2025年8月3日に、横浜・大さん橋ホールにて開催された「Pixel Art Park 8」で試遊できたタイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


贈り物を手作りしていくパズルゲーム
『バースデー』は、枯れ葉を使って石を裏返し、指定された回数で全ての石の色を揃えるライツアウト系のパズルゲーム。本作は音楽家として活躍する黒魔氏がほぼ1人で開発を手掛けている。
今回遊ぶことができたデモ版では、全5問のパズルを遊ぶことができたので、本作の内容についてご紹介しよう。
本作は、とあるオオカミが大切な友人のために、誕生日の贈り物を手作りしていく物語が描かれる。プレイヤーは、オオカミの贈り物作りを手伝う形で、石と枯れ葉を使ったパズルを解いていき、贈り物を完成させる。

このパズルは、石を1つ選んで枯れ葉でひっくり返していき、全ての石の色を揃えることが目標だ。正方形のマス目上に並んだパネルの色を、法則に従って全て同じ色に揃えるという、いわゆる「ライツアウト」と呼ばれる伝統的なパズルをベースにした内容となっている。
デモ版では、選んだ石と隣接する石が一緒に反転する枯れ葉と、場の石全てを反転させる枯れ葉の2種類が確認できた。また、枯れ葉は枚数分しっかり使い切る必要があり、解くまでの手数が指定された形となっている。元々がシンプルなルールなので、かなり遊びやすい手触りとなっていた。

特徴的な点は、やはりその優しい世界観だろう。ストーリーそのものも、大切な友人への贈り物作りと愛にあふれたもので、BGMや温かみのあるドット絵がそれを彩る。特に、BGMは普段から数多くの楽曲を手掛ける黒魔氏の本領発揮ともいうべきもので、聴いているだけでも心が安らいでいくようなものばかりだった。
ブース内では、デモ版で使用された3曲を収録したサントラも販売されていたが、この楽曲群も聞けば聞くほどに心が澄んでいく。大切な人同士のこそばゆい愛情といった繊細な気持ちが、楽曲にも表現されている印象で、涙もろい筆者は本楽曲を聴きながら少し涙腺が緩んでしまった。
デモ版は5分から10分程度の短いプレイとなったが、製品版の発売が今から待ち遠しい内容となっていた。

大切な友人への贈り物になる作品に
本作を手掛けた黒魔氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。
普段は数多くのゲーム作品などにも楽曲を提供している黒魔氏だが、今回はゲーム開発という分野への挑戦。『バースデー』を開発するきっかけとなったのは、ひと夏のハイキングをのんびりと楽しむアクションアドベンチャーゲーム『A Short Hike』をギフトとして贈ってもらったことだったそうだ。
人々との優しい交流や、癒されるような世界観が特徴の『A Short Hike』のような心に残る作品を作りたいと志し、本作の開発が進められている。「大切な友人へ贈り物を手作りする」という本作の優しい雰囲気にも、このような背景が表れていると感じた。
開発は黒魔氏がプログラミングからBGM、グラフィックまでほぼ一人で手がけており、ドット絵部分のバランス調整といった微修正のみご友人が行っている。以前、同氏がリリースしたアルバム『愛を喜ぶ街』に同梱する形で、自作ゲーム『夢を叶える機械』を制作しており、その際の経験を活用しているとのことだ。
また、本作は温かみのある作品を目指しているとのことで、その点は試遊版でのかわいらしいドット絵の雰囲気や、BGMでも存分に表現されていた。現代の忙殺されてしまうような環境にこそ、本作のような少し手を止めて癒されるような作品がピッタリなのではないか……とも感じた。
『バースデー』は今冬の完成を目指して鋭意開発中。最終的には30分程度でクリアできる短編になる予定とのことだったが、どのような贈り物となるのか今後に期待が広がる。

基本情報 | バースデー |
---|---|
開発 | 黒魔 |
販売 | 未定 |
配信日 | 今冬 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |