2025年5月24日、東京・新宿にてノベル限定インディーゲーム展示会イベント「DREAMSCAPE#3」が開催された。本稿では、当日展示された61タイトルの中から、筆者が注目する魅力的なタイトル『GROWTH EXPERIMENT』をご紹介しよう。



2種類のパートで描かれる少女の成長
『GROWTH EXPERIMENT』は、主人公クロエの知能を成長させながら、彼女とプレイヤーの隠された関係を明らかにする育成シミュレーション&ビジュアルノベルゲームだ。開発はmonolithが手掛ける。
本作の主人公は、知能が退行し、記憶を失っている長い髪の女性クロエ。クロエは、プレイヤーである「彼」と二人きりで生活している。そんなクロエが記憶を取り戻していく様子が育成シミュレーションパートとビジュアルノベルパートで描かれる。今回は、本作の冒頭部分を試遊させていただいた。

物語の舞台は、異国の地にある古いアパートの一室。主人公クロエは会話もままならず、心ここにあらずといった様子。まるで幼児のように知能が退行しているようだ。セットされていない長い髪とラフな服装のクロエのはかない美しさが際立つ。
本作は、大きくわけて育成シミュレーションパートとビジュアルノベルパートの2つで構成されている。育成パートには、「Study」と「Holiday」のターンが交互に繰り返される。
「Study」ターンでは、積み木や歩行練習などを通じてクロエを育成していく。知能・言語・理性・信頼という4種類のパラメータが用意されており、選択した「Study」に応じてパラメータ値が増える仕組みだ。毎朝、プレイヤーはクロエの心音を聞いて、結果に応じて「Study」の量を調節しなければならない。体力が落ちている場合は、ゆっくり休ませるなど「Study」と休息のバランスの取り方がカギとなりそうだ。


「Holiday」ターンでは、話しかけたり、窓の外を見せたり、手を触ってスキンシップをしたりとクロエとの交流によって彼女の心の発達を促していく。クロエの反応を伺いながら、できる限りクロエの負担にならない選択肢を選ぶほうがよさそうだ。

クロエの育成が進むと、ビジュアルノベルパートに移行する。こちらのパートでは、クロエがどんな環境で育ち、どんな出会いを重ねてきたのかを垣間見ることができる。
筆者がプレイした第1章の冒頭では、クロエが9歳のときの話が描かれていた。その日は、予科士官学校の入学式。クロエはまだ当時9歳だが、飛び級制度を利用して学校に入学する。そこで偶然出会った2人の青年ネイサンとウィリアムに助けてもらいながら、入学式場に向かう。
このように育成パートとビジュアルノベルパートで、現在と過去のクロエが対比的に描かれていく構成となっている。


「愛するキャラが成長していく姿をゲームにしたくて」開発者インタビュー
本作を手がけたmonolithのmono氏にお話を伺った。本作は6人のメンバーで開発中で、本作が第1作目のゲーム開発となる。ゲーム関連のアートディレクターでもあるmono氏は、本作では企画立案・イラスト・シナリオを担当している。
本作の構想は、約6年前からあったもの。mono氏は、以前から本作の主人公クロエが年齢を追うごとに成長していく様子を描いてきた。「主人公視点」という構図に限定したコンセプトのイラストシリーズを制作するなかで、クロエが成長していく姿をゲームにしたいと思うようになり本作の開発を始めたとのこと。

mono氏は、キャラクターの成長が見られる育成ゲームが好きで、『ときめきメモリアル Girl's Side』やパワフルプロ野球シリーズなどをプレイしてきたとのこと。また、ゲーム以外だと、時系列がバラバラになっている『メメント』や『パルプ・フィクション』、他には『フォレスト・ガンプ』も好きなのだそう。育成パートでは主人公の現在の姿が描かれ、ビジュアルノベルパートではその主人公が現在の姿に至った経緯が描かれるという本作の構成は、上記の映像作品に影響を受けたことがうかがえるものとなっている。
筆者が今回試遊して特に印象的だったのは、冒頭のシネマ部分だ。シネマ部分の途中で「この物語はフィクションです」という但し書きとゲームタイトル『GROWTH EXPERIMENT』が挿入される演出は、映画やドラマでよく見られるもの。この部分の演出について伺ったところ、そこには時間をかけられたそうで、映像と曲の流れるタイミングについては特に試行錯誤されたそうだ。

また、本作には全7種類のエンディングが用意されており、驚くべきことにプレイヤーの選択に関わらず、待ち受けるのはすべてバッドエンディングとのこと。育成パートの4つのパラメータ(知能・言語・理性・信頼)に応じて、エンディングが分岐する。たとえば、「信頼」の値が低ければ、クロエはプレイヤーを信用しなくなる。信頼関係のない二人の行く末は……ぜひ製品版をプレイして確認していただきたい。
mono氏によれば、商業的なことを考えるとハッピーエンディングがあるほうがいいと思うが、いわゆる鬱ゲーが好きなため、自身の好みを優先したそうだ。まさに、インディーゲームならではのこだわりと言えるだろう。
本作では、プレイヤーである「彼」とクロエの関係がはっきりと描かれないまま物語が進行していくのだが、2人はどんな関係なのか、プレイヤーはクロエにとってどういう存在なのかを想像しながら、そして、クロエと仲良くなっても、行く先にはバッドエンディングであることを踏まえてプレイしてほしいとのこと。
本作『GROWTH EXPERIMENT』は、2025年冬頃の発売を目指して鋭意開発中。製品版は、全部で7章、1章につき10話が収録されている。プレイ時間は約30時間、価格は1600円程度になる予定だそうだ。インディーゲームとしてはボリュームが多めで、クロエの「成長の実験」が丁寧に描かれる。
鬱ゲーが好きな方、ストーリーリッチの育成パートシミュレーションゲームが好きな方、クロエのビジュアルに惹かれた方は、ぜひウィッシュリストに登録を。また、第1章がデモ版として無料で公開されているため、気になった方はぜひ製品版ページからダウンロードしてプレイしてみてほしい。
なお、こちらでぬいぐるみ、アクリルキーホルダー、缶バッジなどの本作の関連グッズが販売されているので、併せてチェックしてほしい。

基本情報 | GROWTH EXPERIMENT |
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開発 | monolith |
販売 | monolith |
配信日 | 2025年予定 |
言語 | 日本語有り |
定価 | 1800円(予定)(Steam) |