、町を訪れたばかりの女性記者メアリー(Mary)と、ケガを負って入院していたエンジニアの男性ガイ(Guy)という2人のキャラクターの視点での脱出劇が描かれていく。


2つの視点で繰り広げられる脱出劇
本作のゲームシステムは、クラシックな名作ホラー『サイレントヒル』や『バイオハザード』シリーズにインスパイアされたゲームデザインを特徴とするサバイバルホラー作品だ。極限状況で限られたリソースを管理しながら、脅威に立ち向かい、謎を解いて状況を切り抜け――やがて秘められた真相へと迫っていくというものだ。
グラフィックは『バイオハザード』シリーズ2~3作目付近を彷彿とさせるローポリゴンで制作されており、画面比率は4:3に制限。三人称視点の固定カメラアングルが採用されていて懐かしさを感じるが、ゲームパッドでの直感的なモダン操作(※)に対応しているなど、現代のプレイヤーでも違和感のないプレイフィールとなっているのはありがたい。
※当時の操作方法といえば、いわゆる「ラジコン操作」が主流で本作もそれに倣っているが、設定から現在の主流である「モダン操作」に変更可能。メニュー画面から、Settings > Gameplay > Analog Controls > Modern(OFFから変更)と設定すれば良いので参考にしてほしい。

先述のとおり、2人のキャラクターが主人公として登場する本作だが、チャプターごとに操作キャラクターが切り替わることで異なった視点で物語が展開していく。単純な視点の違いだけではなく、その特性を活かしたようなプレイスタイルの違いにも期待ができそうだ。
なお、今回はSteamにて開催中のイベント「ゾンビ VS 吸血鬼フェス」にあわせて2025年5月27日に公開された体験版をプレイしたが、主人公の1人である"ガイ"の物語序盤の一幕を体験することができた。


病院からの脱出を目指そう
ガイが目覚めるとそこは病院の一室のベッドの上。今まさに襲いかかってこようとしている、元・病院のスタッフらしきゾンビたちから今すぐに逃れなければならないという、突然の危機的状況からのスタートとなった。
プレイヤーが操作することになる彼の体のあちこちには包帯が巻かれ、素肌に寝間着とパンツだけという軽装すぎる状態。寝ていたベッドの上にあったドキュメントを読んでみると、どうやら勤め先で事故に遭って搬送されてきたようだが、意識を取り戻したらこんな状況に陥っていたというわけだ。

体験版の舞台となる病院は、海外の医療ドラマで見かけるような比較的大きめのビル。クリーチャーの行く手を阻もうとしたのかドアにはロックがかけられていたり、バリケードが廊下を塞いでいたりと、容易には脱出させてくれそうもない。
しかし、目の前でゾンビにやられてしまった特殊部隊と思しき人物からすぐにショットガンを入手することができたので、武器を持っているという安心感はあるというもの。とはいえ、院内にあふれるゾンビをすべて相手にしては弾薬はいくらあっても足りないため、無理に戦わずに逃げてしまうというのも立派な戦い方だ。

そんなわけで院内をさまよいながら、外に出るための脱出ルートを探っていくのだが、基本的には閉ざされた扉を開くためのキーカードやパスコード、あるいは部品を入手するという、その状況を解決するために不足している"ピース"を探し出すというサイクルで進んでいく。
残念ながら生存者の姿は見かけないが、ただ1人、全身を化学防護服で覆ったアレックスという男と固定設置された通信機器越しに会話することができ、パスコードのヒントをもらうというシーンもあった。

さすがに『バイオハザード』のような場にそぐわない謎めいた仕掛けが満載というわけではないものの、ドキュメントからヒントを掴んで謎を解くような仕掛けもあり、難しすぎず簡単すぎずといった絶妙なバランスという印象。
探索中に見かけるドキュメントから、今回の事件の一端が読み取れることもあったが核心には至らず、やがてついに病院の外へと出たところで体験版は終了。だが、病院の外もまた危機的状況に変わりはなく、今後は町からの脱出を目指していくこととなるのだろう。もう1人の主人公メアリーの動向も気になるところだ。

今回の体験版は物語が本格的に動き出す前のチュートリアルのようなもので、スムーズにいけば30分前後でクリア可能。作品が持つ雰囲気は十分に体験することができ、完成度の高さが伺い知れるものとなっているので、プレイして気に入ったならばぜひウィッシュリストに登録しておこう。現時点で日本語サポートの予定はないが、関心を示す姿勢は大切だ。
『PHASE ZERO』は、PC(Steam)でのリリースに向けて鋭意開発中だ。

ちなみに体験版をクリアすると、エクストラコンテンツとして「Only Legs」モードをプレイ可能。同じ内容をなんと"下半身だけの姿"で攻略しなければならず、当然ながら武器もアイテムも持てない高難易度仕様だ。
『バイオハザード2』には「The 豆腐 Survivor」という隠しモードがあったことを思い出すが、こうした遊び心もまた面白い。
基本情報 | PHASE ZERO |
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開発 | SPINA Studio |
販売 | SPINA Studio, SUPERHOT PRESENTS |
配信日 | 未定 |
言語 | 日本語無し |
定価 | 未定(Steam) |