記憶を残したままあの時の選択を変えられるとしたら…。過去を改変するビジュアルノベル『右手にペンを、左手に過去を。』ブースレポート【東京ゲームダンジョン9】

ばんじーよこすか

2025/08/28

2025年8月3日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン9」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

東京ゲームダンジョン 9 ► 2025年8月3日(日)、東京・浜松町で都内最大級のインディゲーム展示会を開催!
「東京ゲームダンジョン」は個人や小規模チームが制作するデジタル・ゲーム(インディゲーム)の展示会です。手頃な出展料と充実した設備で、気軽に作品を出展・試遊できるイベントを目指しています。主催者も個人でゲームを作っているインディ開発者です。みんなで国内のインディゲームを盛り上げましょう!

もしも自分の過去を書き換えられたら…

右手にペンを、左手に過去を。』は、過去について書かれた小説の一部を書き換えて、その後の人生の変化を体験するビジュアルノベルゲームだ。開発は、日本のゲーム開発チームHaraPeko部が手掛ける。

「もしも、あのときに別の道を選んでいたら…」自身の過去の人生の分岐点を振り返って、そんな風に思った経験のある方もいらっしゃるのではないだろうか。本作は、過去を変えることの意味を問いかけながら、プレイヤー自身がその疑問の答えを導き出すことを目的としている。

Steam:右手にペンを、左手に過去を。
―過去を変えて、未来をつくる― 過去改編ノベルゲーム。あのときの後悔を取り除けたら、どんな今になっているだろうか。自分の過去が記された本を書き換えて、手に入らなかった未来をつくりあげる。アドベンチャーパートで現実時間を、ノベルパートでは過去の出来事を追体験しよう。あの時の後悔を実現するために小説を推敲してより良い未来を願うのも良い。新感覚過去改編小説推敲系ADVが““あの””HaraPeko部よりついに登場。

本作は、3つのパートで構成されている。1つ目は、主人公の日常生活を描く「現在パート」、2つ目は、主人公が夢の中で過去小説を読み、過去を書き換える「過去改変パート」、そして3つ目は、改変された過去に基づく新しい日常を体験する「新しい現在パート」である。

合計5冊の本(製品版では増える可能性あり)が提示され、それぞれに1つだけ改変できる場面が設けられている。全ての本に共通して登場するのは、主人公の芝崎心羽(しばさきこはね)と、その友人の草間飛鳥(くさまあすか)の2人。扱う出来事は年代ごとに異なり、幼少期から高校時代まで、2人の人生のさまざまな分岐点を楽しめる。

本作の大きな特徴は、主人公が改変前の記憶を保持しているところだ。過去を変えても元の人生の記憶は残っているため、事実上「2つの人生を持つ」状態となる。これにより、プレイヤーは過去改変の意義をより深く考えられるようになっている。

▲主人公たちの物語が5本用意されていた

イベントでは、主人公たちの高校生時代の物語を試遊させていただいた。現在パートでは、心羽と飛鳥の女子高校生としての日常が描かれる。心羽は、学校から帰ると宿題は後回しにしてスケッチブックを広げる。どうやら絵を描くことに夢中なようだ。

▲高校生の主人公
▲高校生の主人公の友人

夜になり心羽が眠ると、彼女は夢を見る。夢の中では、彼女の過去が縦書きの小説として表示される。その過去小説を読み進めていると、「鍵をかければ自分だけのアトリエが完成する」という部分で選択肢が現れた。

▲過去を書き換えられる!

複数の選択肢から、筆者は「グローブとバットを手に取ると」を選んでみた。すると、まるで小説の校閲作業のように赤ペンで元の文章が訂正され、新しい文章へと書き換わっていく演出が始まった。縦書きレイアウトの画面上でリアルタイムに文章が変化していく様子は、まさに過去を書き換える実感を与えてくれる。

そんな夢から覚めると、心羽は、グローブとバットを手にする野球少女になっていた。朝ご飯の後には朝練に行くのだという。過去を書き換えたため、心羽の現在の日常も変化したのだ。

▲主人公の新たな人生が始まる!

ゲームの中で本を読めたらおもしろそう

本作を試遊させていただいた後に、開発チームHaraPeko部の中から頬張宮ころも氏と夏野旬菜氏にお話を伺った。HaraPeko部は、大学のITものづくり系サークルが母体で、その中でも特に仲が良かったメンバー7人で結成。これまで複数のゲームを開発してきた。本作では、頬張宮氏は企画・ビジュアルを、夏野氏はシナリオを担当されている。

──本作の開発経緯を聞かせてください。

まず、「ゲームで本を読めたらいいな」という発想がありました。もうひとつは、「過去を変える」という体験を作りたい、という思いです。普通に生きていたら、過去を変えることなんてできませんよね。でも、もしそれが実現できたら、どう感じるだろう? 本当に納得できるのか? という問いをプレイヤーに投げかけたいと思ったんです。(頬張宮氏)

──過去の小説が書き換わるシーンの演出がとても印象的でした。

あれは、小説の校閲をイメージしました。派手なエフェクトではなく、あくまで文章の中で過去を書き換えていく感覚を重視しています。縦書きレイアウトも実際の小説を参考にして、余白や行間までこだわりました。(頬張宮氏)

▲校閲するように赤で訂正が入っている

──普段から小説を読まれているのでしょうか。

はい、昔から東野圭吾氏の作品をよく読んでいました。あとは、特定の作家というよりも「小説家になろう」などのWeb小説が好きで、書く方もやるようになりました。小説を書くときはフラグだけ先に決めて、あとは書きながら展開を作っていきます。(夏野氏)

──主人公は改変前の記憶を保持している設定が特徴的ですね。

そうなんです。たとえば、「勉強した」過去を選ぶと、その後の人生でも勉強に秀でた状態になります。過去を変えることで、事実上2つの人生を持つことになる。それをどう描くかは難しい部分でもあり、おもしろい部分でもあります。(夏野氏)


『右手にペンを、左手に過去を。』は、Steamにて2026年8月頃の発売を目指して鋭意開発中。5冊以上の小説を収録予定で、1冊あたり10分弱、全体で1時間程度のプレイ時間を想定しているとのこと。

読書好きの方はもちろん、普段あまり本を読まない方も読みやすい分量になるように設計されているので、気になった方はぜひウィッシュリストに登録しよう。

基本情報 右手にペンを、左手に過去を。
開発 HaraPeko部
販売 HaraPeko部
配信日 2026年8月
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:ばんじーよこすか 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

右手にペンを、左手に過去を。

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