2025年8月3日に、横浜・大さん橋ホールにて開催された「Pixel Art Park8」で試遊できたタイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


ダンジョンを探しつつワールドマップを広げていく
『Dungeon Sweeper』は、ダンジョンの位置を特定しながらワールドマップを広げていく、マインスイーパーに着想を得たクリッカーパズルゲーム。itch.ioにて公開されている同作に、新要素や操作感の改善などを行いパワーアップしたものが製品版としてPC(Steam)にてリリース予定だ。
本作はピクセルアーティストのせたも氏が個人で開発を行っており、同氏の得意とするドット絵で描かれたタイルマップがどんどん広がる作品となっている。
今回は製品版デモを試遊できたので、本作の内容についてご紹介しよう。

ゲームは1枚のタイルマップが置かれた場所からスタートし、その隣接箇所をクリックすることでマップをひたすらに広げていくことが目的となる。
途中、墓場のタイルマップが表示されることもあるが、これは近くに「ダンジョン」がある証拠。ダンジョンを踏んでしまうとゲームオーバーになってしまうので、墓場が出すヒントを参考にダンジョンの場所を特定し、間違ってクリックしないようフラグを立てていこう。

マップを広げていくとスコアが加算されていく。そして、ダンジョンを特定したときや、新たなマップを開いたとき稀に出てくるランドマーク(マーカー)を見つけたときには、通常よりも多くスコアが加算される。加えて、スコアが一定数まで増えていくと、マップ上に新たなバイオームが出現するようになる。
なので、「新天地を目指すため早くスコアを稼ぎたい!」と思い、積極的にダンジョンを特定したくなるつくりとなっているのが、本作のプレイが止まらなくなる魅力の一つだろう。
RPGのような遊びごたえにパワーアップ
ここまでご紹介してきたゲームの基本的な部分は、現在公開されているプロト版と大きく変わらないが、製品版デモではさまざまな点で進化を遂げていた。
まず、全体的なグラフィックと演出が大幅にパワーアップしており、視覚的にも爽快感が大きく増している。ダンジョンを特定した際の小気味いい効果音と、勢いよくダンジョンが飛び出してくる様子が重なり、ダンジョン特定時のやってやったぞ感は凄まじい。

ダンジョン特定時も、スコアが通常より多くもらえるだけでなく、新たにお宝や素材がドロップするようになっている。入手したものは、レシピから素材として使用して、探索をより快適にする新たなアイテムをクラフトするのに使ったり、ショップで換金して新たなフラグスキンを解放するのに使えたりする。
従来は、ダンジョン付近の墓場を迂回して、ひたすらマップを開け続けるというプレイもできなくはなかった。製品版では、ダンジョン解放にそのような報酬が付くとなれば、これを無視することはできないだろう。
このほか、マップ内でランダムに「!」の吹き出しが表示されて依頼が発生することもあり、特定素材の納品や、ダンジョンの特定といった一定条件を満たすことでさらなる報酬を手に入れることができる。

マップを探索して、依頼をこなし、ダンジョンを特定して、報酬で装備を強化していく……というサイクルは、クリッカーパズルでありながら王道的なファンタジーRPGをも思わせる。マップを広げていく以外の要素も追加され、遊びの幅がさらに広がった印象だ。
本編以外の遊びも追加されており、正式リリースされる製品版では、自由にマップを作ることができる「クリエイティブモード」も実装予定となっている。こちらで作ったマップは書き出して、公開することも可能なようだ。

また、UI面の改善にも力が入れられている。広範囲のタイルを一度のクリックでまとめて解放する「ブーストモード」の実装をはじめ、ライフ制を採用し一定数までミスが許容されたり、墓場が示すダンジョン数も強調表示されわかりやすくなっていたりなど、かゆい所に手が届く改善がなされている。
試遊版でもライフの続く限りプレイはできるようだったが、ブースの邪魔になりかねないくらいの時間遊べてしまう内容となっていたため、一定のところで筆者は切り上げた。短いプレイながらも、製品版の発売が今から待ち遠しい内容となっていた。
ゲームの楽しさも兼ね備えて評価されたいという反骨精神
本作を手掛けたせたも氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。
元々ピクセルアートとはご本人がスランプの最中に出会ったようで、現在せたも氏とチームを組んでいるUltimatePixelCrewのモトクロス斉藤氏と、APO+氏との出会いから影響され、本格的に始められたとのこと。
本作は自動生成アルゴリズムのテストから始まったようで、自作のタイルマップが勝手に広がる様子を見て、ゲームに落とし込めそうという発見を得たそうだ。そこから、ワールドマップを使った遊びを考え、RPG的要素とマインスイーパーの要素を掛け合わせ、本作が誕生したという。
伺った内容は製品版デモを遊んでいても感じられた。マップを広げるだけでなく、依頼をこなしたり、装備を強化したりといったかたちで、RPG要素がより強まっていたのも、本作が誕生したきっかけの部分をさらに突き詰めた形だろう。
また、同じくせたも氏が開発を手掛け、現在itch.ioにて公開されているデッキ構築型ローグライト数合わせパズル『MATCH MINT』についてもお話を伺うことができた。

こちらは、元々アイテムとレシピを重ね合わせる料理ゲームを構想して制作されていたそうで、現在とは大きく離れた形だったようだ。開発に難航していたときに、数字合わせをシステムに掛け合わせたところ、ゲームに大きく幅が出て現在の形になった、という経緯を話してくださった。

『MATCH MINT』のほうは、ゲーム公開時にグラフィックだけで評価されたくない、ゲームの楽しさも兼ね備えて評価されたいという、意外にも反骨精神が強かったとのこと。この点は、『Dungeon Sweeper』製品版のほうで、遊びの幅が圧倒的に増えていることとも無関係ではなさそうだ。
『Dungeon Sweeper』は、PC(Steam)でのリリースを目指して現在鋭意開発中。プロトタイプとなるitch.io版は現在も遊ぶことができるので、こちらでマップを広げていく感触を確かめてみてはいかがだろうか。

基本情報 | Dungeon Sweeper |
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開発 | せたも |
販売 | 未定 |
配信日 | 未定 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |