2025年8月3日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン9」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


家族のために料理を作って振る舞おう
『おじいちゃん!ごはんつくって!』は、100種類以上の食材と調理スキルを自由に組み合わせて料理を振る舞い、AIを備えた家族から「おいしい」のひと言を引き出す――そんな奮闘を描くハートフルな料理シミュレーションだ。日本のゲーム開発スタジオ"Kamekichi Games"こと、かめきち氏が手掛ける。
プレイヤーである主人公・秀和は妻を亡くしてから一人暮らしをしているが、娘の絵里と孫の涼介、凛が毎週のように訪れては食事をともにしている。あるきっかけから彼らのために料理を作ることになった主人公は、「おいしい」と言ってもらえる一皿を目指して腕を振るうことに。
料理は奥深く、試行錯誤の連続だが、娘と孫たちの笑顔と感想を糧に、心のこもった食卓を築いていこう。


本作のゲームシステムは、現実に存在する多彩な食材をもとに、レシピに沿って調理を進めるオーソドックスな料理シミュレーションだ。
プレイヤーは街に出て店を巡り、目当ての料理に必要な食材を調達。さらに料理教室に通ったり、お店の人から教わったりしながら、さまざまな調理スキルを習得していく。そして、自宅に戻れば、いよいよ本格的な調理が始まる。

温める・刻む・味付けといった工程を重ねていくので、例えば家庭料理の代表格「肉じゃが」ひとつにしても、下ごしらえから完成に至るまで丁寧な手順が求められる。食材の分量、煮込み時間、味付けの塩梅――考えるべきことは数多く、手間を惜しまず進めていくことで「おいしい」と言ってもらえる料理になるのだ。
そうして完成した料理を振る舞い、娘と孫たちから感想をもらうことがプレイヤーの目的だが、本作にはもう一つの大きな魅力がある。それは、登場人物たちが独自のAIを備えていることだ。

LLMがもたらす、人間らしいリアクション
実装されているのは「LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)」と呼ばれるAI。これは膨大なテキストデータを学習し、人間の言葉を理解・生成できるのが特徴だ。いわば「会話ができるAI」といえばイメージしやすいだろう。プレイヤーの作った料理に対し、自然な言葉で感想やアドバイスを返してくれる。
ひと昔前ならば、人間らしからぬズレた内容が返ってくるところを"ネタ"として楽しむ作品になっていたかもしれないが、昨今の技術の進歩によって人間らしいリアルなやり取りを可能にしている。

娘と孫2人、それぞれの個性に応じた三者三様の反応が返ってくるため、プレイヤーは手を抜けない。失敗してしまった料理には「ここがイマイチ」といった素直な感想が飛び、うまくできた料理には「おいしい!」といううれしい言葉が返ってくる。
そんなやりとりが、人間味あるコミュニケーションを生み出し、ただの料理シミュレーションでは味わえない新鮮な体験につながっているのが本作なのだ。

完成した料理のレシピはオンラインデータベースに共有され、世界中のプレイヤーが閲覧可能。公開時はSteamのユーザー名が表示されるが、非公開設定も可能なので安心してほしい。
家族との会話から生まれたアイデア
今回の東京ゲームダンジョンでは、開発者のかめきち氏に直接お話を伺う機会を得られた。
本作のユニークなポイントは、やはりLLM(大規模言語モデル)による評価システムだ。その発想のきっかけは、AIの進化について奥様と話していた際に「AIに料理を食べさせてみたらどう?」と提案を受けたことだったという。
LLMはオンラインではなくローカルで動作。人間味のある評価を返せるのは、丁寧に調整されたプロンプトによるものだ。各キャラクターには「あなたはこういう人物」という役割が与えられており、評価の基準もそれぞれ異なる。例えば「涼介はこういう料理が好き」といった設定があり、こうした個性が三者三様の反応につながっている。

本作はステージ制で、各ステージの目標を達成していくことでゲームクリアとなる。ただし、実は料理の成功や失敗は条件に含まれておらず、とにかく作りきれば先へ進める仕組みだという。極端な話、「水を温めただけ」のような料理でもクリアは可能らしいが、それではさすがに心が痛む……というところもまたリアル。
ストーリーを終えた後も料理シムとして遊べる印象だが、クリア後は調理スキルを覚えた状態で最初からやり直すことができ、得点に応じて実績が解除されたり、新しいスキルを習得できたりと、やり込み要素も用意されているという。2周目では料理上手なおじいちゃんとして、さらなる高みを目指してみるのも面白そうだ。

『おじいちゃん!ごはんつくって!』は、PC(Steam)でのリリースに向けて鋭意開発中。
なお、現在Steamでは体験版が配信されているので、普段あまり料理をしないという方もプレイしてみて魅力を感じたならば、ウィッシュリストに登録してリリースを待ってみてはいかがだろうか。
基本情報 | おじいちゃん!ごはんつくって! |
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開発 | Kamekichi Games |
販売 | Kamekichi Games |
配信日 | 未定 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |
ライター:朝比奈
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