団地に夏祭りを復活させよう! 少女とカッパのひと夏の冒険ADV『Danchi Days』体験版 先行プレイレポ

朝比奈 / Asahina

2025/06/05

Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!


Danchi Days』は、主人公の少女がカッパと共に団地に夏祭りを復活させるために奮闘していく、平成レトロ感あふれる2Dアドベンチャーゲームだ。日本とカナダの国際的なゲーム開発スタジオ"gingham games"こと、sandy powder氏、mogumu氏、Melos Han-Tani氏が手掛ける。

昔からのインディーゲームファンにとっては、レトロなアートスタイルと独創的なサウンドトラックが高く評価された『Anodyne(アノダイン)』を手掛けた、Analgesic ProductionsのMelos Han-Tani氏が制作に携わっていることで注目しているという方もいらっしゃるのではないだろうか。

今回は、近日公開予定の体験版の最新ビルドを先行プレイする機会を頂いたので、本稿ではその内容について紹介しよう。

Steam:Danchi Days
団地の夏祭りを復活させるぞ!たくさんの参加者を集めたら、おばあちゃん元気になるかな?インターネットで情報収集して、ミニゲームで団地を探索。なんだか私の住む団地にはいろんなご近所さんやフシギがひそんでるみたいだよ…!夏休みの大冒険、団地でみいつけた。

夏祭り復活のためにチラシを配ろう

そこは、日本のどこかにある古びた団地。父と祖母の3人で暮らす少女"金岡ホシノ"が、彼女にだけ見えるカッパの"モロキュウ"と共に繰り広げるひと夏の大冒険が描かれていく。

本作のゲームシステムは、見下ろし型の2Dアドベンチャーでゲームボーイアドバンスを彷彿とさせるレトロテイストなビジュアル。ストーリーベースであり、夏祭り復活への協力を呼びかけるチラシを住人たちに配るため、団地内を巡って探索し、豊富に用意されたミニゲームを攻略していくという流れとなっている。

舞台となる「団地」とは、日本の昭和中期から後期にかけて住宅不足解消のために大規模開発された集合住宅を指す。かつては賑やかだったが、長い年月を経てマンション全体が老朽化し、住民の高齢化や子どもの減少が進んでいるという現状がある。夏祭りが途絶えてしまったのもそうした背景があるわけだ。

今回の体験版では、ゲーム本編の第一章にあたる内容をプレイすることができた。

筆者は昨年開催された「デジゲー博2024」にて初めてプレイアブル出展された際にも試遊しており、その際は基本のゲームシステムと世界観を披露する15分程度の内容だったが、今回はそれからアップデートが重ねられ、60~90分ほどの十分に堪能できるボリュームとなっている。

先述のとおり、本作では団地内を巡って住人たちにチラシを配っていくことになるのだが、出会ったそばから簡単に手渡せるわけではなく、彼らとの触れ合いを通じて認められたり、活動に関心を持ってもらえたりすることで夏祭りに参加してくれるようになる。

住人たちはみんな変な……だいぶ個性的で何かしらクセのある人物ばかりだが、隣人の誰もが顔見知りというような、ある種の濃密な人間関係の形成が垣間見えるのも団地ならではの光景だ。現代の価値観からすると、そうしたところも新鮮に映るのかもしれない。

そういうわけで、それに至るシチュエーションはさまざまながら、住人たちと触れ合う中で発生するのがミニゲーム。今作では人間が持つ「五感」をテーマとしたミニゲームに物語の端々で挑むことになり、例えば聴覚にまつわるお喋りだったり、触覚にまつわる水遊びの感触だったりを主人公が感じ取ることをきっかけに始まる。

ミニゲームは画面内に収まる広さのステージ内で、例えば主人公の動きを邪魔をしてくるオブジェクトを避けるように立ち回りながら、ポイントを稼いでいくことでクリアとなる――といった比較的シンプルなものだ。攻略にコツがいるものもあるが、ノーペナルティでリトライ可能なので何度も繰り返し挑めばクリアは可能だろう。

▲トイダさんは筆者にとって体験版屈指の強敵だった

以前の試遊版では招待できるのは4人までだったが、今回は13人と大幅に増加。ミニゲームのバリエーションの豊富さもさることながら、冒頭からストーリーの流れを追うことができるようになったことで、開発チームの「団地の良さを知ってほしい」という思いがより伝わってくるかのようだった。

なお、当初のコンセプトでは招待可能な人数は最大151人とされていたが、開発チームのsandy氏によれば現時点では一旦"未定"となり、製品版では100人を割り込むかもしれないとのこと。ただ、ミニゲームの作り込みと豊富さを考えると、それでもかなりの遊びごたえがあるはずだ。

ここまでにお伝えした内容やスクリーンショットからは、ほのぼのとした雰囲気が伝わってくると思うが、ポジティブな面ばかりではないところも本作の特徴。

認知症の進行によって思い出の中とは別人のようになってしまった祖母。時代の奔流とも言える団地環境の衰退。そして、いわゆる炎上を狙って団地を標的に書かれるネット上の記事の存在など、不穏な展開も待ち受けている。

ゲームとしてデフォルメされてはいるが、そうしたある種のドライな現実を開発チームが製品版に向けてどのように描き、主人公がどう向き合っていくのかも気になるところだ。

Danchi Days』は、PC(Steam)にて2026年のリリースに向けて鋭意開発中。

本稿の冒頭でもお伝えしたとおり、今回紹介した体験版は近日公開予定。具体的な日程についてはまだ未定とのことだが、体験版専用のSteamストアページが開設されているので、そちらをチェックしつつ公開まで待機しておこう。

Steam:Danchi Days Demo
団地の夏祭りを復活させるぞ!たくさんの参加者を集めたら、おばあちゃん元気になるかな?インターネットで情報収集して、ミニゲームで団地を探索。なんだか私の住む団地にはいろんなご近所さんやフシギがひそんでるみたいだよ…!夏休みの大冒険、団地でみいつけた。

▲体験版専用のSteamストアページはこちら


基本情報 Danchi Days
開発 gingham games, sandy powder, mogumu, Melos Han-Tani
販売 Analgesic Productions
配信日 2026年
言語 日本語有り
定価 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

Danchi Days

アドベンチャー

インディー

日本語対応

Danchi Days Demo

アドベンチャー

インディー

日本語対応

Anodyne (アノダイン)

インディー

アクション

アドベンチャー

日本語対応
¥1,200