舞台は未来のディストピア。応募者の人生を左右する緊迫の面接シミュレーション『ご応募ありがとうございます』ブースレポート【BitSummit the 13th】

朝比奈 / Asahina

2025/08/17

2025年7月18日~20日に、京都・京都市勧業館みやこめっせにて開催された「BitSummit the 13th Summer of Yokai」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

BitSummit the 13th
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採用か不採用か――その判断が誰かの運命を変える

ご応募ありがとうございます』は、未来のディストピア世界を舞台に大企業の採用面接官として応募者をふるいにかけていく面接シミュレーションゲームだ。香港を拠点とするゲーム開発スタジオ"IceLemonTea Studio"が手掛ける。

舞台は2066年の空島市。そこでは誰しもが職に就くことを求められ、叶わなければ市民権の無い者は街から追放されてしまう。主人公のC89は新卒で空島グループの面接官に仮採用され、職を求めて面接に訪れる応募者たちを選別していくことになる。だが、それは自身の生き残りをかけた戦いでもあるのだ。

Steam:ご応募ありがとうございます
「ご応募ありがとうございます」は、面接シミュレーションです。15回の面接評価の結果、あなたが望んだポジションに選ばれませんでした。その代わり、あなたは採用担当者として入社し、企業には採用条件に基づいて新卒の履歴書を選別し、異なる不採用理由で応募者への対応メールを送信します

本作のゲームシステムは、あらかじめ会社から指定された「採用要件」に従って、応募者が提出した履歴書や書類の情報から我が社が求める人材かを判断し、採用するかどうかを決定していくというもの。

そのゲームデザインから、Lucas Pope氏が手掛けた国境検問所の入国管理シミュレーション『Papers, Please』のフォロワータイトルという印象で、そこに独自のシステムやビジュアル、ストーリーなどのアレンジが加えられている。ご存知であれば、同作の雰囲気を思い浮かべるとわかりやすいだろう。

基本的にはスクリーン上でストーリーが展開していき、日々変化する採用要件と応募者がマッチしているかを見比べて判断していく。例えば、履歴書から「指定の出身校」や「特定業種でのインターン期間」を満たしているかを読み取ったり、卒業証書などの書類が揃っているかが問われたりする。

要件を満たしていれば合格フォルダに履歴書をマウスでドラッグすれば良いが、不合格であれば何がダメだったのかを正確に指摘するラベルを履歴書に貼り付けてから、不合格フォルダに振り分けなければならない。

その上、こんな社会情勢なので応募者も必死で、書類の偽造も日常茶飯事。手元の正しい情報と提出物との整合性を見極めて、手の込んだ細工を見破る必要も出てくる。

勤務時間は、始業から退勤時間までの9:00~18:00。実時間だと2分半ほどしかないためスピーディな判断が求められるが、焦りは禁物。判断を謝ると罰金が発生し、日払いの給与からどんどん差し引かれてしまう。

稼いだお金は自宅アパートの家賃や、税金に相当するようなさまざまな支払いに使われることになるので、先立つものがなければ生活が成り立たない状況となっている。

体験版ではそんな本作の一端をプレイすることができたが、実は主人公自身もまだ試用期間中で、最初の7日間で結果を出す必要がある。如何に判断を誤らずに多くの人材を獲得するかで、彼自身もまた評価される。

このディストピアにあっては自分本位でなければならないのかもしれないが、さまざまな事情を抱えた応募者の声を直接目にしていく中で、精神的に追い詰められていくこともあるだろう。そんな駆け引きも描かれる本作がどんな展開を見せてくれるのか、興味が尽きない。

開発チームが語る、現実を映すリアルな世界観

今回、BitSummitの出展ブースでは開発チームのデザイナー兼プロデューサーのキャリー氏にインタビューの機会を得られた。

IceLemonTea Studioは現在6名で構成。フルタイムメンバーはキャリー氏ともう1名のプログラマーの計2名。残りの4名は本業の傍らで参加しており、アーティストが2名、ローカライズ担当が1名在籍している。メンバーの半数は大学時代の同級生で、知人に声をかける形で現在の体制になったという。

本作のアピールポイントは、大企業の面接官として応募者の運命を左右する決断を下すという重厚なプレイ体験。仕事を得られなければ街から追放されるという厳しい世界観が、決断の重みを一層際立たせている。

また、職場での権力とプレッシャーに対し、業務後は請求書の支払いなど私生活も管理しながら、自分自身も周囲に管理される立場にあるという対比を描いた様にも注目してほしいとのこと。

こうした描写のみなもとは、開発チームのメンバー、特にキャリー氏自身の実体験からきている。過去にキャリー氏は、香港や中国本土の大企業で何度も採用面接に挑んだ経験があり、時には同じ企業で10回以上の面接を受けたこともあるそうだ。

また、イギリスの大学を卒業したメンバーが、外国人として仕事を見つける難しさや追加の税負担、高い採用基準に直面した経験も反映されている。そんなチーム全体の経験を通じて、特に中国の就職事情の現実をリアルに描く意図があるとのことだった。

チームの実体験がゲームのリアリティに反映され、本作ならではの重厚な世界観が多くのプレイヤーに届くことを期待したい。

ご応募ありがとうございます』は、PC(Steam)にて2026年第1四半期のリリースに向けて鋭意開発中。他のプラットフォーム展開については未定だが、将来的に検討するかもしれないとのこと。

なお、現在Steamでは体験版が配信されているので、プレイしてみて魅力を感じたならば、ウィッシュリストに登録してリリースを待ってみてはいかがだろうか。


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基本情報 ご応募ありがとうございます
開発 IceLemonTea Studio
販売 IceLemonTea Studio
配信日 2026年第1四半期
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

ご応募ありがとうございます

RPG

シミュレーション

インディー

日本語対応

Papers, Please

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥1,200