この手で“万里の長城”を築き上げる――リラックスしてコツコツ取り組める本格建築&村づくりのアドベンチャーシミュレーション『Chinese Frontiers』プレイレポ

しわしわ

2025/07/11

2025/07/12

世界遺産に登録されている「万里の長城」を知らない人はいないだろう。今回紹介する『Chinese Frontiers』は、それをプレイヤー自身の手で築き上げていく建築特化のシミュレーションゲームだ。2025年6月19日よりPC(Steam)にて正式リリースされており、開発はポーランドのゲームスタジオSOLIDGAMES、パブリッシングはBig Cheese Studioが担当している。

公式サイトによると、開発メンバーの多くは建築学部やスケッチ教室で出会ったとのことで、現実的な知識に基づく丁寧な建築体験や、古代中国の美しい景色・建造物などを堪能できる本作。リリース当時は不具合が多く“賛否両論”となっていたが、以降の精力的なユーザーとのコミュニケーションとアップデートにより、“やや好評”へとステータスを上げた。

建築要素を愛するゲーマーには、「万里の長城を建築する」という途方もなく大きなスケールに心惹かれる方もいるだろう。本稿ではそんな諸氏に向け、本作の大きな魅力である「建築」と「村づくり」要素をメインに紹介していこうと思う。

Steam:Chinese Frontiers
万里の長城を築き、この没入型の建築および管理シミュレーターで村を栄光に導きましょう!中世の中国を探検し、村を発展させ、NPCを管理し、壮大な建造物を建設してください。あなたの選択が帝国の運命を形作り、歴史に足跡を残します!

村を発展させながら楽しく建築

旅人であった主人公は、荷車が泥にはまって困っていた老人・ジュンを助けたことがきっかけで、万里の長城の建設に携わる職人の道を生きることになる。ジュンから資材の調達や加工、基礎的な木工技術についてを教わったあとは、職人として働くために必要な工房を建築し、そして、働き手を呼ぶための村づくりをおこなう――ここまでが本作のチュートリアルパートだ。
といっても、チュートリアルと聞いて多くの方が想像するような操作説明の部分は、「資材の調達や加工、基礎的な木工技術を教わる」ところまで。以降は、万里の長城建設のために必要な下準備にあたる作業だ。

まずは広大なマップ上から好きな場所を選び、木工作業のための工房を建築する。そして、住居を建てれば村人が暮らしはじめ、さらに資材や食糧を保管しておく「倉」を建て終えると、村人たちは主人公の指示に従って仕事をこなしてくれるようになるのだ。

▲雄大な自然のなかに、故郷となる村を作り出すことから始まる

村人に任せられる仕事内容は、木材や石、粘土といった資源の調達から、梁やレンガなど建築資材への加工食糧の確保と多岐にわたる。村人が少ない序盤のうちは、村の近辺では調達しにくい資源の採集を頼むとよいかもしれない。食糧と併せて斧・つるはしなどの採集ツールを倉に入れておけば、建築に没頭しているあいだも着々と資源が溜まっていき、作業が停滞する時間はぐっと短くなる。

このように、建築要素と村づくりの見事な連動ができあがっているのが本作の特徴だ。村人に働いてもらうため食糧にも気を配るようになり、自然と畑や田んぼといった要素にも手が伸びる。それらが簡易なもので、手軽に量産体制を整えられることも、本筋である建築に集中させてくれる見事なバランスだ。

コツコツと静かに向き合う、癒やしの建築

では、肝心の建築はどのように面白いのか。大まかな手順は建築と聞いて想像する内容と大差はないが、『Chinese Frontiers』ではそれらが非常に細分化されている。
石で囲った土台部分の中央に砂を詰めてから床板を張ったり、柱と梁を固定するためのくさびを打ったり、壁を一枚ずつ粘土とこてで補強したり…一般的なサバイバルクラフトでは省略・簡略化しているような工程も多く取り入れた、本格的かつこまごまとした作業内容だ。

