2025年7月18日~20日に、京都市勧業館みやこめっせにて開催された「BitSummit the 13th Summer of Yokai」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


異形がはびこる異界からの脱出を目指そう
『■■ノニラヤ』は、異界に囚われてしまった少女が、我が家へと戻るために脱出手段を求めて彷徨う三人称視点のホラーアドベンチャーゲームだ。日本・大阪のゲーム開発スタジオ"株式会社ヘキサドライブ"が手掛ける。
舞台は2000年の夏の暮れ。母親に連れられた主人公の少女・優丹(ゆに)が、ある寺で儀式を受けているところから物語は始まる。嫌がる素振りを母親になだめられつつ身を任せた優丹だったが、読経が響く中で謎の薬を飲まされて意識を失い、やがて目覚めると怪異がはびこる異界へと囚われてしまっていたのだった。


本作のゲームシステムは、三人称視点のアドベンチャー。ゲームとしては最終的にこの異界からの脱出を目指すことになるようだが、当面の目標としてまずは閉ざされた最初の部屋から抜け出す手段を探す必要がある。
そこはおそらく寺院の一角なのだろう。焼香台や木魚が置かれた薄暗い畳敷きの部屋で、中でも奇妙なのは、主人公が目覚めたときに寝かされていた横倒しの冷蔵庫。この冷蔵庫は他のシーンにも登場することになるが、何かを象徴しているようでもあり、この時点ではその意図は検討もつかない。

部屋の周囲は「軟障(ぜじょう)」と呼ばれるカーテンのような垂れ布の仕切りで覆われていて、簡単にくぐれそうなのにどうしても向こう側に行くことができない。何もできず座敷内をうろついていると、突如として頭上から奇っ怪な腕に顔を捕まれ、片目を潰されて首をへし折られてしまった。
正直これが体験版で最大にインパクトのあるシーンで、いたいけない主人公が容赦なくやられてしまうこの演出が、本作の方向性を感じさせるかのようだ。ちなみにフルボイスなので(良い意味で)だいぶひどい。
あえなくバッドエンドかと思いきや、気がつくとそこはまた元の部屋の中。主人公は夢だったのかと呟くが、何やらループでもしているようにも思える。

やはり部屋は閉ざされたままなので再び歩き回ることになるが、各所にはインタラクトできるオブジェクトがあり、周囲に気を配ってよく観察すればすぐに見つけ出せるだろう。
インタラクトすることで起きる変化、見つかるアイテムといったものを見逃すことなく段階を踏んでいくとようやく部屋から抜け出すことができたが――今度はより異界らしい異界へと様相が変わり、異形の怪物が徘徊する、暗くおどろおどろしい雰囲気の隧道(地下トンネル)を進んでいかなければならない。

主人公に対抗手段はなく、怪物に見つかって攻撃を受けると簡単にやられてしまうので逃げるほかに手がない。ただ、怪物の攻撃方向・範囲にはあらかじめ「赤い煙」状の予兆が見えるシステムが実装されているので、しっかり見極めて避けることができれば何とかやり過ごせる。
各所の通路の先は扉によって閉ざされていたり、それを開くための鍵を探さなければいけないようだったりと、こうした怪物がうろつく中で探索しなければならないのだとすれば、緊張感を持って挑むことになりそうだ。
ホラー作品の中にはストーリーが曖昧な作品もあるが、本作ではそこかしこに読み物の類が落ちており、古くからの民間伝承やカルト的な要素が絡んでくるなど物語の背景にはおぞましい何かがあるようで、雰囲気的にも和風ホラー作品としてのポテンシャルに期待が高まるというものだ。

社内プロジェクトとして実質1人で制作中
今回ブースでは株式会社ヘキサドライブの広報担当の方から、その開発の経緯やセールスポイントといったお話を伺うことができた。
本作は、同社が開発を手掛けた『SILENT HILL: The Short Message(サイレントヒル: ザ ショートメッセージ)』にも携わっていたプログラマーの山口氏の希望によりスタートした社内プロジェクトとのことで、彼1人でモデリング、シナリオ作成、プログラミングまでを担当しており、多少の社内発注することもあるが事実上の個人制作なのだそうだ。

2004年にPlayStation 2でリリースされたフロム・ソフトウェアの和風ホラー『九怨 -kuon-』からインスピレーションを受けており、ゲームのコンセプトとしても安易にジャンプスケアに頼るようなことはせず、日本のホラー特有の恐ろしさや気持ち悪さを肌で感じてもらえるような雰囲気を目指しているとのこと。
シンプルに攻略を優先するよりも、ぜひアイテムや読み物をちゃんと集めて読んでもらって、そうすることで物語の裏側や世界の謎が解き明かされていくという奥深い要素も魅力として楽しんでほしい。そんな、プレイヤーに向けたセールスポイントも伺えた。ちなみに、タイトルで伏せ字となっている部分もわかるようになっているので、これこそ気になるところだろう。

『■■ノニラヤ』は、PC(Steam)にて2025年のリリースに向けて鋭意開発中。将来的にはコンソールにも裾野を広げたいそうだが、まずはSteamからとなる。
なお、現在Steamでは体験版が配信中。今回のBitSummitでブース出展されたものと内容は変わらないようなので、今回現地イベントに足を運べなかった方はぜひこちらをプレイしてみてはいかがだろうか。

▲製品版とは別に体験版のストアページが公開中
基本情報 | ■■ノニラヤ |
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開発 | 株式会社ヘキサドライブ |
販売 | 株式会社ヘキサドライブ |
配信日 | 2025年 |
言語 | 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |