ロボットが記憶を取り戻しながら、自ら電源を切るまでの物語。ピクセルアートのナラティブADV『人のいない世界に』ブースレポート【東京ゲームダンジョン9】

ばんじーよこすか

2025/08/12

2025年8月3日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン9」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

東京ゲームダンジョン 9 ► 2025年8月3日(日)、東京・浜松町で都内最大級のインディゲーム展示会を開催!
「東京ゲームダンジョン」は個人や小規模チームが制作するデジタル・ゲーム(インディゲーム)の展示会です。手頃な出展料と充実した設備で、気軽に作品を出展・試遊できるイベントを目指しています。主催者も個人でゲームを作っているインディ開発者です。みんなで国内のインディゲームを盛り上げましょう!

誰もいなくなった世界でなくした記憶を取り戻そう

人のいない世界に』は、ロボットが人類の滅亡した世界で自身の記憶を取り戻し、自ら電源を切るまでを描くドット絵ナラティブアドベンチャーゲームだ。開発は、日本の個人サークルである夜路地(YORUROJI)が手掛ける。

舞台は、人類が滅亡した後の荒れ果てた2443年の世界。目を覚ましたロボット・リベラは、記憶を失っていた。プレイヤーはこのリベラとなり、周囲を探索して記憶を取り戻しながら、自らの電源を切ることを目指す。

Steam:人のいない世界に
人類滅亡後の荒廃世界に目覚めたロボットが、人と過ごした記憶を辿って "愛" を知る、終末ドット絵ナラティブアドベンチャー。ロボットに愛は芽生えるのか?人間の最期は?ロボットは何のためにいるのか?静かで、美しく、寂しい世界で、ロボットが自身の電源を切るまでの物語。

本作は、横スクロール形式でマップを探索していく。マップには、調べられる場所や落ちているアイテムがあるので、それらを調べながら先に進んで行こう。中には、ちょっとしたパズルや謎解きも用意されている。

探索していると、本作の主人公のロボットの頭部と同じ型のコンピュータを見つけることができる。この古びたコンピュータの記憶メモリを自分に移植することで、少しずつ過去を思い出すシステムだ。

▲ここはいったいどこなのだろう
▲私はいったい誰なのだろう

今回は、約5分間の試遊版をプレイさせていただいた。冒頭、目覚めたばかりのロボット・リベラは「ワタシッテ、ダレダッケ」と、自分が何者かすらわからない状態で立ち上がる。その後、「人間風の口調を設定する」と言った後の第一声が「褒めてクレメンス~」で、思わずにんまりしてしまった。シリアスな空気の中に突然差し込まれるこの軽さが、リベラという存在を身近に感じさせる。

さらに探索を進めると、机の上に置かれた1枚の写真を発見した。ひび割れた写真立てに収められた1枚に写っていたのは、キービジュアルにも登場する少女・ユイ。写真を見た瞬間、リベラは「この子をうっすらと覚えている」と言い、続けて「胸が締め付けられるようデス」と口にした。ロボットの口から出た(正確に言うとスピーカーだが)「胸が締め付けられる」という表現にハッとさせられる。彼(彼女なのかもしれないが)がただの機械ではなく、人間のように何かを感じているようだったからだ。

▲ボロボロの写真に写っていたのはひとりの女性
▲断片的に記憶を取り戻していきマス

「結末がわかっていても、そこにどうたどり着くかに意味がある」

試遊版をプレイさせていただいた後、夜路地ゆーじ氏にお話を伺った。

――本作の開発体制について教えてください。

はい、全てひとりで作っています。作り始めたのは2024年7月頃です。本業はゲーム会社のエンジニアで、これは趣味として制作しています。Steamには過去に短編のパズルゲームを2本ほど出していますが、年単位で開発するタイトルは本作が初めてです。

――なぜナラティブADVを制作されようと思われたのか聞かせてください。

1週間のゲームジャムに参加した際に、パズル以外にもナラティブ寄りの短編ゲームを作ることがあり、それがとても楽しかったんです。もともとアドベンチャーゲームやノベルゲームをプレイするのが好きで、いつか自分でも作りたいという憧れがありました。スキルが追いついてきたタイミングで挑戦を決めました。

――特に影響を受けた作品はありますか。

アンリアルライフ』です。ライティングを活かした美しいドット絵や、心を動かされるストーリーに強い影響を受けました。自分もそういうビジュアルと物語を作りたいです。本作のプレイ時間は1~2時間を想定していますが、短くても心に残る物語を目指して制作しています。

――主人公のリベラについて教えてください。

人型のロボットで、性別は不明です。物語の舞台は人類が滅亡した2400年頃。2045年頃に人類が滅亡し、その約400年後という設定です。最初はロボットには記憶がなく、探索を通じて少しずつ自分の正体や過去を知っていきます。

――結末が「電源を切ること」と明示されている意図について聞かせてください。

そこはあえて冒頭で提示しています。どうやってそこに至るのか、その過程を楽しんでほしいからです。結末を知っていても、最後の形や意味はプレイを通じて感じ取ってもらえると思っています。

――本作の舞台や世界観について詳しく教えてください。

特定の国名は出ませんが、登場人物の名前から日本が舞台と思われます。メインは建物内部で、一部、屋外も探索可能です。プレイヤーは失われた記憶や世界の断片を、コンピュータやさまざまな資料から収集していきます。


『人のいない世界に』は、2026年上半期の発売を目指して鋭意開発中。プレイ時間は1〜2時間を想定されている。

ロボットが何を思いだして、何を感じながら自らの電源を切るのか。気になる方は、今すぐウィッシュリストに登録しよう。また、プレイ時間が約10分間の体験版も公開されているので、併せてチェックしてほしい。

基本情報 人のいない世界に
開発 YORUROJI
販売 YORUROJI
配信日 2026年
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

人のいない世界に 体験版

インディー

アドベンチャー

日本語対応

アンリアルライフ

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥2,050

人のいない世界に

インディー

アドベンチャー

日本語対応