海に沈んだ世界で水上配達員として大切なものを届けるアクションRPG『FLOAT NOTE』と、悪夢を彷徨う脱出ホラーゲーム『NightmareJourney1135』ブースレポート【Pixel Art Park 8】

レイリー

2025/08/13

2025/08/26

2025年8月3日に、横浜・大さん橋ホールにて開催された「Pixel Art Park 8」で試遊できたタイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

今回お邪魔さていただいたゲーム制作サークル「ぱうビーム」のブースでは、『FLOAT NOTE』と『NightmareJourney1135』の試遊が行えたので、まずは『FLOAT NOTE』からご紹介しよう。

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ポップな戦闘が魅力のアクションRPG『FLOAT NOTE』

FLOAT NOTE』は、海に沈んだ世界で水上配達員として大切なものを届けるアクションRPG。本作は「ぱうビーム」のuynet氏とyaigi氏の2人が開発を手掛けている。

プレイヤーは主人公となる水上配達員のメルを操作して、ときにはボートで移動しながら、依頼人のもとへ荷物を届けていく。道中は「デスえび」などの個性的な敵に道をふさがれることもあるが、そうなったときはアクション要素もあるターン制の戦闘で敵を倒していこう。

今回のデモ版では、主人公のメルが、仲間のポアレに連れられて、初めての配達へ行くところまでを遊ぶことができたので、本作の特徴などもあわせてご紹介しよう。

本作はシンプルな見下ろし型のRPGとなっており、メルを操作してマップを自由に歩き回ることができる。目的の配達へ一直線に向かっても良いのだが、マップ各所に配置された小物を調べると、ちょっとした会話が用意されている。何気ない会話一つからキャラクターたちの性格がうかがえるようで、つい寄り道したくなる。

▲空と海のビビッドな水色が映える外の光景は、筆者のお気に入りシーン

デモ版では、無口な主人公の「メル」、元気印で感情表現が忙しい「ポアレ」、ダウナーながら導くときは導いてくれそうな「ワサビ」の3人が主要キャラとして登場したが、それぞれの表情の移り変わりはドット絵で精緻に表現されており、短いプレイの間でもしっかり愛着がわいた。

特徴的なのは戦闘システム。基本はベーシックなターン制コマンドバトルRPGなのだが、単に「たたかう」を選ぶのではなく、ときに「くすり」を直接敵へ投げたり、ときに「殴る」のコマンドを選んで戦ったりとどこかユニークだ。

▲最初の戦闘も、"なかなか起きない仲間をたたき起こす"ためとなかなかにコミカル

敵のターンになると、今度はメルを左右に動かして、四方からやってくる敵の攻撃を避けるアクションパートが始まる。仕様として、敵の種類によって攻撃方法は変わり、敵が多いほど同時にやってくる攻撃も増えるようだった。避けにくいタイプの攻撃を仕掛けてくる敵を先に倒したい、といったような戦略性も生まれており、シンプルながら印象的なシステムとなっている。

この少し変わったコマンドバトルは、全体的にどこかポップな雰囲気が漂っており、本作の世界観にうまく溶け込んでいる。短いデモ版ながら、本編でへの期待が高まる内容となっていた。



悪夢を彷徨う脱出ホラーゲーム『NightmareJourney1135』

NightmareJourney1135』は、悪夢の世界で謎解きをしながら脱出を試みるホラーゲーム。こちらはyaigi氏がほぼ一人で開発を手掛けており、uynet氏はプログラミング面のサポートや、ピアノBGMの提供などを行っている。

プレイヤーは主人公を操作して、迷い込んでしまった悪夢の世界からの脱出を目指していく。道中は不気味な謎解きや、異形の存在に追い掛け回されるときもあるなど、とても平穏無事にはいかない。無事脱出できるように、プレイヤーの手で導いていこう。

今回のデモ版では、本編での2章冒頭にあたる部分を遊ぶことができたので、本作の特徴などもあわせてご紹介しよう。

本作も『FLOAT NOTE』と同様の見下ろし型マップ形式となっている。基本はマップ内を探索して手掛かりを探し、ギミックを解いて先に進んでいくというシンプルなシステムだ。

探索中はさまざまなアイテムを拾うことができるが、ただ拾って使うだけではなく、「調べる」のコマンドでよく観察してみたり、「組み合わせ」のコマンドで別のものと掛け合わせたりできる。恐怖でそれどころではないかもしれないが、いろいろと試すことが重要なつくりとなっていた。

▲作品の雰囲気とギャップのある、シのどこか気の抜けた台詞も印象的

やわらかいドット絵の雰囲気と、不気味な景色の数々や、グロテスクな姿をした異形の存在が良い対比になっており、短い試遊ながらもしっかりと恐怖を煽られる内容となっていた。謎解きパートの静かな恐怖と、追い回されるパートの緊張感もメリハリがあったので、本編での内容にも期待が高まる。

なお、シーンによっては直接的なゴア表現があったため、その点は十分に気を付けていただきたい。



「かわいそかわいい」ゲームを目指して

本作を手掛けたuynet氏とyaigi氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。

まず、『FLOAT NOTE』は開発開始から半年、『NightmareJourney1135』は1か月ほどが経過しており、両作とも並行して制作が進んでいる。

開発はRPGツクールをベースにしつつ、なんとuynet氏自身の自作メニュープラグインも活用されているとのこと。楽曲も手掛けつつプログラミングも行う、uynet氏の多芸ぶりに驚かされた。

両作ともに、yaigi氏が創作したキャラクターをベースにストーリーを肉付けしていく形で開発されている。その結果として、短編の『NightmareJourney1135』のほうが早くシナリオがまとまりそうということで、長編の『FLOAT NOTE』に先んじる形でデモ版を制作していったとのことだ。

また、キャラクターデザインを手掛けたyaigi氏にこだわりの部分を伺うと、ケモミミたちのかわいそかわいい姿を見てほしいという回答をいただいた。

”かわいそかわいい”とは、創作作品内においてさまざまな苦境に立たされ、かわいそうなことになってしまう子が、無性にかわいく見えてしまうようなある種の嗜好を指したフレーズだ。

▲筆者もプレイするうち、主人公の困り顔がかわいく見えてきた

『NightmareJourney1135』では、デモ版からその片鱗を存分に味わうことができたが、明るい雰囲気だった『FLOAT NOTE』についても意味深な回答をいただいた。

たしかに、物語を進めていくうちにキャラクターへどんどん愛着がわき、苦境に立たされる姿もかわいいかもしれない……! と思わせる説得力が両作には存在する。表情の機微が見事なのも、そのこだわりがいかんなく発揮された結果と言えるかもしれない。

『FLOAT NOTE』と『NightmareJourney1135』は現在鋭意開発中。どちらの作品も今後に期待が広がる。

基本情報 FLOAT NOTE
開発 ぱうビーム
販売 未定
配信日 未定
言語 日本語有り
価格 未定(Steam)
基本情報 NightmareJourney1135
開発 yaigi
販売 未定
配信日 未定
言語 日本語有り
価格 未定(Steam)

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