Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!
『Town to City』は、19世紀の地中海近辺を舞台とする、穏やかな街づくりシミュレーションゲームである。公開されているデモ版にて、9月5日時点で既に960件以上のレビューと“圧倒的に好評”ステータスを獲得している期待作だ。開発は同じくボクセルアートの世界で線路を繋いでいく『Station to Station』を手がけたGalaxy Grove、パブリッシングはKwaleeが担当している。

ジオラマ的な癒やしとのんびり取り組めるシステムで既に好評を博している本作は、2025年9月16日に早期アクセス開始予定。本稿では体験版をプレイして感じた魅力をお伝えしていこう。

かわいくて幸せな街を創りだそう
『Town to City』の目標は、ひとつだけ駅が建っているのどかな土地を、市長であるプレイヤーが創意工夫によって少しずつ活気ある街へ発展させていくことだ。本作の大きな特徴は、グリッド制限のない自由な建設・飾りつけと、住民たちの「幸福度」を保つことで街を発展させていくというパズル的要素の両立にある。

道路の敷設はフリーハンドとラインツールの使用を都度選択でき、例えば曲線を主体に規則性なく走らせることも、規則正しく整えていくことも可能。住宅や商店を設置する際の位置・密度もプレイヤーが自由にデザインできる。空いたスペースに街頭や花壇、ベンチなどを置いていけば、それだけで十分に「かわいい村」ができあがっていることだろう。そこを住民たちが行き来する様子を眺めるだけでも非常に癒やされる。
同時に、本作では各住民に「幸福度」というパラメータが設定されている。これは「食料品などの供給が需要を満たせているか」「住宅や通勤路が装飾されているか」などで上下する仕組みだ。幸福度が集落全体として70%以上であれば、新たな家族が駅からやってきて人口が増え、働き手のおかげでできることも増えていくという流れ。もし70%に到達していない場合でも、具体的にどの項目が幸福度を下げているのか確認できる機能があるため、比較的容易に解決できる。

そうして人口が一定数を超えると「都市レベル」を上げることができ、小さな集落から村へ、町へと発展していく。それによって新たな施設や装飾がアンロックされ、よりこだわった「街づくり」に取り組めるようになるのだ。
この幸福度の存在によって、各住宅が食料店の効果圏内におさまっているかどうかや、新たな商業施設を設置する際の位置などに気を配る必要性が出てくる。と言っても、決して要求を満たすこと自体が難しかったり、まして住民に急かされたりするわけではない。「自分が求める景観」と「集落としての機能」を両立するためにはどうすればよいか? そんな試行錯誤がプレイヤーの中で自然と発生し、難易度自体は低いからこそ細部までこだわり抜きたくなるのである。
もう少し、もう少しとついつい没頭してしまう――そんな魔力が『Town to City』にはあった。

自分だけのこだわりの街に
前述のように、「自由さ」と「幸福度を保って発展させる」要素とが絡み合っている本作。シティビルダー系の基本となる「時間停止」機能があるのはもちろんのこと、建物の移動・道路の編集もノーコストで気軽におこなえるため、「新たな商店をここに並べるためにほかの建物を少しずつ詰める」といった細かな調整から、道路を敷き直すような大幅な区画整理まで、気の済むまで存分に取り組めるかたちになっている。
手間暇をかけてコツコツ整理して密度を上げるもよし、新たな道路を伸ばしてのどかな町を大きく広げていくもよし。プレイヤーそれぞれの気分や美的センスによって、自分だけの街を作りあげることができる。そこに暮らす人々の姿を見れば愛着も深まるというものだ。中世ヨーロッパらしい華やかながらのびのびとしたサウンドも心地よく、昼と夜で雰囲気の変わる街並みを眺めるだけで、十分な癒やしと満足感を得られるだろう。

『Town to City』は2025年9月16日よりPC(Steam)にて早期アクセスを開始予定。どれだけの装飾パーツが追加されていくか非常に楽しみだ。現状では花壇やベンチにスナップ機能がなく位置調整がやや大変なので、いずれ調整が入るとさらに嬉しいところ。ジオラマ系や片付けパズルなどが好きなユーザーには特におすすめだ。
基本情報 | Town to City |
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開発 | Galaxy Grove |
販売 | Kwalee |
配信日 | 2025年9月16日 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |
ライター:しわしわ
編集:LayerQ