▲骨組みの上に板を張る。その後に亜麻を敷き詰めて、やっと屋根が完成

こういった「小さな目標」ともいえる作業を繰り返し達成していく流れが非常に心地よく、つい時間を忘れて没頭してしまうほど。どこか『PowerWash Simulator』のヒーリング効果を彷彿とさせた。

反面、作業量や必要資材数は大きく膨れ上がりやすいものの、ユーザーの負担を程よく緩和するための工夫も随所に見受けられる。
例えば、本作には「荷車」という移動式のストレージが存在するのだが、これは大量のアイテムを積み込めるうえ、保管したアイテムをそのままに平地ならどこでも作成できるという優れもの。荷車と倉がそれぞれファストトラベルポイントになるので、遠出してかき集めた資源を荷車に詰め込み、村に戻ってから呼び戻すといったことが可能なのだ。

▲建築メニューからいつでも駆けつけてくれる牛たち

どの建築現場でも隣に設置しておくことができるため、ストレージ内容物の移行・現場との頻繁な往復といった煩わしさを解消してくれるものでもある。建築物は、完成までに使用する資材の種類・量を着手前から確認できるようになっているので、あらかじめそれらを荷車に積んで用意しておき、あとは建築作業に没頭するだけ…といったこともできるのだ。

広大な美しい自然のなかでこまごまと作業を積み重ね、ついに見上げるほど大きな建築物を完成させる――そんな没入感達成感、それから爽快感を繰り返し味わえるのが、この『Chinese Frontiers』の醍醐味と筆者は考えている。これらの下準備を終えてついに万里の長城建設に携わり、その手でひとつのランドマークを築き上げたとき、得も言われぬ感慨があなたを包むだろう。

今後の改善にも期待

リリース当初、“賛否両論”だったことは筆者も納得できるところだ。詳しくはSteamページを確認してほしいが、発売から約1週間後のアップデートにてシステムが大きく改善されたことで、このようにぐっと遊びやすいゲームに進化した経緯があるからだ。

7月11日現在も細かな不具合や、特定のサブクエストに進行不可となるバグが残っていたりする。また、建築中にアニメーションの終了を待たなければ次の動作をおこなえない・ロードが長いといったテンポの悪さや、伐採して地面に落ちた木・竹の収集が面倒なことなどは筆者も切に感じた。まだまだ粗のある作品であることは否めない。

しかし、開発チームは公式DiscordサーバーやSteamレビューにて、精力的かつ継続的なユーザーとのコミュニケーションを取っている。フィードバックを真摯に受け止め改善に努め続ける姿勢は、そういった振る舞いからだけでなく、実際のアップデート内容からも窺い知ることができた。クエスト進行やオーディオ関連についても、すでに修正パッチのリリース予告が出されている。

今後の改善を十二分に期待できるうえ、現段階でゲームプレイに大きな支障は出ていないことから、筆者個人として、この禅のような癒やし効果を持つ『Chinese Frontiers』を応援したい。

▲まだまだ建設途中の「万里の長城」

建築要素を好むゲーマーにおすすめなのはもちろん、提示される目標をひとつずつ達成していくゲーム運びとなっているので、目的や順路のないサンドボックスなどは苦手…という方にもおすすめだ。ぜひその手で万里の長城建設に携わり、地道に積み重ねた努力が実を結ぶカタルシスを味わってみてほしい。

『Chinese Frontiers』は2025年6月19日よりPC(Steam)にて発売中。言語は英語をはじめ、日本語・中国語(簡体字)・ポーランド語など9言語に対応している。なお、ボイス音声については英語および中国語のみの対応となっているので注意してほしい。


基本情報 Chinese Frontiers
開発 SolidGames
販売 Big Cheese Studio
配信日 2025年6月19日
言語 日本語有り
定価 2,800円(Steam

この記事で紹介されているゲーム

PowerWash Simulator

インディー

カジュアル

シミュレーション

日本語対応
¥2,970

Chinese Frontiers

RPG

アドベンチャー

アクション

シミュレーション

日本語対応