2025年7月18日~20日に、京都市勧業館みやこめっせにて開催された「BitSummit the 13th Summer of Yokai」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


「ない」を「ある」にして世界を変える新感覚パズルゲーム
『黒くないカギで開かないドアはない』は、文章の表現を操作してゴールを目指すステージクリア型の2Dアクションパズルゲームだ。開発は、Studio ZeFが手掛ける。
「起きろ!」と声をかけられて目覚めた主人公は、女神から女王を救い出せと命令される。言葉の文末表現「ない」と「ある」を入れる力を女神から与えられた主人公は、その力を駆使しながらステージを進んでいき、女王を救うのが本作の目的だ。


プレイヤーは主人公を操作して、画面に表示された複数の文章に含まれる「ない」をクリックして回収し、別の文章に「ない」を追加することで文の意味を変えられる。文章が変わるとゲーム世界のルールも同時に変化し、カギやゴールが出現する仕組みだ。最終的にはカギを入手してゴールの扉に到達すればステージクリアとなる。


具体的に、上のスクリーンショットで見てみよう。画面中央に見える人型のキャラクターが主人公だ。この主人公は、左右に動いたりジャンプをしたりすることができる。この場合、左上に「物体は落下する」という文があるため、主人公は文字の上に立っていられる。
ここで画面右下の「ゴールはここにない」の「ない」部分をクリックしてみる。そうすると、文章が「ゴールはここにある」に変わり、画面上にゴールの扉が出現。「ない」を取り除いただけで、ゲーム世界に新しい要素が生まれるのだ。
このシステムには大きく3つの考えるべき点がある。1つ目は、位置の制約だ。主人公と「ない」の間に他の文字などの遮蔽物がある場合、その「ない」は回収できない。つまり、上のスクリーンショットの場合、「ゴールはここにない」の真下まで行く必要がある。
2つ目は、「ない」の所持数。主人公が持てる「ない」の数には上限がある。そのため、手当たり次第「ない」を回収してしまうと、ステージが詰んでしまう恐れがある。
最後は、文字数の変化だ。ステージによっては、「ない」だけではなく「いない」を取って、「ある」と変えるような場合もある。すると、文字数が1つ減るため、主人公が歩ける範囲も変化する。


一般的なパズルゲームがブロックやスイッチを操作するのに対し、本作で操作するのは言葉そのものだ。しかも、単なる文字の組み替えではなく、日本語の否定表現「ない」を活用している点が非常にユニークであると感じた。
また、「言葉を操る」と聞くと難しそうに感じるかもしれないが、基本操作はキャラクターを動かして、「ない」をクリックするだけ。日本語が読めれば、誰でも直感的にプレイできる。さらに、チュートリアルも丁寧で、最初のステージでは「ゴールはここにない」→「ゴールはここにある」といった分かりやすい例から始まる。パズルゲームが苦手な人でも、一つひとつ試しながら進められそうだ。

数学を学ぶ大学生が表現する言葉という普遍的なテーマ
本作を手掛けたStudio ZeFのZeF氏にお話を伺った。ZeF氏は、大学の理学部で数学を学んでいる大学生で、これまでフリーゲーム投稿サイトunityroomに自作のゲームを投稿してきた。Steam版のゲームは、本作が1作目となる。
本作は、2024年12月に開催されたUnity 1週間ゲームジャム(Unityを使って1週間でゲームを作るイベント)のお題「ない」の回を通じて開発されたもので、現在unityroomで公開されているバージョンをボリュームアップして、計70ステージほど収録されたバージョンがSteam版として発売される。
今後は、小説の世界や日常における言葉の使い方にテーマを拡張していく予定とのこと。マルチエンディング仕様でもある本作では、単なるパズルゲームの域を超えた言語体験が期待できそうだ。
『黒くないカギで開かないドアはない』は、2026年にSteam版が、2025年8月頃にその体験版が公開される予定とのこと。パズルゲーム好きはもちろん、言語や表現に興味がある方にもぜひ体験してほしい。気になった方は、今すぐウィッシュリストに登録しよう。
基本情報 | 黒くないカギで開かないドアはない |
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開発 | Studio ZeF |
販売 | Studio ZeF |
配信日 | 2026年 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |