メキシコの甘い菓子パン、いくつ知ってる? パン屋が舞台の落ち物パズル『PancitoMerge』ブースレポート【東京ゲームダンジョン9】

朝比奈 / Asahina

2025/08/24

2025年8月3日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン9」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

東京ゲームダンジョン 9 ► 2025年8月3日(日)、東京・浜松町で都内最大級のインディゲーム展示会を開催!
「東京ゲームダンジョン」は個人や小規模チームが制作するデジタル・ゲーム(インディゲーム)の展示会です。手頃な出展料と充実した設備で、気軽に作品を出展・試遊できるイベントを目指しています。主催者も個人でゲームを作っているインディ開発者です。みんなで国内のインディゲームを盛り上げましょう!

手描きの甘いパンを積み上げて、お客さんに提供しよう

PancitoMerge』は、パン屋さんを舞台に、メキシコの伝統的な"パン・ドゥルセ(甘いパン)"を組み合わせて新しいパンを生み出し、ハイスコアを目指す落ち物パズルゲームだ。

メキシコを拠点とする個人ゲーム開発者のFáyer氏と、日本を拠点とする個人ゲーム開発スタジオ"Sketchy Ceviche"こと、同じくメキシコ出身のinubass氏が共同で手掛ける。

Steam:PancitoMerge
Drop, stack, and merge colorful pan dulce into bigger, tastier treats in this cozy puzzle adventure! With charming visuals and simple gameplay, it’s a sweet celebration of Mexican baking, perfect for quick sessions and high score chases.

本作のゲームシステムは、画面上部からランダムに選ばれるパンをバスケット(籐パンカゴ)に落として、同種の"菓子パン"を2つ接触させると別のパンに進化していくというもの。進化したパンを作るたびにスコアを獲得できる。

落ちてくるパンはランダムだが、進化の順番はあらかじめ決まっている。そのため、進化を進めてスコアを稼ぎつつも、パンが積み上がりすぎてゲームオーバーにならないよう注意を払う必要がある。判断力や計画性も求められる、意外に奥深いパズルゲームだ。

ここまでの説明でお気づきの方もいるかもしれないが、本作は物理演算を組み込んだ落ち物パズル『スイカゲーム』のフォロワーで、その"菓子パン版"と言えるタイトルだ。

――もちろん、本作ならではの要素も。画面左側の窓口に時折パンを注文するためにお客さんがやってくるのがポイントだ。バスケットに積み上がったパンの中から注文を受けた同種のパンを1つ渡すと、バスケットからそのパンは消える。積み上がりの回避など、戦略的に活用できそうな仕組みである。

▲パンを買いに犬のお客さんまでもが訪れる大人気のパン屋さんだ

『スイカゲーム』タイプの落ち物パズルの特性上、バスケットには組み合わせ待ちのパンがどんどん積み上がっていくことになるが、重力に従って意図しない場所へ転がってしまったり、底の方に押し込まれて残り続けたりすることもある。

こうした"邪魔なパン"の積み重ねが失敗に繋がるわけだが、本作ではそれを狙って1つ消せる仕組みがあるのが大きな特徴だ。

お客さんは一定時間ごとに訪れ、注文されるパンは時間経過によって別の種類へと変わっていった。また、お客さんはいくら待たせても居続けてくれる"ゆるさ"もあり、無理に狙わなくてもいい点はプレッシャーがなくて心地よい。ただし、このあたりはプレイヤーからのフィードバック次第で今後調整が入る可能性もあるだろう。

現在、『スイカゲーム』ブームはひと段落した印象がある。しかし、シンプルなルールでカジュアルに楽しめる一方、突き詰めればスコアを極めてハードに挑戦できるこのジャンルは、今後もさまざまな形でプレイヤーを魅了し続けていくだろう。本作も、その流れを汲むタイトルの1つとなりそうだ。

殺伐としたRPGから一転──"癒し"を求めての開発

今回、東京ゲームダンジョンの出展ブースではSketchy Cevicheinubass氏にインタビューさせていただく機会を得られた。

そもそも、なぜ『スイカゲーム』フォロワーの落ち物パズルに挑んだのか。その理由は、もう1人の開発者であるFáyer氏の思いにあるという。彼は以前、メソアメリカを舞台にしたファンタジーRPG『Arco』を手掛け、高い評価を得たものの、その内容は殺伐とした世界観の作品だった。

そこで次に選んだのは、対照的にプレイヤーがリラックスできる"癒し系"のゲームジャンルを目指すことだったのだそうだ。

メキシコの伝統的な"パン・ドゥルセ(甘いパン)"をテーマにしたきっかけは、本作のアートワークを担当するイラストレーターのVanila Ryder氏の描いたパンのイラストだった。それを見たFáyer氏が、「『スイカゲーム』のようなカジュアルパズルに活かせるのでは」と考えたのが出発点だという。

また、その温かみある手描きのビジュアルをもとに、メキシコの文化を食べ物を通じて伝えたいという思いも込められている。ゲーム内に登場するパンについてはそれぞれフレーバーテキストが用意され、より深く知ってもらえるようにしていきたいとのことだった。

『PancitoMerge』は、PC(Steam)にて2026年のリリースに向けて鋭意開発中。itch.ioでWeb版も公開されているが、そちらは本作のベースとなったバージョンで、Steam版では内容がより拡張されたものになるとのことだ。

なお、現在Steamでは体験版が配信されているので、プレイしてみて魅力を感じたならば、ウィッシュリストに登録してリリースを待ってみてはいかがだろうか。


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基本情報 PancitoMerge
開発 Fáyer, Sketchy Ceviche
販売 Fáyer
配信日 2026年
言語 日本語サポート予定
価格 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

Arco

ストラテジー

インディー

アクション

日本語対応

PancitoMerge

インディー

カジュアル